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2011年07月14日 イイね!

フィットシャトルハイブリッドに乗ってみました

フィットシャトルハイブリッドに乗ってみました フィットシャトルハイブリッドに乗ってみました。
 試乗車のグレードはHYBRIDナビプレミアムセレクション、ボディカラーはクリスタルブラック・パールです。
 昨年秋に標準フィットにハイブリッドが登場したときに試乗してみたのですが、その感想とかなりダブるところもあります。また、先日登場したプリウスαの印象とも比較してみたいと思います。


○だった点
・乗り心地の改善

 フィットハイブリッドの試乗記で乗り心地が悪いと書きました。フィットは初代が登場した時点から細かい突き上げが多くて乗り心地が悪く、現行型になってからもあまり改善されていなかったのですが、シャトルになってやっと納得できる乗り心地になったように思えます。
 標準フィットからハイブリッド化されて+120kg、シャトルハイブリッドはさらに+70kg重いのですが、走りからは重さを感じることはありません。
 また、ボディサイズ拡大代のすべては前後オーバーハングの延長に充てられていますが(荷室部分だけでなく、スタイリングのバランスをとるためか、フロントオーバーハングも延長されている)、前後ピッチングなどは気になりませんでした。

・低くてフラットなフロア 
 標準フィットの売りである、燃料タンクを前席下の床下に配置する「センタータンクレイアウト」はフィットシャトル/ハイブリッドにももちろん継承されています。これによって標準フィットは床が低く広い室内空間を実現していましたが、シャトルはさらに荷室前後長が拡大したことにより、室内空間が広いというメリットがさらに強調されています。リヤシートを畳んだ荷室は、低くてフラットな床面とスクエアな空間が相まって、本当に広大です。
 ハイブリッドではない標準シャトルであれば、さらに床面ボードの下に実用的な大きさのアンダーフロアボックスがあり、ボードを取り外してさらに荷室を拡大させると27インチの自転車も積める空間が生まれます。

・自然な運転感覚 
 走り味については標準フィットからの悪化は感じません。ハイブリッド車にありがちな、回生ブレーキによる停止直前のカックンはほとんどなく、自然な運転感覚です。プリウスはいい意味でも悪い意味でもいかにもハイブリッド車然とした、やや不自然な運転感覚であるのに対し、フィットハイブリッドはすぐに馴染むことが出来ます。

・VSAが全車標準装備
 ABS、トラクションコントロール、横滑り防止装置の機能を総合制御するVSA(車両挙動安定化制御システム)がシャトルの4WDを除くシャトルハイブリッド/シャトル全車に標準装備されています。このような安全にかかわる装備をオプションとせず、全車標準にしているのは素晴らしいことです。
 ただし、サイド&カーテンシールドエアバッグはオプション設定なので、これも標準装備であるべきだと思います。


気になった点
・狭く感じる後席 
 シャトルではない標準フィットとホイールベースが同一(2500mm)のため、後席足元空間も同一です。
 標準フィットの後席足元空間は、Bセグメント(フィット・ヴィッツクラス)の車としては最大級に広いです。シャトルとしてサイズアップしてCセグメント級(カローラ・アクセラクラス)のサイズ(全長4410mm)になりましたが、Cセグメントの車として考えると後席空間にはやや不満が残ります。
 最近はCセグメントのハッチバック・ステーションワゴンであれば後席スライドやリクライニングは常識ですが、フィットはそのいずれも備わっていません。先日登場したプリウスαの後席が広大な空間だっただけに、差が際立つように思います。

・最終的に高くなる価格
 標準フィットハイブリッドの試乗記にも書いたのですが、あれもこれもと装備を付けていくと結構な価格になります。最も廉価な「HYBRID-C」(181万円)でも結構いい値段だなと思うのですが、HYBRID-CにはHIDライト、スマートキー、ナビ、ドアミラーウインカー、クルーズコントロール、テレスコピックステアリングなどが備わっておらず、それらを装備していくと結局最上級の「HYBRID ナビプレミアムセレクション」(233~243.5万円)がいい…ということになり、高い買い物になってしまいます。

