プジョー407乗ってみました。グレードはセダンのSV2.2、ボディカラーはアルミナムグレー(シルバー)です。
この車のグレード構成はセダンとワゴン(SW)、それぞれに4気筒の2.2LとV6の3Lがラインナップされています。
以前の
日産プレジデントの試乗記同様、台数の少ない個人所有の車であるため写真は撮影していません。
(写真はカタログを撮影しました。)
また、走行距離はある程度走っていて新車とは言い難い状況ですが、レア度に免じてご容赦下さい。
○だった点
・個性的なスタイル
ここ最近のプジョー各車同様、吊り目のアグレッシブなフロントのデザインです。大きく傾斜したクーペ的なフロントガラスもあいまって、セダンとは思えないスタイリッシュさで、ひと目でプジョー、407とわかる個性があります。
・車体サイズのわりに取り回しが良い
全幅はなんと1,840mmもありますが、実際に運転してみるとあまり幅は感じません。フロントオーバーハングが長く、また最小回転半径がなため小回りはやや厳しいのですが、それでもこのクラスの車の標準で、決してサイズにビビる必要はないです。
・プジョー車としては適切なペダル配置
以前
プジョー207GTや306(MT)に乗って辟易したのですが、プジョーの右ハンドル車といえばペダル全体が極端に左寄りになっていて、体を斜めにするような感じでペダルを踏まなければならないうえ、ペダル間隔が狭くペダル自体も小さい(その上マスターシリンダーが左のままなのでブレーキタッチが悪い)という非常に問題のあるペダルレイアウトでした。
407はさすがにボディサイズに余裕がある分足元空間も広く、問題はありませんでした。
(ついでにペダルタッチもごく標準的で、気になるものではありません。)
もう少し頑張って欲しい点
・薄れた「猫足」
フランス車といえば車格の大小に関わらず、豊かなサスペンションストロークを生かしたしなやかでフラットな乗り心地が特徴とされてきましたが、407はあまりその典型に当てはまらない乗り心地です。ガチガチに硬いわけではないのですがどこかドイツ車的な乗り味で、フランス車らしい個性を期待すると裏切られます。 それから、これは個体差か劣化かもしれないのですが、試乗車は高速道路の路面の継ぎ目でフロントのふわふわしたピッチングが感じられたのも残念でした。
・直進性が今ひとつ
高速走行の機会の多い国の車らしい高速時の安定性・直進性を期待すると、これもいまひとつかなあという印象です。別に直進性が悪いわけではないのですが、矢のように突き進んでいくという感じでもなく、なんとなく拍子抜けです。
試乗時は130km/h程度までしか出せず、それ以上の速度域で真価を発揮するのかもしれませんが、日本の道路事情ではそんな速度域が優れていてもその恩恵をこうむることはありません。
今回の試乗の速度域だと、
アコードなど出来のよい前輪駆動の日本車と違いを感じませんでした。
BMW3シリーズは法定速度で走っていても楽しさ・スタビリティの高さを感じるのですが…
・シートの出来がもう一歩
欧州車の魅力の一つと言えば出来が良くて疲れないシートが挙げられますが、この車のシートは座面の底付き感があり、決して上質な印象ではありません。
またサイズ、特に座面前後長が短いこともあり、体全体を包み込むような感覚が希薄なのが残念です。
・スイッチ類の操作タッチ
ウインカーやライト、パワーウインドウなどの操作系のタッチがあまりよくありません。日本車なら軽自動車でもこの程度の車はあります。
別にクラウンやレクサス並みにとは言いませんが、400万円級の車に相応しい質感が欲しいものです。
・マニュアルモードのシフトゲートが左側にある
他の欧州車でも珍しくないので、プジョーに限ってのことではありませんが、ティプトロニックのマニュアルモードのゲートがシフトノブの左側、すなわち左ハンドル用をそのまま右ハンドルにも流用しており、扱いにくいです。
・ナンバープレートが曲がる(笑)
日本仕様のプジョーやシトロエン各車を見ると、大抵の場合ナンバープレート下側が曲がっています。路面や輪止めと接触してああなってしまうのかもしれませんが、あまり格好のいいものではないですね。
プジョー・シトロエン・ジャポンはナンバーステーの形状をちょっと考えた方がいいんじゃないでしょうか。
総評
試乗前まではかなり期待していたのですが、乗ってみると正直「フランスのカムリ」みたいな車でちょっと期待外れでした。
歴史的にプジョーはフランス車の中でも保守的で、いわゆるフランス車らしさを期待するのはもともとお門違いなのかもしれませんが…
プジョー207の試乗記にも書いたのですが、グローバル化が進展して各国の車の独自性が段々薄れつつある中、同じPSAグループのシトロエンはシトロエンらしい強い個性を持ち、最近は新モデルライン・DSシリーズでプレミアム性を持たせた新たな提案をしています。
しかしプジョーは、フロントがとんがったデザイン以外、妙にドイツ車に擦り寄った乗り味といい、なんとなく無個性でパッとしない気がします。
あくまでも実用車だから個性がなくてもいいんだということかもしれませんが、単に実用的で壊れない車ということであれば、今現在は世界中で日本車の独壇場で、さらにこれからは韓国車や中国車、インド車が伸びてくることが考えられます。
そんな中でちょっとスタイルがいいだけの単なる実用車が生き残るのは大変なんじゃないかと危惧してしまいます。
フランス車の中では保守的なプジョーですが、フランス車らしさの中にプジョーならではのブランドアイデンティティを打ち出していってほしいものです。
※関連試乗記 こちらもぜひ↓
・プジョー207試乗記
・BMW3シリーズ試乗記
・アコード試乗記
・レクサスIS試乗記
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新車試乗記 輸入車編 | 日記
Posted at
2009/10/06 16:59:30