2022年03月30日
ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、戦費がプーチン政権の重荷になり始めている。米欧などによる経済制裁で国家財政が苦しくなり、戦闘機の補修やミサイルなど兵器の補給にも制裁の影響が及んでいる模様だ。
露国防省によると、セルゲイ・ショイグ国防相は25日、アントン・シルアノフ財務相と会談し、軍予算の増額について協議した。
ロシアはウクライナ侵攻の戦費を公表していないが、巨費に上るとの指摘が相次いでいる。
英国の調査研究機関などは今月上旬、ロシアの戦費に関し「最初の4日間は1日あたり70億ドル(約8610億円)だった。5日目以降は200億~250億ドル(約2兆4600億~3兆750億円)に膨らんだ」と試算した。露政府の歳入は年間で25兆ルーブル(約31兆2500億円)程度だ。
ロシアの調査報道専門メディア「インサイダー」によると、ロシア軍が26日に発射した52発のミサイルの総額は推計3億4000万ドル(約418億円)だった。プーチン大統領は、ロシア軍が6日にウクライナ中部の空港に高価な長距離精密誘導弾8発を撃ち込んだことに激怒したとも報道された。
北大西洋条約機構(NATO)のジェームス・スタブリディス元欧州連合軍最高司令官は今月中旬、米通信社への寄稿で、プーチン氏は「国民の支持を失う前に金欠になるだろう」と皮肉った。
制裁はロシア軍の補給にも影響する。戦闘機などにはロシアへの輸出が禁じられた部品が使われている。ミサイルや戦闘機の製造に不可欠な半導体も禁輸対象となり入手が困難になった。
戦闘での損失状況を確認している軍事情報サイト「Oryx」によると、露軍は侵攻で戦車約300両など2000以上の兵器や装備品を失った。その数はウクライナ軍の損失の約4倍とされる。
Posted at 2022/03/30 22:28:52 | |
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2022年03月30日
29日の米債券市場で、期間2年の国債利回りが同10年の国債利回りを一時上回る長短金利の逆転現象が起きた。「逆イールド(利回り)」と呼ばれ、市場では近い未来の景気後退を示唆するサインとして注目されている。今回の逆イールドはなぜ起きたのか。果たして景気後退は近いのか。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策への影響を含め、ポイントを読み解く。
(1)「短期」と「長期」の逆転、なぜ起きた?
逆イールドは年限の短い国債の利回りが長い国債の利回りを上回る状態を指す。今回は米2年物国債利回りが2.39%の近辺で推移していたとき、低下傾向にあった10年債利回りを瞬間的に上回った。
背景にはFRBの急激な利上げ路線がある。3月に利上げに着手したFRBは高インフレを鎮めるため、今後も年内すべての米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを続けるシナリオを掲げ、多くの高官は必要なら引き上げ幅を0.5%と通常の2倍にする意向を示す。
償還までの期間が短い債券の利回りは目先の金融政策の変化に敏感に反応する。2年債利回りは利上げ加速を織り込み、強い上昇圧力がかかっている。半面、10年債利回りはその先の景気減速や後退リスクを不安視し、2年債ほどの勢いでは上昇していない。このため、2年が10年の金利を上回るような状況が生まれた。
(2)景気後退のサインとされる理由は?
