2022年03月25日
ノルウェーのエネルギー調査会社、ライスタッド・エナジーで石油市場調査チームの責任者を務めるビヨナル・トンハウゲン氏はロシア制裁で「原油価格は年内に1バレル180ドルもあり得る」との見解を示した。供給不足の解消は2023年以降になる見込みで、年内は原油価格が高値圏で推移する可能性が高いという。
ライスタッドは欧州を代表するエネルギー産業の専門家集団で、世界中の石油会社や金融機関、国際機関などを顧客に持つ。同社のパートナーで石油市場調査の責任者であるトンハウゲン氏の発言は、業界に一定の影響力を持つ。
ライスタッドによると、ウクライナ侵攻前、ロシアは日量620万バレルの原油を輸出していた。トンハウゲン氏は「430万バレルを輸入していた欧米や日本など『西側諸国』がどこまで減らすかが需給バランスを決める」と指摘する。
西側諸国がロシア産原油を完全に禁輸せず、75%減らす「中間的なシナリオ」でも、他国の増産が間に合わないまま原油の需要が増える夏季を迎えれば、日量300万バレル程度の供給が足りなくなる計算だ。この場合、1バレル180ドルと現在から6割高い水準に「簡単にいくだろう」と説明した。
足元では悪天候による施設の損傷により、カザフスタンとロシアを結ぶパイプライン経由で運ばれる原油輸出が停止している。日量100万バレル規模の輸出が滞る計算で「供給制約に拍車をかけることになる」という。
バイデン米政権は「我々は戦時体制にある」として国内のシェール業界に増産を呼びかけているが、トンハウゲン氏は「掘削済みの油井が少ない上、年内は物流網の混乱や労働力不足があり、増産には限界がある」と分析する。23年には米国のシェールだけで日量100万バレルの増産が可能となるが「供給不足という現在の問題解消には貢献しない」と話した。
鍵を握るのは中東諸国だ。「現在、増産余力があるのはサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)だ」として、原油価格は両国の動向次第だと強調した。また、「イランは在庫を保有しており、2~3カ月で輸出は増やせる」として、イラン核合意の再建交渉が進展すれば日量100万バレル以上の供給増加が期待できるという。
石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国でつくる「OPECプラス」はこれまで増産に慎重な姿勢を崩していないが「彼らは価格が安定することが、世界経済や石油の需要に寄与することを理解しており、急激な変動や不確実性は求めていない」と分析。ロシアのウクライナ侵攻直後に行われた前回会合では「議論する十分な時間がなかった」ため増産を見送ったが、31日に予定されている次回会合以降で増産に向けた議論が本格化するとの見通しを示した。
欧州諸国は現在、ロシア依存を減らすため液化天然ガス(LNG)の受け入れに向けたインフラ投資などを進めている。逆に「中国やインドは今後、中東よりもロシアから購入するようになるだろう」として、石油やガスの流通経路そのものが長期的に変わると説明した。
原油価格の高騰を受け、欧米メジャーをはじめ石油企業の収益力は急回復している。しかし「短期的に化石燃料に投資するかもしれないが、ほとんどのエネルギー企業は次世代エネルギーへの移行や気候変動への対応にバランスを取る」として、化石燃料への投資は限定的になるとの見通しを示した。一方、「再生可能エネルギーへの移行は加速するだろう」と断言。石油需要のピークは早まる可能性が高いという。
Posted at 2022/03/25 19:52:29 | |
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2022年03月25日
25日の香港株式相場は続落した。ハンセン指数の終値は前日比541.07ポイント(2.46%)安の2万1404.88だった。ウクライナ情勢や米中対立、中国景気など不安材料が多く、朝方からリスク回避目的の売りが活発だった。指数は午後に一段安となり、3%近く下げる場面もあった。
電子商取引のアリババ集団や出前アプリの美団など中国ネット大手が大幅安。アジア保険のAIAや、バイオ医薬の薬明生物技術が安い。自動車や消費関連株も下げた。
半面、衛生用品の恒安国際集団や、中国スマートフォン部品の瑞声科技控股(AACテクノロジーズ)が高い。資源関連や香港不動産株の一角も上げた。
香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は4.98%安だった。
香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1475億香港ドル。中国本土との相互取引で、本土投資家による香港株の売買は売り越しだった。
Posted at 2022/03/25 19:40:54 | |
