2022年03月10日
バイデン米政権は9日、ポーランドからウクライナへの戦闘機の供与に一転して反対する方針を示した。ロシアの「レッドライン(越えてはならない一線)」を越え、米欧とロシアの軍事衝突に発展するリスクが高いと判断した。別の手段でウクライナの防空体制強化を支援する構えだが、残された時間は少ない。
ハリス米副大統領は10日、ポーランドの首都ワルシャワでモラウィエツキ首相と会談した。ウクライナへの防衛支援を擦り合わせるためだ。ポーランドが受け入れるウクライナからの避難民への支援も協議した。
ハリス氏はポーランドのドゥダ大統領とも会談し、その後、共同記者会見に臨んだ。会見でハリス氏は、米国が北大西洋条約機構(NATO)の条約第5条(集団防衛)に「関与する」と改めて言及し、NATOの同盟国であるポーランドが攻撃を受けた場合は同国の防衛に参加すると強調した。
ハリス氏は会見で、ポーランドに地対空ミサイル「パトリオット」を供与したとも明かした。「これは同盟国の安全保障への米国の関与を示す」と指摘した。
ウクライナへの戦闘機の供与について、ドゥダ氏はNATO全体の判断に従うとの立場を示した。事実上、供与を見送る姿勢だとみられる。
ハリス氏の訪問に先立ち、オースティン米国防長官は9日、ポーランドのブワシュチャク国防相と電話でウクライナへの戦闘機の供与をめぐって協議していた。オースティン氏は「現時点でウクライナ空軍への戦闘機の供与を支持せず、そのため我々の管理下に置くことを望まない」と伝えた。
Posted at 2022/03/10 22:25:02 | |
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2022年03月09日
ロシアによるウクライナ侵攻に続き、経済戦争が勃発した。
西側陣営は過去に例のない制裁を導入した。投資家はできる限り早く、ロシアの資産を処分している。通貨ルーブルの価値は年初来で3分の1も目減りした。
ロシア政府は近くデフォルト(債務不履行)するかもしれない。
コンサルティング会社キャピタル・エコノミクスは、ロシアのインフレ率が遠からず15%に達し、今年の国内総生産(GDP)が5%縮小すると予想している。
1991年のソビエト連邦崩壊後、インフレ率は2000%を突破した。1998年にはロシアがデフォルトし、ルーブルの価値が3分の1以下に暴落した。
そして2014年には、原油価格の急落がクリミア半島とドンバス地方での活動に対する国際制裁と重なり、ロシア経済は深刻な不況に陥った。
ウラジーミル・プーチン大統領は何年も前から、西側諸国の政府が何をしてきても容易に耐えられるようなロシア経済の防衛体制構築に取り組んでおり、成功したと思われていた。
Posted at 2022/03/09 21:09:40 | |
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2022年03月08日
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は8日、フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相とウクライナ問題をめぐってオンライン協議を実施した。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、習氏は米欧日のロシアに対する経済制裁に反対を表明した。大規模な人道危機を防ぐために「最大限の自制」を求めた。
習氏は「(米欧などの)制裁は世界の金融、エネルギー、交通、サプライチェーンの安定に衝撃を与える」と発言した。「新型コロナウイルスの流行のもとで世界経済の足を引っ張り、各当事者にとって不利になる」と続けた。米欧日の制裁でロシア経済は大きな打撃を受ける可能性があり、ロシアの立場を擁護した。
習氏は欧州連合(EU)やロシア、米国、北大西洋条約機構(NATO)の名前を挙げて「平等な対話を展開することを望んでいる」と話した。「緊迫した情勢がエスカレートし、暴走することを避けるのが急務だ」とも指摘し、今後も仏独など欧州側とウクライナ問題について話し合いを続けていく方針を示した。
7日の記者会見で中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は国際社会とともに必要に応じて仲裁する考えを示したが、具体策に言及しなかった。習氏も仏独首脳に「仲裁のために取り組んだ努力を称賛する」と述べただけだった。当面は当事者間の話し合いを促し、中国に責任が及ばない方法を検討しているとみられる。
中国は今年の秋に共産党幹部を決める5年に1度の党大会が控えている。仲裁に失敗すれば習指導部のメンツにもかかわるだけに、直接の関与には慎重だ。
