レアな故障診断の落し穴

N-箱でトラコンやABSやEPSの警告灯
が点灯したクルマが 入庫して来ました。
愛機G-SCAN3を繋いで覗くと5個ものDTC表示。
取り敢えず一旦メモし、リセットして一過性の物を排除し
テスト走行すると、舵角センサーエラー3ってのが残りました。
このコードの場合サービスマニュアルによるといきなり
舵角センサーの交換が第一ステップで次がECUの書換、ECUの交換と指定されていました

コレがホンダの公式手順。
舵角センサーエラーが表示されたので舵角センサーを交換しているのも検索すると出て来ますが、今回はそんな事すると落し穴に落ちる
トラブルシュートだったので過程を紹介します😃
何ならコチラの方が多いのでは？長文になります
興味深い内容ですが難しいので苦手な方は読まない方が良いかも。
それでも噛み砕いて説明します。興味の有る方はご覧ください
まずテスト走行した時に直線で1時半程ステアリングを右に切っていないと直進しませんでした。
サイドスリップを測るとアウトに5.7ミリ。反力も無くその状態で直進出来ます。
G-SCANを繋いでデータリストを見るとステアリングセンターで

マイナス15になっていてコレまた
舵角センサーが怪しいな。となります。
基本的には左右のロック＆ロックは同じ場合が多いので観察すると右はプラス630

左はマイナス657でおかしい。

因みに右がプラスで左がマイナスです。

完全に足回りに衝撃が入りサイドスリップが狂っています。
ホイールにも怪しい傷が有りタイヤは何故か新品なんだよ😅

そんで何故EPSの警告灯が点灯したのかは？
4輪の回転数が同じで直進しているのに舵角センサーが右に転舵しているのを検知して警告灯を点灯させます。

それでは何故ABSやトラコンまで警告灯を出すかと言えば
例えば広い平地でステアリングを一回転させた状態で時速10キロでグルグル回ったとします。
左右のトレッドの違いや前後の内輪差でこのタイヤはこのステアリング切れ角でこの速度で走行したらこの車輪はこの回転数になるよね！ってのがクルマにインプットされていて、ある閾値を越えると警告灯を点灯させます。
舵角センサーや車輪速センサーまで異常を感知するとVSCなどの
安全装着までフェールセーフ（安全装備）が働く理屈です。

なので直進でステアリングセンターが出てサイドスリップイン0.7に調整して再びG-SCANでDTCを消してテスト走行しても警告灯が点灯してしまいました😭
センターでマイナス15出ますよ😅
そんで昔にホンダディーラーに居たのでセンター学習ってのがあったな？とか思い試すがそんなの有りませんでした。
その代わりに工場出荷時に戻すリセットは有りました

平地に停車してIG ON状態で行います。勘違いされやすいのは
ブレーキを踏まずにスタートボタンを2回押した状態です
因みにDTCは全て消去した状態で無いと出来ないので
1センチも動かしてはいけません
この状態でリセットすると無事に直りました😃

診断機が舵角センサー不良と表示したからと言って舵角センサーを交換したのにも関わらず直らないよ😭
とか先輩に泣き付くとか診断機のせいにするのは駄目なメカニックだと思います。