
注目の
新型オデッセイに乗ってきました。
試乗車はアブソルート(5速AT、FF)、ボディカラーはプレミアムホワイトパールです。
(フォトギャラリーに写真がちょっとあります。)
○だった点
・視界がよくなった
先代オデッセイの有名な弱点として、Aピラーが太過ぎて死角が大きく、交差点などで歩行者が見えなくなって危険であることが言われてきました。
新型はここを徹底的に改良したようで、Aピラーはほかのミニバンやコンパクトカーに比べてもかなり細く、斜め前方の視界が驚くほど改善しています。市街地走行やUターン、段差のある駐車場からの出入りの際なども車の直近や、他の車や歩行者の動きがよく見えてストレスが少ないです。
またサイド・リヤウインドウも多少大きくなっているようで、全体的に視界がよくなっています。視界のよさは安全性や運転のしやすさに直結するだけに、このような改善は大歓迎です。
・スポーティな走り
これは先代から定評があったのですが、低い車高を生かしミニバンとは思えないスポーティな走りです。試乗中は7~8%程度の勾配の山道も走ってみたのですが、エンジンパワーは余裕綽々、タイトな下りコーナーも非常に安定して走ってくれるので、ついついペースが速くなってしまいました。同じ道をマツダビアンテで走ったことがあるのですが、緊張感がまるで違い、オデッセイの方が圧倒的に楽に走れました。
家族を乗せているときは余裕のあるエンジン・シャシー性能で安全な走りを、一人で走っているときにはちょっと楽しく走るということもできそうです。
・ノーマルホイールを大きくしすぎていない
アブソルートは18インチですが、L・Mなど標準グレードが16インチと、スタイルを重視した車としてはホイールの径が小さいです。ここ最近はヴェルファイアのZグレードなどのように、ノーマルでも18インチなど大径ホイールを履かせている車がありますが、乗り心地に悪影響が出たり、交換時の費用が高くついたりなど、ルックス以外のメリットはあまりないでしょう。
オデッセイは全高が低くて基本的なシャシー性能に余裕があり、幅広大径タイヤを履かなくても高い運動性能が実現できるので、極端な大径ホイールを履いていないのでしょうが、実用性や経済性を考えると、メーカーの見識は正しいと思います。
もう少し頑張ってほしい点
・2列目中央席ヘッドレストがない&シートベルトが2点式
最上級グレードのLi以外は2列目中央席にヘッドレストがないうえ、シートベルトがNLR式(自分で長さ調節をしなければいけないタイプ)と、上級ミニバンらしからぬお粗末さです。これは贅沢装備ではなく、今時あって当たり前の安全装備だと思います。時機を見て早急に改良をお願いしたいところです。
・3列目シートの折り畳みが重い
3列目シートは折りたたんで床下にフラットに収納でき、実用性は非常に高いのですが、シート自体の重量があり、折りたたみ動作が重いです。男性ならいいのでしょうが、女性だとちょっと厳しそうです。
最近のトヨタのミニバンは3列目シートの折りたたみにスプリングを使い、軽く動作できるようにしていますが、オデッセイといいフリードといい、ホンダ勢はこの点がやや遅れていますね。
・オートマチックのシフトショック
新型オデッセイはアブソルートのみ5速ATですが(それ以外はCVT)、シフトダウン直後にアクセルを踏んで再加速する時にやや大きめのシフトショックがあるのが気になりました。
・音のチューニングをもう少し頑張ってほしい
巡航時はとても静かなのですが、アクセルを踏み込んだときに聞こえてくるエンジン音の音量が少し大きいように思います。キャラクター的にアブソルートはエンジン音が聞こえてもいいのですが、音をチューニングしてもう少しスポーティさを感じさせる音にしてほしいと思いました。
現状では普通のファミリーカー然とし過ぎています。
・ハイブリッドを出してほしかった
トヨタはハイブリッド車をミニバンや高級車にも積極的に展開しているのに対し、ホンダはいまひとつハイブリッド車の展開が地味なようです。来年には新型ハイブリッド車も登場するようですが、やはりオデッセイやステップワゴンのようなミニバンにもハイブリッドを展開し、「ハイブリッドといえばトヨタ」的な空気に一矢報いてほしいと思います。
「オデッセイハイブリッド」ってインパクトあると思うんですが・・・
総評
先代RB1/2型オデッセイは、従来のミニバンのイメージを全く打破する「低床低重心フォルム」で登場して大いに驚いたものです。普通乗用車並みの立体駐車場に入る全高やイカツい顔つきなど、ミニバンらしからぬ独自のキャラクターを持っていました。
一方で、全高が低いことにより室内空間に圧迫感があったり、ピラーが太くて窓が小さいことにより視界が悪かったりと、どこか未成熟な部分もあり、販売もあまり好調とはいえませんでした。
新型RB3/4型は基本的には先代のビッグマイナーチェンジ版といった印象で、基本的なパッケージングはあまり変わっていないようですが、旧型の短所を細かくつぶしており真面目な正常進化を遂げています。
CMはなにやらチョイ悪な印象ですが、実際には先代よりも実用性を向上させて真面目な車になっているように思います。
余談なんですが、私は先代RB1/2系のときからオデッセイが大好きです。今は特にミニバンに必要性を感じないのでスイフトで十分満足していますが、将来子供が増えたりしてミニバンに乗らなきゃいけなくなったら、オデッセイにしたいと思ってます。
オデッセイという車、冷静に考えたら、ミニバンなのに屋根が低くて室内は広いとは言えないですし、そのわりに全長と全幅は結構大きくて場所をとるし・・・ と、ミニバンとして合理的な車ではないのですが、理詰めで考えるとわからないこの車の魅力=
かっこいい!!
というところが最大の魅力ですね。
人間の目は、背が低く幅の広い物体をかっこいいと見るらしいです。ミニバンとしては不真面目だけどかっこいいスタイル、スポーティな走りのオデッセイは、背が高くて室内は広いけど、パパは運転手でしかないという他のミニバンと一線を画していると思います。ニッチ商品であっても、私のように「昔は飛ばしてたけど、今は家族のためにファミリーカー。でも走りは絶対にあきらめない」という需要のために、この独自の世界をこれからも持ち続けてほしいですね。
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新車試乗記 ホンダ編 | 日記
Posted at
2008/10/17 18:58:07