金利とはあらかじめ定められた期間でお金を貸し借りする際、借り手が貸し手に払うコストのこと。期日までの時間が長いほど金利が高くなるのがふつうだ。債券の場合、保有期間が長くなるほど、投資したお金を回収するまでに時間がかかる。その間、債券価格や利回りは経済や物価の動向に左右されやすいので、その変動リスクに見合った金利が求められる。
償還までの期間ごとの国債利回りを並べて線で結んだ利回り曲線(イールドカーブ)でみると、通常なら「右上がり」の姿を描く。順イールドとも呼ぶ。ところが現在の利回り曲線は期間によっては通常とは異なる「右下がり」の姿になっている。この右下がりの区間で逆イールドが起きているというわけだ。
先行きに景気不安が強まると、利回り曲線の形状にこうしたゆがみが生じることが多い。今回のように「FRBが利上げを急速に進める結果、将来の景気が後退に向かい、利下げに転じざるを得なくなる」といったシナリオを多くの市場参加者が持つ場合が代表例だ。
市場では逆イールドが景気後退を予告するサインとして注目されることも多い。過去を振り返ると1970年代以降のほとんどの景気後退局面で、その1~2年ほど前に逆イールドが発生している。
2008年に始まった金融危機前の景気後退局面ではその2年ほど前に長短金利が逆転した。IT(情報技術)バブルが崩壊した01年からの後退局面でも、およそ1年ほど前に発生している。
半面、米ヘッジファンドの実質破綻が市場を揺らしたLTCM危機があった1998年など、逆イールドが発生しても景気後退が訪れなかったこともある。長短逆転が起きるタイミングや期間にもばらつきがあり、景気後退を予言する万能の物差しというわけではない。
(3)FRBの金融政策には影響するのか?
FRBは期間10年などの長期金利を用いた金利差だと、景気の予測精度は低いとしている。FRBは「景気は強く、今後1年の景気後退リスクは低い」との立場を崩さず、利上げによるインフレ鎮圧を優先する構えだ。
パウエル議長は最近、1年半以内の短期の利回り曲線に注目していると述べた。FRBが重視する「18カ月後の3カ月物の先物金利」と「現実の3カ月物金利」の差は今後1年あまりの利上げ路線を反映し、まだ拡大傾向が続いている。
ただし実際に景気後退に陥るかどうかは、今後の急激な利上げで高インフレが鎮まるかにかかっている。インフレが早期に収まらない場合、FRBは景気を犠牲にしてでも利上げを続けざるを得なくなるからだ。
金利の長短逆転は、金融機関などの収益を圧迫し経済活動を冷やす影響も考えられる。銀行は短期で資金を調達して企業などに長期で融資をすることも多く、その「利ざや」が収益源になっている。長短金利の逆転で利ざやが圧縮されれば、融資に及び腰になりかねない。
投資家の間でも短期資金を借りて低格付け社債などに投資する動きがみられ、米経済の中核である直接金融でも似たようなことが起きることもありうる。実体経済への影響も目配りする必要がありそうだ。
Posted at 2022/03/30 18:54:38 | |
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2022年03月30日
30日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比225円17銭(0.80%)安の2万8027円25銭で終えた。3月期末の配当の権利落ちで日経平均は240円ほど下押しされた。前日までの配当狙いの買い需要がなくなったことで売りが優勢となり、下げ幅は500円を超える場面もあった。足元で進んでいた円安・ドル高に一服感が出たことも日本株の重荷となった。半面、ウクライナ情勢の緊張緩和への期待は下値を支えた。
日銀の黒田東彦総裁が首相官邸で岸田文雄首相と会談したと伝わった。政府・日銀による円安対応がなされるとの思惑から、為替相場で円買いが進行。円相場は一時1ドル=121円台前半まで円高・ドル安方向に動いた。トヨタや任天堂などの海外売上高比率の高い銘柄を中心に指数の重荷となった。
配当狙いの買い需要がなくなり、高配当銘柄の下げも目立った。ウクライナとロシアの停戦合意への期待が膨らむなか、資源インフレ圧力が後退したことも手伝い、総合商社や住友鉱などが下落した。
日銀は国債買い入れオペ(公開市場操作)について、増額と予定外の超長期債の追加を発表した。長期金利が低下するなか運用収益が悪化する可能性が嫌気され、銀行株もさえない動きとなった。
JPX日経インデックス400は反落。終値は前日比232.56ポイント(1.29%)安の1万7751.80だった。東証株価指数(TOPIX)も反落し、24.06ポイント(1.21%)安の1967.60で終えた。
東証1部の売買代金は概算で3兆4315億円。売買高は14億442万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1399銘柄だった。値上がりは715、変わらずは55銘柄だった。
Posted at 2022/03/30 18:50:11 | |
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