
今週12日にデビューしたヴェルファイアに早速乗ってきました。
試乗車は3.5Lの中でも標準的なグレードの3.5V(2WD)、ボディカラーはホワイトパールクリスタルシャインです。(写真のフロント・サイド・リヤアンダースポイラーはディーラーオプション)
最初にお断りしておきますが、今回のブログは率直に申し上げてあまりこの車に対して好意的には書いておりません。ですから、新型アルファードを含め既に購入を決めた方や前向きに検討されている方にはちょっと申し訳ないのですが、購入を迷っている方の参考になればと思い、私の感じたままに書いていきます。客観的に見て明らかに私の認識が間違っている場合には、コメントやメッセージをいただけると幸いです。
ヒット作となった先代アルファードが、高価格にもかかわらず若年層にも人気があったため、若年層をターゲットとしてアルファードを分離独立してできたのがこの車ということのようです。
CMのイメージではアルファードよりもかなり若向けの印象ですが、実車を見ると、あくまでも保守本流のアルファードに多少アグレッシブな味つけをした車であると感じます。
CMでは「THE POWER LUXURY」「その高級車は、強い」と高級をアピールしていますが、実車に触れてみると「高級」をアピールするにはちょっと違和感がある車です。
確かに大型で高価格な車ではありますが、内装の造りや動力性能、細部の詰めなど高級車を名乗るにはやや厳しいように思います。
以下詳細な印象を述べていきます。
○だった点
・サイズを感じさせない取り回しのよさ
全長4,850㎜×全幅1,830㎜という大柄なボディですが、街中では車の直前の感覚がややつかみづらいものの、全体的な取り回しには不安を感じることがありません。カタログ数値での最小回転半径は5.7mですが、それを感じさせないぐらい小回りもききます。
試乗車はバックモニターは装備されていなかったのですが、直線的なスタイルで見切りがよく、またサイドミラーが見やすいので車両感覚が掴みやすく、車の直後の死角にさえ注意すれば駐車スペースにきちんと収めるのに苦労しません。
・室内空間のアレンジが多彩
セカンド・サードシートとも前後スライド量が大きく、足元空間を優先したり、荷室を大きくしたりと、大型ミニバンならではの室内空間のアレンジが多彩です。
またノア/ヴォクシーから採用された、サードシートが軽い力で跳ね上げる機構も備わっており、使い勝手の向上にも配慮されていると感じました。
いまひとつだった点
・やや不十分に感じる動力性能
街中での試乗であまり飛ばさず、前が空いたところで少し踏んでみた程度だったのですが、約2トンの車重を感じさせられる、やや緩慢な走りです。率直に言って「これ本当に280PSもあるの?」と思ってしまいました。3.5Lでこの走りだと、2.4Lはパワーアップしたとはいえ、ちょっと厳しいかな?
・シフトショックを感じるオートマチック
6速オートマチックということに非常に驚いたのですが、残念ながらややシフトショックを感じることがあります。もうちょっと洗練させてほしいものです。
・もうちょっと頑張ってほしい内装の質感
トヨタの車らしく、ぱっと目についたところはいかにも高級感があり、多くの人が「ああ、いい車だな」と感じられるように作られています。
しかしよく見ると前席中央にある物入れのフタがちょっとチャチなプラスチックだったり、シフトレバー下足元の物入れがガタついていたりと、高級を謳う車としては厳しい部分が散見されます。「高級」を名乗るなら、もう少しコストをかけても上質な仕上げを期待したいところです。
・威圧感のあるデザイン
デザインについては個人の主観なのでとやかく言いたくないのですが、この車のデザイン、特にフロントは威圧感があり、まるで周囲を威嚇しているようです。
環境問題や原油高など車に対する風当たりが強い中、もう少し環境に優しく周囲と調和するようなデザインのほうがいいのでは?
・詰めが甘い装備
一例を挙げると、
○セカンドシートウォークインにメモリーがないのは不便。(試乗車は8人乗り)
○HIDライトはロービームのみでハイビームはHIDではない。
○両側パワースライドドアが全車標準ではない。
○パワーバックドア・バックドアイージークローザーがオプションでも選べないグレードが多い。
…など、「これは欲しいな」と思うものがオプションでも選べないのはつらいですね。
特にパワーバックドア・バックドアイージークローザーがないことにより、力を入れてバックドアを閉めなければならず、ドアを閉めた時に「バチャーン!」という安っぽい音がして興ざめです。それに、全高が高いため男の私でも閉めるのに結構力が必要です。女性ではかなりしんどいのではないでしょうか。
また、ハイビームのHIDなどは110万円のスズキスイフトでも選べるのですから、ヴェルファイアの価格帯の車には標準装備されていてもおかしくないのでは?
・オプション前提の価格
ベースグレードの2.4X(2WD)300万円~と結構お買い得に感じますが、この車はオーディオレス(当然ナビもない)なので、ナビをつけると結構高くなってきます。
驚いたのがメーカーオプションのHDDナビ&プレミアムサウンドシステムの価格で、なんと694,050円!!(そのワンランク下のHDDナビ&パノラミックスーパーライブサウンドシステムでも525,000円!!)
ちなみにプリクラッシュセーフティ&レーダークルーズ&レーンキーピングアシストは328,650円!
最高グレードの3.5V Lエディション4WDにこれらを装備すると、なんと570万円を超えます!!
ヴェルファイアって富裕層向けの車なんですね・・・
・高いフロア高
最近のミニバンはノア/ヴォクシー、ステップワゴンなど、フロアの低い車が多かったせいか、ヴェルファイアのフロア高はやや高く感じます。先代アルファードよりフロア高は下がっているということですが、もう少し下げる余地はなかったのでしょうか。
総評
と、いろいろ書いてきましたが、この車、恐らく先代アルファード同様よく売れるでしょう。トヨタの車らしく、先代のネガティブな部分をつぶし、細かい改善が随所に見られます。
試乗車ができ次第アルファードにも乗ってみるつもりですが、こちらはぜひ2.4Lに乗って、今回のヴェルファイア3.5Lの印象と比較してみたいと思います。