2022年03月17日
ロシア財務省は17日、前日に期限を迎えたドル建て国債の利払い計1億1700万ドル(約140億円)の支払いを実施したと発表した。当日に利払いがなく、30日間の猶予期限を経ても支払いがなければ債務不履行(デフォルト)になるとの懸念が出ていた。
16日に期限を迎えたのはロシア国債2本の利払い。ロシア通信によると、支払いは外貨で実施されたという。ロシアは事前の契約と異なるルーブルでの支払いも検討しており、この場合もデフォルトと評価される見方があった。
投資家側が受け取ったかどうかは確認されていない。
Posted at 2022/03/17 23:04:19 | |
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2022年03月17日
FRBはどこまで引き締めるのか
景気リスクを度外視してまで、FRBは利上げを続けられるのか。16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、22年中さらに6回、23年には3~4回の利上げを想定していると明らかにした。シナリオ通りなら米政策金利は22年中に計1.75%上昇し、23年中には2.8%まで高まることになる。
前回の利上げ局面(15~18年)は最大でも年1.00%しか金利を引き上げておらず、今回はかなりのハイペースになりそうだ。パウエル議長は5月の次回会合で、保有資産を圧縮する「量的引き締め」に着手する可能性もあると明らかにした。米経済は二重の引き締めに突入していくことになる。
もっとも、コロナ危機下のインフレに早くから警鐘を鳴らしてきたサマーズ元財務長官は15日発表した論文で、政策金利を5%程度まで引き上げなければ物価高は止まらない可能性があると指摘した。金利上昇は景気を強く冷やすことになり、失業者も増えて米国は「大不況に陥るリスクがある」ともいう。
世界経済や市場は耐えられるか
米利上げは世界経済にも試練をもたらす。FRBがゼロ金利政策と量的緩和政策を敷いたこの2年間で、ダウ工業株30種平均は2万ドル弱から3万4000ドル台まで上昇した。米企業の税引き前利益も20年4~6月期の1兆9000億ドルから21年7~9月期には2兆9000億ドルに増え、コロナ危機下にありながら高収益を確保してきた。
株価上昇や収益拡大は、低金利政策で借り入れが容易だったことが大きい。米国の企業債務残高(非金融部門)は、コロナ危機前(19年末)の10兆1470億ドルから2年で15%も増大した。世界全体でみても新興国が借り入れを大きく膨らませており、債務残高は20年末の87.2兆ドルから21年末は95.7兆ドルまで増えている。
FRBの利上げはこうしたマネーの流れを逆回転させる。大和総研の試算によると、現在2.1%程度の米長期金利が30年に5%台まで上昇すれば、企業の不良債権比率が1.2%から3.4%まで高まるという。2000年代前半のITバブル崩壊後の水準を上回り、サマーズ氏の景気後退シナリオが現実味を帯びる。債務を膨らませた新興国も一転して資本流出に苦悩する。
米利上げでマネーは利回りが見込めるドルに回帰するため、外国為替市場では一段の円安要因となる。16日のFOMC直後、ニューヨーク市場では円相場が一時1ドル=119円台まで下落し、16年2月以来6年1カ月ぶりの円安・ドル高水準になった。
原油高と円安が重なれば、日本は石油やガソリンなどの輸入価格が一段と上昇し、景気を圧迫することになる。円安と物価高を止めるために日銀が金融緩和の縮小に動けば、日本は国家財政も企業財務も米国以上に備えがないだけに、景気への強い打撃が避けられない。
Posted at 2022/03/17 20:53:44 | |
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