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2022年03月25日
9日続伸という市場関係者も驚く上昇を見せた日経平均株価だが、そろそろ踊り場かという声も聞こえてきた。2万8000円台を回復したここまでを主導した海外勢の買い戻しや、強烈な「踏み上げ」など需給要因の買い一服後は、新規の買い要素は見えていない。
「まるで主役の決まらない映画を見ているようだ」――。山和証券の志田憲太郎・調査室課長はきょうの相場をこう表現した。
25日の日経平均株価は前日の米株高を追い風に寄り付きで付けた前日比200円ほど高い2万8338円を午前の高値にその後は、下げに転じたり再び上げたり……。どちらに向かうか気迷っている相場つきだった。
ここまでの相場を振り返ると、けん引したのは海外勢による買い戻しという見方が多い。日経平均が9日に2万4717円まで急落し、悲観が相場を覆っていた3月第2週に現物で日本株を1兆円近く売り越していた海外投資家は、米連邦公開市場委員会(FOMC)通過を機に一気に買い戻しに動いた。その勢いは止まらず、売り方が買い戻しを迫られる踏み上げも巻き込んで、強烈な戻り相場となった。
問題はここからだ。ここ2週間、ロシア・ウクライナ情勢は緊迫したままだ。市場を取り巻くファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は変わっていないどころか、米長期金利は上昇を試して米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め観測を一段と織り込む展開となっている。「ここからの上昇に必要な『新規買い』の要素やテーマはいまのところ見当たらない」と山和証券の志田氏は指摘する。
きょうは戻り相場の象徴だったソフトバンクグループ(SBG)が7営業日ぶりに反落した。日本郵船など海運大手3社は前日にそろって急落。きょうは朝安後に切り返して粘り強さを見せているものの、ロシアに対する経済制裁を背景にした欧州経済の悪化など気がかりな要素も増えてきた。
総務省が25日発表した3月の東京都区部の消費者物価指数(CPI、中旬速報値)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合が前年同月比で0.8%上昇と、伸び率として2年3カ月ぶりの大きさになった。そうしたさなかで進む円安・ドル高は輸入物価の上昇を通じて日本企業の業績にボディーブローのように効きそうだ。自動車メーカーも減産の長期化で円安の恩恵を享受しきれない可能性がある。
来週も配当再投資の買いなど需給が下値を支えるものの、買い戻し主役の上昇相場は終わりが近そうだ。その続編の役者がそろわないと、4月の上昇相場の幕は上がらないかもしれない。
Posted at 2022/03/25 19:38:25 | |
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2022年03月25日
25日の東京株式市場で日経平均が9営業日続伸した。10営業日続伸した2019年9月3日~17日以来2年半ぶりの連騰記録となった。ウクライナ情勢の膠着が続いており、一段の状況悪化を懸念していた投資家の慎重姿勢がいったん和らいでいる。年度末に向けて配当の再投資など需給改善が期待されることも株価を下支えしている。
金融引き締めが進む米国などと比べ、政策変化が起きづらいとみられていることも日本株の買い安心感につながっている。
Posted at 2022/03/25 19:33:29 | |
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2022年03月24日
1000億円を上限に自社株買いを実施すると発表したトヨタ自動車だ。企業の株価下支え役としての期待が高まっている。
「『株価は安い』とのメッセージ」(UBS証券の高橋耕平氏)。トヨタの自社株買いについて市場では好意的な受け止めが相次いだ。企業の自社株買いは「自社の株価が割安だと示すシグナル」という側面を持っている。株式需給と資本効率の改善への期待も合わせて、トヨタ株は上昇した。
トヨタは2016年以降、決算発表に合わせて5月と11月に自社株買いを決めてきた。期末を控えた3月に今年度3回目となる自社株買いを発表したのは異例。それだけ経営陣が市場にメッセージを出したかったと受け止めることができる。自動車業界は半導体不足や原材料費の高騰が収益面で逆風となっているが、トヨタが今後の成長に自信を持っていることをうかがわせる。
Posted at 2022/03/24 22:19:32 | |
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