・なぜMTを設定しなかった…?  
 ホンダのIMAハイブリッド車の試乗記ではしつこく書いていきますが(笑)、どうしてMTを設定しないんでしょうか?トランスミッションが構造的にハイブリッドシステムに組み込まれており、MTでは成立しないトヨタハイブリッドに対して、IMAはエンジンとトランスミッションの中間にモーターを配置しているので、MTの設定がしやすいはずです。現に初代インサイトではMTがあったはずですが…
 「MTは売れないから設定しない」ではなく「設定がないから売れない」「メーカーの都合でCVT車に生産を集約しようとするから売れない」のです。確かに近年CVTの普及により、以前は圧倒的にアドバンテージのあった手動変速の燃費面でのメリットが薄れつつありますが、それでもMTは乗り手の腕次第でCVTを上回る燃費を叩き出します。自慢じゃないですが、私は10・15モード燃費18.8km/Lのスズキスイフト(5MT)を20~22km/Lで走らせます。こういうところが車の面白さじゃないかと思うんですが・・・
 標準フィットの最もスポーティーなグレード「RS」にコンパクトカークラスでは異例の6速MTが設定されているのですから、これの6速のギア比を燃費用に思い切りハイギアードにしてハイブリッドに搭載すると面白いのではないでしょうか。


総評 
 震災によって発売が延期されていたフィットシャトルハイブリッド/シャトルがようやく発売されました。標準フィットには昨年ハイブリッドが追加されましたが、それ以降プリウスに奪われていた販売台数ランキング1位の座を2011年上半期は奪還するという健闘ぶりです。シャトルハイブリッド/シャトル追加でさらに販売が加速しそうですね。
 フィットはすごくよく出来た車ですが、コンパクトカーゆえどうしても荷室容量が限られてしまい、4人乗車すると荷物があまり載らないということになってしまいますが、シャトルの荷室容量は非常に魅力的です。多人数乗車するわけではないので3列シート車はいらないけど、荷室に余裕が欲しいという方向けの、きわめて合理的な選択肢になるのではないかと思います。 


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Posted at 2011/07/14 10:28:41 | コメント(5) | トラックバック(0) | 新車試乗記 ホンダ編 | 日記
2010年10月14日 イイね!

フィットハイブリッドに乗ってみました

フィットハイブリッドに乗ってみました 注目のフィットハイブリッドに乗ってみました。

 基本的に私の試乗記はマイナーチェンジやバリエーション追加は扱わないのですが、コンパクトカーの王様フィットの、それもハイブリッドとなれば無視するわけにはいきません!
 試乗車のグレードは「ハイブリッド(スマートセレクション)」、ボディカラーはプレミアムホワイトパールです。


○だった点
・低価格
 フィットハイブリッドの最大のメリットといえば、何と言っても車両本体価格159万円からという低価格でしょう。これまででもホンダのハイブリッド車といえば、インサイトが189万円からという低価格だったのですが、フィットハイブリッドはそれに輪をかけた低価格です。
 トヨタのハイブリッドシステム(THS)に比べてホンダのハイブリッド(IMA)は軽量・シンプル・コンパクトな構成が可能で、低コスト化しやすいですが、そのメリットをフルに生かした魅力的な価格です。

・フィットほぼそのままの実用性の高さ
 一昔前のハイブリッド車といえば大きなバッテリーにトランク容量を食われてしまい、ガソリン車と比べて実用性が低下するという事がありましたが、フィットハイブリッドは標準車からの実用性の低下がほとんどありません。標準車にあったフロアボード下の物入れの容量が少なくなっているのですが、それ以外は標準車と全く同等、フィットの特徴である床の低いフルフラットな荷室、後席座面の跳ね上げ機構、リヤシートのリクライニングもそのままで、ハイブリッド車ゆえのネガはほとんど感じません。

・標準車と比べて違和感の少ない走り味 
 実用性同様、走り味についても標準車からの悪化は感じません。ハイブリッド車にありがちな、回生ブレーキによる停止直前のカックンはほとんどありません。また、車重が標準車から120kgも重くなっているにもかかわらず、加速も実用上全く不都合はありません。


もう少し頑張ってほしい点
・あまりインパクトのない燃費
 試乗中はエアコンオン・2名乗車・空いた市街地・走行距離の半分はECONモードという走り方で、燃費計表示値で18.1km/Lでした。もちろん良い数値だと思うのですが、ハイブリッド車としてはプリウスで同じ走り方をすればもっと燃費がいいはずですし、もともと燃費の良いフィット標準車と比べても圧倒的なアドバンテージはありません。
 燃費にもっともっとインパクトがあればよかったのにと思います。

・効きが悪く感じるブレーキ
 ハイブリッド車の回生ブレーキ特有の、停止時のカックンブレーキ感をなくそうとしたのか、通常のフットブレーキの効きが悪く感じます。ブレーキパッドとローターの摩擦係数が低くてツーっと滑っていくような感じです。違和感をなくそうとしたとはいえ、まっとうなブレーキの効きを悪くするのはいかがなものかと思います。
 標準車に比べてハイブリッドは車重が120kgほど増加しているのですが、ブレーキを強化していないのかもしれませんね。

