
トヨタのSUV・
FJクルーザーに乗ってみました。
グレードはベースグレード(グレード名なし)、ボディカラーはブラックです。
FJクルーザーには昨年、
北米仕様に乗って試乗記を書いたのですが、その時の印象とも比較してみたいと思います。
○だった点
・カジュアルでポップな雰囲気
この車の魅力は何と言ってもここです。この外観の魅力が多くの潜在顧客の心を動かして、北米専売車だったこの車が日本国内で販売されるに至ったのでしょう。大柄なSUVらしからぬ明るいソリッドブルーやソリッドイエローなどのポップなボディカラーや、マツダRX-8のようにリヤドアが後ろヒンジで開くなど、外観は他のどのSUVにも似ておらず、超個性的です。
試乗車のグレードは最も価格の安いベースグレードだったのですが、これはホイールが黒いスチールでホイールカバーすら装着されてないのですが、シンプルな道具っぽさがあって逆にかっこいいです。
あと、フロントガラスの短い3本ワイパーがかわいくてスゲー好きですwww
・オフロード車っぽい演出
カジュアルでポップな雰囲気の中にもオフロード車らしい演出がされています。グワシッとつかんでガシンガシンと操作するシフトレバー、ゴツい握り心地のドアハンドル、グローブをはめていても操作できるエアコン、汚れても洗える荷室フロアボードなど……
最近のSUVはオンロード指向を強めていて、背の高いセダン的色合いが濃くなっていますが、FJクルーザーはストレートな四輪駆動車らしさが清々しく潔いです。
・トルクフルで軽快な走り
4Lという大排気量エンジンを搭載している分、走りはトルクフルで軽快です。276PSと排気量の割には決してパワフルではありませんが、太いトルクを生かして街乗りが非常に楽です。
ランドクルーザープラドなどの販売上の主力は2.7Lですが、それと比べるとやはり大排気量のゆとりある走りは魅力です。
気になった点
・あまり良くない取り回し
全長4635mmと全長だけで言えば5ナンバー枠にも収まるサイズですが、取り回しはあまり良いとは言えません。ボンネットの厚みやサイドウインドウ下端の高さの影響で、車両直近の死角が大きいです。
この車のカタログを見ると、しきりにオフロードユースな雰囲気を謳っていますが、オフロードで車両直近の死角が大きいということは、例えば岩や段差を乗り越える際に車の直近の状況が掴みづらく、車にダメージを与える可能性が高いということになります。
実際、現代の日本においてはオフロード走行をすることなどほとんどなく、街乗りが大半だと思いますが、街乗りこそ視界の良さが重要です。周囲が見えにくいと、例えば車のそばに子供がいた時などに見落とす危険性が高くなりますが、この車は周囲が見えにくいため街乗りがやや怖いです。
またFJクルーザーはAピラーが直立したデザインですが、本来Aピラーが立っている車は視界がいいはずなのに、ピラーが太くて斜め前方が見づらく、交差点での右左折時の歩行者の確認に気を遣います。Aピラー以外のピラーもかなり太いので車の周囲全体が見づらく、車が大きく感じて運転しづらいです。
設計された年代が違い過ぎるので参考程度と考えていただきたいのですが、こういう四輪駆動車として必要な視界という点で、模範とすべき車は
↓↓
クラシック(初代)レンジローバーです。

(写真はみん友
16nightsさんの愛車で、先日試乗させていただいた時のものです。)
前後左右ウインドゥ下端が低く、窓を開けて覗きこめば車の直下まで見え、オフロードであれば障害物の確認に極めて有効です。またボンネットが低く角ばっていて、なおかつ左右端が少し飛び出ているため、前端の確認も容易です。(FJクルーザーはなぜかボンネット左右が少し下がっていて、確認がしにくい)
各ピラーも細くて視界が良いため、オフだけでなく街中でも非常に取り回しが良好です。
クラシックレンジローバーは基本設計が1970年代と非常に古く、現代の車との間に衝突安全性などの社会的に要求される水準に大きな違いがあるので、FJクルーザーの視界が悪いことを一概に責められないのですが、それにしてもレンジと比べるとFJクルーザーはちょっと視界が悪すぎるなあと感じます。
それから全幅もデザインの巧さでそれほど大きくは見えないんですが、実は1905mmと非常に幅広いです。これはレクサスLS(1875mm)を超え先日試乗した
ポルシェ パナメーラ(1931mm)に迫る数値です。普通の駐車場に入れるのもちょっと苦労しそうです。
・4Lはデカ過ぎないか?
