前回に引き続き、アルミテープチューンの下調べです。いくつかの疑問を、一次情報(トヨタの特許)を読み込んで考察しました。
■逆効果な場合はあるのか?
ホイールの除電の文献に、「除電と燃費の関係」という驚くべき(ドンズバの)記載あり。(冒頭の図) 除電しすぎるとホイールのスポークに空気が張り付き、タイヤハウス内に引き込まれて燃費が悪化するという。曲線の縦のスケールが不明(1km/lかもしれないし0.001km/lかもしれない)、かつテープが無い場合との比較がないので逆効果になるかどうかは不明だが、テープが大なり小なり燃費に寄与するということを、トヨタが言っているということに重みがあると思う。
一方で、バンパー(タイヤハウス)裏にテープを貼る文献では、寧ろ、タイヤハウス内に空気を引き込んでブレーキの冷却効率を上げる記載がある。燃費とブレーキ性能は相反するということかもしれない?
あと、エアインテークの文献で、テープに触れて帯電した空気が下流に流れて、そこにまたテープがあった場合、放電が阻害される、という旨の記載がある。HEVシステムの文献でもテープをあえて風下だけに貼る、という記載もあるので、逆効果とまではいかないが、放電前後の空気の流れには気を付けた方がよさそう。
2020/2/21追記
特開2018-7367に有効放電面積に関する言及がある。これによると放電部が大きすぎると、いったん放電した後の再チャージに時間がかかり、次の放電が起こるまでに時間がかかる?ということらしい。たまーにドバッと放電するより、細かくチマチマ放電した方が平均電位を低く保てる、イメージだろうか。感覚的に分かるような分からないような...
■テープの大きさ・形状はどんなものが良いのか?
コロナ放電を目的としているので、テープの「面」で放電するわけではなく、「エッジ部」で放電を行う。そのため、テープの面積というよりはエッジ部の長さが効く。テープをギザギザ加工する施工例を多く見かけるが、これは理にかなっている。逆に平べったいテープをデンと鎮座させる施工は効率的ではない。
また、除電の効果はテープ周辺の半径50mm~100mm(平面方向)、数mm~10数mm(垂直方向)となっているので、除電したい箇所を絞ってピンポイントで貼るのが効果的である。
例えばエアインテークの場合は「吸入空気流路断面縮小部」つまり、断面が広→狭となる部分にさえ貼れば良いのであって、それ以外は「必要がない」と断言している。また大概の樹脂パーツの厚さ程度(数mm)では表に貼ろうが裏に貼ろうが除電が及ぶので、吸気系のパイプの内側にリスクを負ってテープを貼る必要はないし、ボディやバンパーなどの見える部分に貼って変な目で見られる必要もない。
■金属パーツにも効果があるの?
上記の如く、鋭いエッジがないパーツや、塗膜などの絶縁材料で表面が覆われているパーツは有効な放電が行われないので、金属性の部位(ボディ、マフラー、ボンネット、サスペンション、ホイール等)であっても、帯電は解消できず、アルミテープの御用となる。
■テープ周辺の空気は流動性が必要か?
放電を受けて帯電した空気が停滞すると放電が行われなくなるので「継続的に放電を行うには周囲の空気を流動させることが必要」と明確に書いてある文献と、「一方向に空気が流動する状況に限られない」と濁して書いてあるものがあり、結局良く分からない。外気に触れる部分は問題なさそうだけど、ステアリングコラムなど室内については密閉空間にならないのだろうか。
それについて天井鋼板の除電について記載している文書にヒントがある。

これによると、天井鋼板と室内側ルーフライナの間に閉鎖空間があり、この空間内にテープを貼っても放電ができないので(a)のように室内側にテープを貼ってルーフライナを除電することで間接的に天井鋼板の電位を下げるということらしい。ただ(b)の図なら納得がいくが(a)では除電効果が弱い気がする。構造的にはエンジンカバーと似たようなものなので、そちらの文献と整合をとるなら、テープ貼り付け位置は、ルーフライナーと鋼板の連結部(赤矢印を追記した部分)が望ましいと思う。
更に、室内の空気が室内のテープによって帯電するが、これを例えばフロントウィンドウのテープで室外に追い出す、というような合わせ技も考えられる。
■粘着面の導電性は必須なのか?
全体的には導電性のあるテープを前提として書かれているが、一部の文献(ブレーキ、ハブベアリング、ショックアブソーバー、サスペンション)には「粘着剤の層の厚さが数百μm以下なら可」の旨記載がある。これらは全て金属パーツに貼るケースなので、そういうところでは非導電性テープでもいいと理解しておく。
2020/2/21追記
実はアルミテープやら導電性粘着剤は十分条件であって、必要条件ではない(ビニルテープでもOK)という
新しい特許が出ていますので、2020年時点では「導電性アルミテープが必須」という認識は完全に時代遅れのようです。
■そもそも本当に除電されるのか
フロントガラスの帯電がアルミテープによって除電されることを検証した大変興味深い記事がありましたので、
リンクしておきます。
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Posted at
2020/02/15 17:20:31