・結局結構高くつく価格 
 ハイブリッド車でありながら車両本体価格159万円からというのはインパクト十分ですが、スマートキーやHIDライト、HDDナビなど贅沢装備を備えていくと結局210万円の「ナビプレミアムセレクション」が一番お得ということになって、コンパクトカーとしてはえらい高級車だなあということになってしまいます。
 いろんな装備を付けて結局高くなるというのは、最近はどの車でも同じで、特にフィットハイブリッドのみの問題ではありませんが…

・なぜMTを設定しなかった…? 
 標準フィットはデビュー当時MTの設定がありませんでしたが、昨年の改良の際にMTが追加されました。
 また、ハイブリッドの登場と同時に実施された標準車のマイナーチェンジでは、ベースグレードの「13G」に加え、最もスポーティーなグレード「RS」にコンパクトカークラスでは異例の6速MTが設定されました。
 ところがハイブリッドにはなぜかMTが設定されていません。せっかく今年登場したCR-ZにMTが設定されているのにフィットにないのはなんとなく納得いきません。トランスミッションが構造的にハイブリッドシステムに組み込まれており、MTでは成立しないTHSに対して、独自性をアピールできる部分ではなかったかと思います。

・乗り心地が悪い
 これは標準フィットも同様なのですが、特にリヤからのコツコツとした細かい突き上げ感が常に気になります。
 特にハイブリッドの場合、上記の通り標準車よりも120kgほど車重が増えているので、やや当たりが柔らかい乗り心地になるかなと思ったんですが…

・インサイトが存在感をなくす? 
 昨年インサイトが登場した時には、ホンダらしいスポーティーな走り味と空力を意識したデザインで一躍人気モデルになったのですが、その後トヨタからプリウスが登場すると、燃費性能が劣っていることや狭い室内など洗練度が低いことが災いして、販売が一気に下降線をたどってしまいました。
 インサイトが売れていた時もフィットの販売台数は極端に低下していませんでしたが、これは標準フィットの燃費性能や室内空間の広さなど高い実力が評価されていたのだと思うのですが、このような基本性能の高いフィットにハイブリッドが加わると、インサイトの存在感がますます薄らぐのではないかと懸念します。


総評
 コンパクトカーの王道フィットにハイブリッドをプラスしたというブランド性は相当魅力的です。フィットシリーズ全体の月販目標台数の3分の1がハイブリッドとのことですが、その程度の販売は十分クリアできるでしょうし、今後もフィットシリーズの中でも大きな割合を占めていくようになるでしょう。
 これまでのハイブリッド車は車両本体価格が高く、いくら燃費がよくても初期投資を回収するのは難しかったのですが、フィットハイブリッドは回収が現実的になりそうです。
 ただ、価格が安い反面燃費性能がそれなりな上、特にフィットの場合標準車の燃費性能が極めて良好なので、やっぱり回収は難しいのかなという気もしないでもないですが…
 いずれにせよ、コンパクトカー最強のフィットに加わったハイブリッドということで、今までトヨタに煮え湯を飲まされてきたホンダとしては待望の一台でしょう。ソツのない仕上がり具合もあり、買って損のない車ではないでしょうか。


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Posted at 2010/10/14 13:05:40 | コメント(7) | トラックバック(0) | 新車試乗記 ホンダ編 | 日記
2010年07月11日 イイね!

さようなら!今までありがとう!シビックタイプRに乗ってみました。

さようなら!今までありがとう!シビックタイプRに乗ってみました。 シビックタイプRに乗ってみました。

 現行FD2型シビックタイプRには2007年の登場以降、是非乗ってみたいと思っていたのですが、近隣のディーラーに試乗車がなく、個人所有の車に乗せていただく機会もありませんでした。
 しかし先日、さる個人所有の車を思いっきり走らせていただける機会がありました。試乗車は2008年モデルなので最新モデルではありませんが、走行距離は15000キロほどと程度は良好です。また、基本的にフルノーマルですが、リヤスポイラーが外されています。
(ちなみにマイナーチェンジされた最新モデルはテールランプがLEDになっているだけで、中身に違いはないようです。)
 試乗コースは市街地や高速、山道等です。


