
新型
パッソに乗ってみました。
先月24日のブログで乗ってきました報告をしたのですが、試乗記を書くまでになぜこんなに時間がかかったのかというと……
ま、それは本文にて…(笑)
先代に引き続きエンジン3気筒1L、4気筒1.3Lの二本立てですが、グレード構成を標準仕様と女性向けに特化した「+Hana(プラスハナ)」系としているのが新型の特徴です。
試乗車のグレードは1.0+Hana“C Package”、ボディカラーはウグイスメタリックです。
○だった点
・洗練されているCVTの制御
ひと昔前のCVTのコンパクトカーというと、初代フィットのように減速時に自分の思っている以上に、まるで後ろから引っ張られるように速度が落ちてしまったり、停止直前にガックンと速度が落ちて、狙っているところにきちんと止まれないという車が多かったのですが、パッソのCVTは運転中の違和感が極めて少なく、出来の良いトルコンAT車に乗っているようです。
先日試乗した
三菱RVRが旧来のCVTの悪弊を少し引きずっていると比べると、洗練度は雲泥の差です。
・コンパクトなサイズと広い室内の両立
ボディサイズは全長が先代比プラス30㎜になっている以外は先代と変わらず、モデルチェンジの度にボディサイズが拡大する傾向にある昨今にあって好感が持てます。
それでありながら先代よりもグラスエリアを拡大するなど、室内空間の快適性を向上させていて、もともとコンパクトさと室内空間を両立させていたのをますます磨きを掛けています。
・前席ウオークスルー
先代から引き続き、インパネシフトが採用されているためフロアにシフトレバーがなく、前席左右のウオークスルーが可能になっています。(+Hana系)
狭い場所での乗り降りも容易になりますし、シートの幅そのものも余裕ができ、成人男性の体格でもまったく窮屈さはありません。
・取り回しのしやすさ
最小回転半径4.3m(13インチタイヤ装着車)と軽並みに小回りが効きます。
また、先代よりも運転席ヒップポイントを上げてウインドウ下端を下げ、さらにはウインドウ面積を拡大させているので視界がよく、非常に運転がしやすいです。
最近のコンパクトカーは外観スタイル重視でウインドウが小さく、視界の良くないものもありますが、この車は乗る人のことを本当に考えています。
もう少し頑張って欲しい点
・コストダウン丸出しの内装
シートやダッシュボードなど、目に見えるところもコストダウン丸出しで安っぽい質感です。標準系のシートはヘッドレスト一体のハイバックシートと営業車並みですし、一体成型だらけのダッシュボードは下手な軽より安っぽい質感です。
試乗車の+Hana“C Package”はエアコンがマニュアルなのですが、この操作スイッチ類がまるでおもちゃのような質感です。
トヨタのコンパクトカーの内装の質感はどれも褒められたものではありませんが、パッソはちょっとひどすぎますね。
・そのくせけっこう高い価格
上記の通り、結構安普請なわりに価格は決して安くありません。
最上級グレードの1.3+Hanaと同等の装備(オートエアコン、キーフリー)の
ホンダフィットだと、標準系上級グレードの「L」が買えます。はっきり言って、どう考えても
フィットの方がお買い得です。
パッソはこの程度の出来なのに、あの出来のいい
フィットと同等の価格で売ろうというのは、いい根性してるなと思いました(笑)
総評
先代パッソは価格なりの仕上がりではあるのですが、価格以上に背伸びをしていない控えめさと、シンプルでありながら安っぽさを感じさせない外観デザイン、軽自動車並みのボディサイズでありながらゆとりのある室内空間と、なりは小さくても魅力のある車でした。
市場からもそういった点が評価されてか、大きなランニングチェンジがなかったにも関わらず月販7500台レベルをキープしていた人気車でした。
新型パッソは先代の好評だった部分を大きく変えずに、トランスミッションをCVTとして燃費を向上させたり、女性向けに使い勝手を向上させているのが特徴です。
それはいいのですが、内外装の質感や走りなど、全体的に先代よりも力が抜けているというか抜いているように感じられるのが残念です。特に内装の安っぽさには驚かされます。正直軽のほうがよほど質感が高いです。
今回のモデルチェンジは機能の向上を目的としているのではなく、コストダウンのためだったんだなあと痛感させられます。
乗り味もこれといった特徴がなく、良くもないが悪くもない、車から降りた5秒後にはその車のことを忘れているという車です。こんな車だったらもう日本で作らずに、コストの安い中国とか東南アジアで作って輸入すりゃいいじゃんって思えます。
試乗記を書くのにかなり時間がかかりましたが、このような味気ない車なので、ぶっちゃけ書くことがなくて困ったというか、積極的に書く気になりませんでした(笑)
この車は、あまり車に関心がない女性や高齢者をメインのターゲットにしているのでしょうが、だからといってここまで露骨に安普請で無味無臭なのは考えものです。
Bセグメントのコンパクトカーといえば、例えばフォルクスワーゲンの
ポロは高い実用性と質の高い走りを両立させ、なおかつ内外装の質感が高いですし、日本車では
ホンダフィットは低燃費と軽快な走り、それに広大な室内空間による高い実用性が非常に魅力的です。
それに手前味噌で恐縮ですが、我がスズキの
スイフトも楽しい走りとスタイリッシュな外観デザインを兼ね備えた魅力的な車です。
そんな中、パッソの力の抜け方(抜き方)は、いかにもトヨタ的なマーケティングの賜物だなあと逆に感心します。ここ最近街でも新型パッソを見かけることが多いので、トヨタの戦略は成功してるんでしょうね…
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