先ほどのブログでも書いたように、ついに横浜ゴムが国内市販タイヤの値上げに踏み切りました。値上げ率は約7%と、一度の値上げ幅としはここ数年間の中では最高の値上げ率です。(2007年や2008年は5.25%でした*1)
先のブログで値上げの要因は何かとの問いがありましたが、その要因は一つしかありません。
ずばり原材料の高騰です。
今回はタイヤの主な原材料の一つである天然ゴムの値段が、暴騰ともいえる勢いで値上がっていることが最大の要因だろうと推察できます。
しかし、ここでこう疑問に思っているの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「原材料が高騰してるのはわかった。しかし、それらは
一度リーマンショックの時に暴落したんじゃなかったのか? そこから景気が回復して、また値段がリーマン前に戻ったとのだとしても、
リーマン前に何度も値上げしたまま一度も値下げをしていない価格なら、マージンが十分残っているんじゃないのか?」
実は、僕自身がそんな風に思ってたんですよねー。 材料が安くなった時に値下げしなかったのに、値上がった時だけまた価格に転嫁なんて、材料高を値上げに都合の良い方便にしてるだけなんじゃないかと。
だったら、その高いって言ってる天然ゴムの値段ってどんなだよ!?
そう思ったんで、実際調べてみました。天然ゴムは先物取引の銘柄になっているので、僕らのような素人でも、市場の相場を調べることができます。
それで、調べた結果がこれでした。*2
・・・とても暴騰です(汗
自分の中で、あらゆる現材料ってのは北京五輪あたりの時がピークで、景気が回復したとはいえ、あの頃ほどの材料高には程遠いっていうイメージがありました。
が、まったくそんなことありませんでした。
実際に、リーマンショック直後の大恐慌で、相場は一時10年前の水準まで暴落してるんですが、そこから1年でリーマン前の相場に戻り、そのまま止まる事無く駆け上り、たった二年で5倍の値段に跳ね上がっています。リーマン前のピークよりも1.5倍以上高くなっています。
つまり、タイヤメーカー各社が、国内で最後にタイヤを値上げをした時より、天然ゴムの値段が50%以上高くなっている事になります。
ちなみに、今回のタイヤの値上げは当初の予定ではトラック・バス(以下TB)向けタイヤのみのはずでした。
それというのも、タイヤに使われるゴムには、大きく分けて植物から取れる「天然ゴム」と原油から生成する「合成ゴム」の二種類があり、材料の中で天然ゴムの比率が高いのがTBタイヤであったためです。合成ゴムの比率が多い乗用車向け(以下PC)タイヤは、TBタイヤに比べれば天然ゴム価格の影響は少ないというのが、PCタイヤの値上げを見送られていた理由でした。
しかし結局のところPCタイヤも値上げとなりました。それが何故なのかは、いろいろと想像するしかありませんが、まぁ一介の販売員には想像もつかない難解で複雑なやりとりが交わされたのでしょう。
ちなみに、合成ゴムの原料である原油の値段はこのように推移しています。*3
こちらは天然ゴムほどの異常な暴騰ありませんが、それでも不気味に上がり続けています。2008年の異常値にはまだ遠いまでも、すでに2007年の水準には戻っています。今は円高なので、おそらく2007年の頃よりガソリン価格は安くなっているはずですが、1ドル=90円~100円の水準に戻った時が怖いですね。
また、最近猫も杓子もエコということで、各社低燃費タイヤが一斉に登場していますが、おそらくあれらの低燃費タイヤって従来よりも天然ゴムの比率が増えてるんじゃないかと思います。そうなると、天然ゴム暴騰の影響は大きくなります。(まったくの想像ですけど)
その他にも、ゴム以外の原料も全て上昇しています。
このように、全ての情勢がタイヤの価格を上昇させる方向に向かっていっています。
ここ数年であらゆる物の値段が上がっていきました。カレーうどんも値上がりしました。世界的に小麦が高騰したためです。
そのような原材料の高騰は、BRICsに代表される新興国の目まぐるしい経済発展による需要増のスピードに、資源の供給が間に合っていないからですが、こればかりは早晩どうにかなるものでもないでしょう。
パイの数はなかなか増えないのに、奪い合う人の数ばかりが急激に増えてゆく状況です。
そして、そんな状況の中を生きていかざるを得ない我々は、その環境に順応していかねばなりません。
タイヤの値段が7%値上がったらなら、その分7%長持ちさせるような使い方を心がけてみたり。
こまめな空気圧管理、定期的なローテーション、無駄な加減速の削減。
ちょっと気を使うだけで、寿命を7%伸ばす余地のあるユーザーは少なくないと思いますよー。
本文注釈
*1 5%ではあったが、この年は年に2回値上げしている
*2 東京ゴム先物市場
*3 ニューヨーク原油先物市場
Posted at 2011/02/04 00:40:32 | |
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