HKS Vcam step Pro導入後考察
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
ショップ作業 |
難易度 |
![](/images/icon_difficult_on.svg) 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
はじめに
(現在はタービンがT88-34Dに変わっていますが、以下は
当時のツインターボでの印象をメインに書いています。)
V-cam Proを組んで3ヶ月以上が経過し、サーキットから
街乗りまで、広い範囲で使用してみたので、燃費を
含めて考察をしたいと思います。
なお、パワーチェックの数字は、すべて補正なしの
数字で書いています。
Vcam system step pro :
カム作用角264度 リフト10mm バルタイ可変量50°(130°~80°)
2
対象となる仕様
現在の車の仕様の詳細は他を参照していただきたいのですが、
大雑把には、エンジン本体がHKSの2.8L step2でタービンは
AX53B60racingのツイン仕様です。
このタービンは1基320馬力程度のボールベアリングスモールタービンです。
おそらくGT-SSと似ているのではないかと思っていますが、
中間重視の特性です。
3
結果1
まず導入前のダイナパックグラフです。
上のグラフがブースト1.4、下が1.2です。
ピークパワーは僕はあまりこだわらないほうなので、
興味がある方は係数掛けで計算してみてください♪
なぜかと言うと、ピークが同じ車が2台いたとしても、そこまでの特性の違いによって
まったく速さもフィーリングも異なるため、瞬間的なピークの値よりも、
自分がターゲットとしている使用環境で使う回転域がパワーバンド内に入っているか、
どれだけ持続的にパワーが出ているかの方が重要だと思うからです。
つまり、グラフの立ち上がるタイミングや、パワー、トルクの持続、
どこからタレが始まるかが実際の走りやすさや速さとの関係が大きいと思うので、
いつもそこを重視して見ています。
このグラフの場合、最もパワーが立ち上がっているのは4000回転からで、
タービンが小さいためと、2.8Lの効果ですでに低回転でもトルクはあります。
また、3000回転あたりからトルクは立ち上がり始めており、
4000回転でトルク43kg-m出ています。
4
結果2
こちらがVcam Proを組んだ後です。同時にエンジンの
ブロック割れが見つかったため、厳密に言うとRB28を
新品ブロックで組みなおしています。
さらに燃料ポンプが1基では足りず、2基掛けになっています。
上2本がVcam Proを組んだ後のもの、下2本のグラフが組む前のグラフで、
写真3と同じグラフです。ブーストは組む前と同じで、上が1.4、下が1.2です。
グラフを見ても明らかに特性が違いますが、トルクが一番立ち上がるのが
3000回転からになり、1000回転早くなっています。
4000回転のトルクは同じブースト1.4で67kg-mも出ており、導入前と比較すると
24kg-mも違いがあります。
実用域の中間トルクの変化は体感的にもこれはぜんぜん違います。
ノーマルタービンのように低回転から立ち上がる感じで、言うならば、
ブーストアップ仕様をすべて底上げしたような特性です。
はっきり言って、2.8Lを組んだ時よりもはるかに大きい体感度です♪
また、アクセルオンした時のレスポンスが圧倒的に良くなっており、
サーキットのコーナーの立ち上がりなどはレスポンスと
トルクのおかげで非常に楽になり、特にアクセルを抜いて踏みなおす場面などは
非常に速くなりました。
街乗りでも最高に乗りやすいです。ブーストがかかる前でも車が前に出ようとしますし、
2000回転チョイからブーストがかかるので、出だし~中間は無敵の加速感があります。
ただ、今の仕様だとトルクがフラットすぎて面白みという点ではやや欠けます。
やはりトルクがフラット特性になる分、体感的な刺激は少なく感じるかもしれません。
5
問題点
逆に欠点は、僕の仕様だと高回転の伸びが悪いところです。
Vcam Proはstep1のVcamに比べてベースカム角が大きいので、より高回転向きの
はずですが、小さめのツインターボではその高回転の伸びは発揮されません。
中間までにタービンの仕事量の限界に達しているようで、高回転では頭打ち感があります。
実際にグラフをみても、トルクのタレが始まるのがやや早くなっいています。