エンジンが一機種のみ、プラドとも共通の4Lガソリンの1GR-FE型です。日本仕様導入に際してプラドと同じ2.7Lの2TR-FE型を搭載するかと思ったのですが、結局4L一本でしたね。
が、4Lって税制面も含めて、日本で使うには大き過ぎませんか?自動車税に年額15000円以上の差がありますし、燃費も悪いです。(4Lでもレギュラーガソリン仕様なのが救いですが・・・)長所のところでトルクフルで良いとは書いたのですが・・・
プラドの2.7Lも決して余裕綽々とは言えませんが、それでもまずまず不満がない動力性能なので、プラドの2.7Lよりも150kg軽いFJクルーザーならばなおのこと不満はないと思うのですが…
・販売店がトヨタ店
カジュアルで活発な印象のこの車ですが、販売系列は取り扱い車種にクラウンなど高級車が多くて、お高く留まっている(ように思える)トヨタ店です。ネッツ店なんかのほうが似合うと思うんですが…
前評判が高かった割に、この車それほど売れていないようで、街中で「おっ!FJクルーザーだ!」と思ってよく見ると、並行輸入された左ハンドル車のことが大半です。お高く留まったトヨタ店専売だからこんなに売れてないんじゃないのか?プリウスみたいに全店扱いにすればもっと売れるんじゃないかと思ってしまいますね。
・サイドミラーの電動格納がない
FJクルーザー北米仕様の試乗記でワンタッチパワーウインドウや電動格納ミラーが備わっていないと書いたのですが、日本仕様はワンタッチパワーウインドゥは設定されたのですが、やっぱり電動格納ミラーがありません。これ何故ですか?この車幅なら、ないと面倒な状況に遭遇しそうな気がします。
国外で生産されているものを日本仕様に仕立て直した車なら、多少の不便も理解できなくないんですが、この車はすべて日本製なんですから、仕向け地によって仕様を変えることなど簡単にできそうですが・・・
総評
昨年、FJクルーザーがまだ日本で正式発売されていない(日本国内導入も発表されてない)時に、ある個人所有の北米仕様のFJクルーザーに乗せていただき、それで
試乗記を書きました。FJクルーザーってみんカラ的には非常に関心が高い車のようで、私のブログの各ページにおける現在までのトータルPVでFJクルーザー試乗記がぶっちぎりトップにランクされています。(2位のブログの約3倍!)
北米仕様FJクルーザー試乗記で私は「日本導入はないだろう」と書いたのですが、見事(?)予想を裏切っての日本導入となりました。まぁ私の試乗記なんてこんなええ加減なもんですよwwwwwww
もっとも、日本市場に向いてないと判断した最大の要因、すなわち車両周辺の死角の多さが改善されているわけではありません。この死角の多さにより、実際のサイズ以上に大きく感じるので、個人的にはあまりこの車を街中で運転したくありません。
VWのニュービートル登場以降、世界的に過去の車からオマージュを受けてデビューした車がたくさんあります。ミニ然り、フィアット500然り、フォードマスタング然り…
FJクルーザーは先代ランドクルーザープラドをベースとして40型ランドクルーザーの外観を下敷きにして生まれた車です。中身は最新の車なので故障やメンテナンスの心配をすることなくクラシックな雰囲気を楽しめるということで、とにもかくにも外観が気に入れば「買い」でしょう。
ただ、視界が悪いのはどうしても気になるので、購入をお考えの方は運転中や車に乗り込む前の周囲の確認は十分に!この車はあくまでも道路事情の良い北米専売車をそのまま日本に持ってきただけの車なので、必ずしも日本の道路事情に適しているわけではないことを念頭に置いていただきたいと思います。
↓↓関連試乗記 こちらも是非↓↓
FJクルーザー(北米仕様)試乗記
ハマーH2試乗記
ランドクルーザープラド試乗記
エクストレイル試乗記
パジェロ試乗記