Posted at 2022/03/08 22:47:40 | |
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2022年03月08日
ウクライナ当局は8日午前、ロシア軍に包囲されている北東部スムイなどで住民の避難が始まったと発表した。戦闘が続く地域で交戦を一時停止して住民を安全な場所に移動させるルート、いわゆる「人道回廊」を設けて避難が始まるのは、ロシアのウクライナ侵攻開始後初めて。安全で円滑な住民避難が続けられるかが今後の焦点となる。
両国は、スムイからウクライナ中部ポルタワに抜ける避難ルートの設置で合意した。ロシア側は同日、スムイのほか首都キエフ、第2の都市ハリコフ、南東部マリウポリ、北部チェルニヒウの5都市で「人道回廊」を設定したと発表した。ウクライナ当局の発表によると、キエフ近郊のイルピンやマリウポリでも避難活動が始まっているという。
ただ、ウクライナ外務省報道官はマリウポリからの避難ルートに「ロシア軍が砲撃している」とツイッターに投稿し、ロシア側が停戦合意に違反したと主張した。住民避難で混乱が生じる可能性もある。
「人道回廊」を巡っては5、6日に両国がマリウポリなどを対象に設定することで合意したものの、交戦停止の時間になってもロシア軍の攻撃が続いたため、2度にわたり住民の避難を見送っていた。7日にはロシア側がキエフなどに「人道回廊」を設置すると一方的に発表したものの、退避先がロシアかベラルーシに限られたことからウクライナ側が反発していた。
ロシアとウクライナは7日、停戦を巡って3回目の対話を隣国のベラルーシで開いたが、停戦への道筋は描けなかった。
Posted at 2022/03/08 21:37:46 | |
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2022年03月04日
ソニーグループとホンダは4日、電気自動車(EV)事業で提携すると発表した。年内に共同出資会社を設け、両社で開発したEVを2025年に発売する。EVには異業種の参入が相次ぐ。ソニーのIT(情報技術)とホンダの生産技術などを持ち寄り、先行する米テスラなどに対抗する。EVシフトが生み出す600兆円市場を巡り、業種の垣根を越えた再編が進んできた。
共同出資会社がEVの設計や開発、販売を手掛け、生産はホンダの工場に委託する。ソニーが車の頭脳にあたるソフトウエアや車内でのエンターテインメントを開発し、ホンダが駆動装置や安全機能などの機械的な技術を提供する。両社の強みのある分野を組み合わせて新たなEVを開発する。
25年に最初の車種を販売した後は他社にも提携への参加を呼びかける。新会社への出資比率やEVのブランド名などの詳細は今後詰める。
同日の記者会見でソニーの吉田憲一郎社長は「ITと通信技術を軸にモビリティー(移動)空間の進化をリードする」と述べた。ホンダの三部敏宏社長は「車と異業種の技術を掛け合わせることで新しい価値を生み出したい。ホンダ本体のEV戦略とは別に取り組む」と語った。
ソニーはかねてEVへの参入を検討してきた。20年に自動運転機能を備えたEVの試作車を公開し、22年1月にEVの事業化に向けた検討に入ると発表した。
異業種が自動車事業に参入するにはEVの基幹部品である車載電池や駆動装置などの調達に加え、効率的に車を造る大量生産の技術が欠かせない。ソニーはホンダと組むことでEVの量産にめどをつけ、得意とするITやセンサー、エンタメ設備などの開発に集中する。
EV向けのソフトウエアはホンダ以外の自動車メーカーにも販売する方針だ。自動車関連の事業をエンタメや金融などに次ぐ収益の柱に育てる。
独自動車部品大手のコンチネンタルによると、世界の自動車市場は30年に現在に比べて2倍の600兆円に拡大するとみられている。けん引役はEVで、英調査会社LMCオートモーティブによれば、EVの世界での販売台数は30年に7倍強の3346万台に増える見込みだ。
EVにはIT企業を中心に異業種からの参入が相次いでいる。中国の新興企業の参入も目立ち、欧州などへの輸出を本格化している。米アップルの参入も取り沙汰され、ソニーはホンダと提携することでEVの事業化に先手を打つ。
ホンダは21年4月、40年に新車のすべてを走行時に二酸化炭素(CO2)の出ないEVと燃料電池車(FCV)にすると発表した。北米では米ゼネラル・モーターズ(GM)とEV事業で包括提携しており、他社との連携を軸にEVシフトを急いでいる。ソニーと組むことで工場の稼働率を上げ、次世代車の開発スピードも早める。
Posted at 2022/03/04 20:23:25 | |
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