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2019年11月03日

なぜ冬期に電費悪化するのか?・・・要因分析編 

なぜ冬期に電費悪化するのか?・・・要因分析編  冬期の電費悪化(EV航続距離低下)の要因はいろいろありますが、それらの内訳・寄与を試算しようと思います。

・試算条件は、春のベストコンディション条件として外気25℃・空調オフ条件、冬は暖房我慢条件として外気5℃・空調オフ条件と、そこそこ快適条件として外気5℃・最小限の暖房実施条件の3種類とします。
乗車2人、速度は街乗りとして平均30km/hとしました。タイヤはADVANdBV552。(その他のタイヤでも数値の傾向は類似と思います。)
まずは計算式ですが、以前紹介したエクセルツールで計算しました。



・転がり抵抗損失Prですが、先週、気温と転がり抵抗の関係のグラフを作ったので、これから読み取ります。
外気5℃では、25℃時の1.2倍となります。




・補機・空調消費Pauxですが、春のベストコンディション時は、基礎代謝のみで、220W(実測ベース)としました。
冬のそこそこ快適条件時は、運用実績から、600Wとしました。
基礎代謝220W+シートヒータ2席(強:120W)+ヒートポンプ微弱運転想定です。

・電池損失Plossbatですが、Plossbat=Ibat^2×Rdcで計算します。
直流内部抵抗Rdcは先日算出したグラフから読み取ります。外気25℃時0.11Ω、外気5℃時0.21Ωです。
電池電流Ibatですが、RMS値が必要なので実測しました。
HybridAssistantで街乗り走行時の電池電流瞬時値を計測し、2乗平均平方根でRMS値を算出。
測定結果は、平均速度29km/h、Ibat(RMS)=32Aでしたので、この数値を使います。
電池損失は以下となりました。

外気25℃時:Plossbat=Ibat^2×Rdc=32^2×0.11=113W
外気5℃時:Plossbat=Ibat^2×Rdc=32^2×0.21=215W

(※温度は外気温です。電池温度ではありません。朝一起動時の電池温度は外気+5℃程度です。運転中は徐々に上昇しますがこれは計算には入っていません)

電池損失は、冬は春の2倍くらいになります。大きさ的にはシートヒータ(強)2席分くらい、損失が増えます。
この損失で電池が暖まって性能がでてくるので痛し痒しです。





・上記を使って各条件の損失分布を計算した結果が以下です。
左から、春のベストコンディション条件として外気25℃・空調オフ条件、冬は暖房我慢条件として外気5℃・空調オフ条件と、そこそこ快適条件として外気5℃・最小限の暖房実施条件の3種類です。





各要素の損失がどれだけ変動しているか、分析します。





冬の暖房我慢条件では、春と比べて、転がり抵抗損失1.2倍、電池損失1.9倍となり、電費・航続距離は春から16%悪化します。
冬のそこそこ快適条件では、暖房我慢時と比べて、暖房のため補機消費が2.7倍となり、電費・航続距離は春から28%悪化します。
EV/PHVは全体のエネルギー効率が良いので、暖房消費は意外に目立ちます。転がり抵抗損失も同じ構図です。

次に、春のベストコンディションを基準に、冬のそこそこ快適条件での要因別の損失増加分を算出し、全体増加分に占める寄与率を算出します。



寄与率の高いものから、以下となりました。

1位:暖房消費 52%
2位:タイヤ転がり悪化 30%
3位:電池損失 14%

やはり暖房は課題です。最も省エネと思われるシートヒータとヒートポンプの組み合わせでもこれですから、なかなか厳しいです。
タイヤの転がり抵抗損もやはり大きいです。ウエットグリップ性能を確保しようとすると、低温時の転がりは悪化するようで、悩ましいところ。
電池損失の寄与率ではさほどではありませんでした。

EV/PHVは冬に弱いといわれますが、確かに電池の損失増加はありますが、全体に占める割合は14%程度です。残り8割強は、EV/PHVのコアコンポーネント以外の影響です。冬に弱いというのは語弊がある気がします。
もとのエネルギー効率が良いので、これまでエンジン損失に埋もれていて目立たなかった暖房消費やタイヤの転がり抵抗損失の悪化の影響が大きく現れるということのようです。
ブログ一覧 | クルマ
Posted at 2019/11/03 23:27:09

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この記事へのコメント

2019年11月4日 5:57
こんにちは、すごい分析です!Σ(・□・;)
2年半、訓練(電欠流し乗り)をやっている輩は興味深い話題です(笑)
個人の運転実測ですが,外気3℃と26℃では同ルート、AC負荷率0%で24%電費が低下しました。(※15インチエコピア時)
この状態で一次充電量が6%低下しました。
温度が下がるとリチウムイオン電池の過電圧が増加し電池容量が減少する?
冬は0℃以下になるとバッテリーヒーター130WがONになりさらに電費は悪化しますね。。;
HPや文献を調べてもガスインジェクションHPの定格消費電力が分からなかったのですが常用で600Wなんですか!(計測?)
暖房能力4kWくらいでAPF7だとだいたい合う数字です。
以前のPTCヒーターはCOP1で、暖房定格運転時4Kwがそのままバッテリーから消費されていたわけで今回52型のHPは画期的だと言えます ( ^o^ )