ピークパワーを見てもVcam導入前とほとんど変わっておらず、一基320馬力程度の
タービンで、現在のパワーは補正をすると650馬力程度ですから、
やはりタービンの限界だと思います。将来的にシングルにすることを視野に入れて
step Proを選択したので、やはり今のエンジン本体とVcamの仕様からすると、
タービンが合っていないと言わざるを得ません。
Vcam Proにあったタービンを選択すればもう少し高回転よりの特性に変化し、
さらに気持ちがよい特性になると思います。
もちろん街乗りではこれはまったく問題ありませんが、サーキットではもう少し
高回転寄りにしないとストレート加速の後半がきつい感じがします。
もう1つの欠点は、導入コストの高さです。特にstep ProはHKS製ピストンの
装着が前提であり(リセス加工が入ったピストンが必要です)、
カム山の逃げ加工も必要なため、キット以外のコストが何かとかかります。
また、Vcamにすることで、全開時の中間域の燃料が良く入るので、燃料系の強化も
必要になるケースがあると思います。
逆に言うと、コスト以外のデメリットはほとんどないような気がします。
6
その他の変化
アイドリングはやはりハイカム独特の脈波ではなく、ノーマルカムに近い音に
なります。僕の場合はProのせいか、若干のばらつきは残っています。
また、ややアイドリングの音量が小さくなった気がします。
7
燃費について
燃費については、理論的には向上していいはずです。
結果、街乗りメインで5.3~5.5km/Lほどで、さほど変化がないか、若干低下しました。
これの原因は、ブーストが早くかかりすぎる影響だと思います。
現在は2000回転くらいからブーストがかかるので、今までブーストがかかって
いなかった領域でもブーストがかかるようになり、大げさに言えば、
負圧で走る状況が少なくなっているためだと思います。
実際に、なるべくブーストがかからないように意識すると、5.9/Lくらいまでは
伸びましたが、楽しくてどうしても踏んでしまうので、1タンクすべてを
ゼロブーストで走ることは出来ませんでした (>_<)
想像するに、これもタービンが大きくなれば燃費も改善すると思います。
また、Vcamを組むことで、排ガスも理論的には綺麗になるはずです。
8
結論と今後
(写真右側はV-camをコントールしているバルコンです。
ここにリアルタイムでバルタイが表示されます。
ただし、コレが予想以上にでかいので、取り付け場所に苦労します)
結論は、激変というくらい違いが体感できますし、実用域トルクが大幅アップするため
満足度が非常に高く、導入すればほとんどの方が満足できると思うので、お奨めできます。
高回転のパワーのみで良いような、DRAG仕様や最高速仕様などの使用用途が
限られていている場合以外では、メリットは非常に大きいと思います。
バルタイを可変にしてタービンを早くから回し、それを持続させるということは、
ターボ車にとっては理想的なことだと個人的には思います。
Vcamの使い方としては2種類思いつきます。
一つは今の僕のようなツインターボで、極太低速トルク、フラットトルクを目指すというもの。
もう一つは、ビックタービンを低回転から、しかもしっかり回すという目的のもの。
Vcam step1Aが前者に近く、Vcam step Proが後者に合っているような気がします。
step1Bはその間というのが僕のイメージです。
ツインターボの装着すればいずれのVcamでも低速トルク仕様にはなると思いますが。
今後はタービンをシングルにしするとstep Proの本当においしいところが
見えてくると思います。
個人的なお奨めとしては、Vcam Proならシングルタービンか、デカイツインターボ
じゃないと、Proの良さは活きないかなと感じています。
街乗りだけでツインターボで行くならstep1で良いかなと思います。
step1Aはピストンがノーマルでも取り付けできるので、導入しやすいかもしれません。
step1Aから1Bへのグレードアップなども出来るようなので、予算と相談し、
とりあえずstep1Aを入れて、エンジンのOHでHKSピストンが入ってから
グレードアップというのもありかなと思います。
現在はタービンがT88-34Dに変わっており、また印象も変わってきています。詳しくは別整備手帳を参照ください。
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