
すこし暑さもやわらいできましたが、まだまだ残暑が厳しいです。エアコンは欠かせません。
ドライブ中はなるべく外気導入にして新鮮な空気を取り入れたいところですが、内気循環で使用するよりもエアコンの電力消費が増えて航続距離に影響しそうです。
内気循環と外気導入とで航続距離はどのくらい変わるのか?
気になったのでちょっと算出してみます。
まずは、エアコンの消費電力の把握です。
起動直後は車内も高温でエアコンはフル運転になるのでこの期間は除外し、車室内温度が低下してエアコン出力が安定した状態でのエアコン消費電力を計測します。
計測条件は以下。日射条件を安定化するため駐車状態で測定。
<計測条件>
外部条件;天候晴れ(太陽直射下)、午後2時、外気33℃、駐車状態で測定。
エアコン設定:マニュアル、設定24℃、ファン風速3
<エアコン消費電力測定結果>
内気循環と外気導入それぞれ切替後、数値が安定してから(5~10分後くらい)値を記録。
内気循環時 0.9kW
外気導入時 1.4kW
外気導入時は、内気循環時よりも1.6倍の消費電力となる結果でした。
次に、
このエアコンの消費電力の増加がどの程度EV航続距離に影響するのかを算出します。
算出方法は、上記エアコンの消費電力を含む車両全体の消費電力(=駆動用電池の出力電力)を算出して、その増加割合から算出します。
ここでは、街乗り想定として、平均速度30km/h定速走行時を仮定して算出してみます。
昨年作ったエクセル計算シートで計算します。
駆動用電池の出力の大半を占めるタイヤの転がり損失ですが、現在履いているAdvan dB V552(15インチ)のRRCの33℃換算値を設定。
参考:
https://minkara.carview.co.jp/userid/3057595/blog/43353872/
計算結果:
計算によれば、駆動用電池の出力電力は、内気循環時2672W、外気導入時3172Wでした。
内気循環時と比べて、外気導入時は、駆動用電池の出力電力が約1.2倍となることがわかりました。
電費(km/kWh)は1/1.2=83%となりますので、
航続距離は、内気循環時と比べて外気導入時は17%ダウンとなる結果です。
たかだか内気循環/外気導入の違いですが、航続距離へのインパクトは大きいです。
空調消費の電池出力電力に占める割合は、内気循環時で34%(900W/2672W)、外気導入時で44%(1400W/3172W)でした。
ざっくり言うと、EV/PHVの場合は、定速走行時の電池出力電力の大半がタイヤの転がり損失と空調消費であり、これらの変動が全体の電力消費に及ぼす影響が大きいです。
(ちなみにエンジン車の場合は、エンジンの損失が大きく、これが全体消費の8割~9割を占めているので、エアコンの内気循環/外気導入の違いは埋もれてしまって全体燃費への影響は極小で議論にならないと思います。)
というわけで、
夏期の日中のドライブで、EV航続距離をなるべく確保したい場合は、エアコンは内気循環を基本としながら、適宜、短時間外気導入に切替えて換気するのが良さそうです。
(切替はめんどうなので、内気循環の設定でも、10分に一回、1分程度の間、自動的に外気導入にしてくれると良いのですけど・・・)
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Posted at
2020/09/13 00:16:32