コメントへの返答
2019年11月4日 9:29
おはようございます~

冬はAC充電電力量の低下があるのですか・・。把握していませんでした(゜o゜;
まだ夏しか充電量を計測していないので今冬観測してみます。
確かに内部抵抗は増えるので、電圧上限に早目に当たってしまって充電量が減少するのかもしれませんね。

ガスインジェクションHP消費電力ですが、室温安定時の最小運転時、OBDでコンプレッサ消費電力を観測していると300Wほどでしたのでこの値を使いました。
豊田自動織機に以下文献がありました。

https://www.toyota-shokki.co.jp/innovation/items/seihin4.pdf の図9

これによれば、条件不明ながら、COP2.7のようです。車載小型化の弊害か、家庭用と比べるとまだ効率向上の余地は残されている感じですね。
これによれば、消費電力300Wなら暖房能力800Wほどです。なんとか暖をとれる感じです。外気温にもよりますが。。
ちなみにこれまで見た暖房最大消費電力は運転開始時で2.5kWでした。暖房能力6.75kWとなります。COP2.7とはいえ、仰るとおりガスインジェクションHPは電費への貢献大ですね。
2019年11月4日 12:02
おっさんくんさん、こんにちは、
冬期の暖房は致し方ないですね。
2シーズン運用した結果から言うと暖房熱源はエンジンからもらう方がトータルのコストは良さそうです。
OBDで冷却水温度ながめながらEVとHV切り替えを適当に切り替えてます。
今日も急速充電してきましたがはやくも充電時間が伸びてきたような、、。
コメントへの返答
2019年11月5日 6:45
マユマさん おはようございます。

せっかくエンジンがついてるので熱量豊富な燃料から暖を取るのがシステム的には合理的なのでしょうか。
そう考えるとPHVにガスヒートポンプを載せるというのは、EVとしての使い勝手へのこだわりですね。。
2019年11月4日 18:23
おっさんくん さん、こんばんはー

詳細な分析有り難うございます。
m(_ _)m
電気に詳しくないので殆ど分かりませんが、冬はエアコンの消費電力がもっとも大きいということですね。
おっしゃる通り、暖房レベルが最低になると、はっきり言って過ごせる温度ではないです。
一秒でも早くEVの電池が切れてHV走行になるのを祈ってました。(笑
現在は、エンジンルーム側、室内側共に断熱対策を施したので、かなり快適、電費も少し改善したようです。(膝掛け有りなら、設定温度が21-22℃で十分だった記憶があります)
寒くなると、バッテリー出力がかなりシビアにコントロールされているかも知れませんが、計測する手段が分かりません。
まあ、昨年の11月でも加温効果は感じているので、加温で少しでもEV距離を伸ばしたいという気持ちの方が大きいですね。

コメントへの返答
2019年11月5日 7:01
toro_555さん おはようございます。

やはり快適性を求めると電費は厳しくなりますね~
空気を暖めて間接的に体を温めるのは暖房としては効率が悪い気もします。どんどん熱が外に逃げてしまいますし。。
そういう意味ではヒーター付きベストとか直接体を温める暖房が効率良いのかも知れません。
toro_555さんの施工されている断熱対策は貴重な熱を逃がさない点でEVの冬期対策としてあるべき形を先取りされているように思います。
電池の加温についてはせっかくのバッテリーヒーターを任意に通電できれば都合よいですね。。当方のPHVではたぶん一度も通電されてない筈です。。でも電池内部損失で内部から暖めるのが効率良いのかな・・?
いろいろ課題ありますね(^_^;
2019年11月5日 18:34
おっさんくん、さん
連投失礼します。
小生のコメント説明不足、おわびして連投させていただきます。
小生の運用は50-100km距離レンジです。
おっしゃるとおり、EVとしての使い勝手からガスインジェクションACは効果があり、チョイ乗りから35kmまでの距離レンジであれば最適解です。
コメントへの返答
2019年11月6日 7:16
マユマさん おはようございます。

100kmの運用なら、最初にHVで運転して温水暖房、50km地点でEVに切替、エンジンと冷却水の余熱を暖房に使い尽くしてからHP暖房に移行、というのが熱エネルギーを有効利用できそう?と思いました。そもそもEVモードでも冷却水循環暖房系は生きているのでしょうかね・・?
2019年11月6日 7:32
おはようございます。
EVモードでも冷却水系暖房は生きています。水温が下がるとヒートポンプに切り替わります。よって50-70度くらいを保つとEV航続距離がそこそこ保持できます。
コメントへの返答
2019年11月6日 18:14
こんばんは。
なるほど、有用な情報ありがとうございます。
エアコンシステムもよく考えてありますね。長距離運用時に活かしてみます。

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「@vertin いよいよですか。待ち遠しいですね!」
何シテル?   05/22 09:31
おっさんくんです。よろしくお願いします。
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