○だった点
・正しく操作すれば正しくかつハイレベルに応えてくれる、タイプRならではのドライビングの世界
 ホンダのタイプRシリーズはこのFD2型で6作目となりますが、タイプRシリーズの根底を貫くスポーツ性は連綿と受け継がれ、さらにレベルアップしています。
 シリーズ初期のDC2型インテグラタイプRやEK9型シビックタイプRはちょっとヤンチャなモデルという意味合いもあり、走らせて楽しい反面、ボディ剛性の低さによって脚がきちんと動かず高速コーナーで唐突にリヤが流れようとして冷や汗をかかされたり、ノーマルではブレーキの効きが不十分だったりと洗練度が低い部分もありました。
 FD2型は後輪の接地感が高くてリヤの動きに安定感があって限界が掴みやすく、高速コーナーでも不安なく攻める事が出来ます。これはこの車が目指した方向性(中高速コーナー=サーキットでの速さを狙う)と合致しています。
 反面、2速で行こうか1速に落とそうか迷うほどのタイトコーナーだと、車体が大柄であることもあり、やや曲がりにくさは感じるのですが、それでもアクセルオフやブレーキングで姿勢を作って積極的に曲げてやることも可能です。
 この車はボディ剛性が高いと称されますが、DC2型やEK9型の頃から飛躍的に高まったコーナーでの安定性を体感すると、きちんと脚を動かすために高剛性化したことが理解できます。

・官能的なVTECサウンドとパワー
 VTECエンジンといえば、カムが高回転側に切り替わった時の気持ちのいいサウンドと強烈な加速が魅力ですが、FD型シビックRにももちろんこの魅力が受け継がれています。
 5800回転で高回転側カムに切り替わると、8400回転のレッドゾーンまで一気に吹け上がります。リミッターがなければまださらにそこから上まで回るのでしょう。
 高回転域を保って飛ばしていると、エンジンからの「もっと回せ!!もっと踏め!!」という声が聞こえてきます。
 余談ですが、昔ロードスターに乗っていた頃、サーキットや峠でよく友人のインテグラタイプRを運転させてもらっていたのですが、この気持ち良さに何度「このエンジンがロードスターに載ってたらなあ…」と何度思わされたかわかりません。
 スポーツカーにとってエンジンは極めて重要な要素ですが、シビックタイプRは100点満点の最高に魅力的なエンジンです!

・賢いABS
 試乗時の路面コンディションは小雨でうっすらと濡れる程度だったのですが、このような状況でもABSの介入度合が少なく、運転の邪魔をしません。相当強い踏力でもロックせず制動力を最後までコントロールできます。

・適切なマンマシンインターフェイス
 実用セダンベースながら、マンマシンインターフェイスは優れています。シフトレバーやペダル類の配置が適切で操作に違和感がありません。レカロシート時代にはなかった座席の上下調整が備わるようになり、より適切なポジションがとれるになりましたし、ステアリングのチルト・テレスコも可動範囲が大きいです。
 細かい話ですが、サイドブレーキが独特なレバーの短いタイプで、レバーを上に引き上げるというより手前に引っ張るようになるというジムカーナD車両のような操作ができ、サイドターンがやりやすそうです。 

・エンジンのフレキシビリティ
 2L自然吸気でありながら、最高出力225PS/8,000rpmというハイチューンエンジンですが、街中での取り扱いに神経質なところは全くありません。またVTECエンジンの恩恵として、高回転域では気持ちよくパワーが出ている一方、低回転域では低速側カムによってトルクがあり、街中でも非常に扱い易く運転が楽です。ギアチェンジがめんどくさくて6速でタラタラ走ってていても、そこから滑らかに加速できますし、停車中アイドリングがバラつくということもありません。


もう少し頑張ってほしい点
・激悪の乗り心地
 この車の欠点として有名なのは、激悪の乗り心地ですが、実際に乗ってみるとやはり噂通りの乗り心地です(笑)
 下手な社外品の車高調よりも固い脚で、速度域を問わず路面の継ぎ目等では大きなショックがあります。低速域だけかなと思ったんですが、180km/h程度でもしなやかさよりもやはり硬さがあり、路面のうねりでは直進を維持するのが難しいですし、コーナー中にギャップがあると横っ飛びしてヒヤッとします。
 4ドアセダンなのですから、家族を乗せて走ることもあるはずなのに、こう固いと家族から苦情が出るどころではなさそうです。スポーツモデルだから脚がガチガチでもいいんだというのは昔の考え方ですね。
 ボディ剛性が高くてサスペンションに仕事をさせることができるのですから、もっと柔らかくてもいいのではないでしょうか。

・飛ばしたらグッタリ疲れる
 運転中は車との対話に集中できるのですが、上記の激悪な乗り心地に加え、ローギアードなギアリングや大きめの排気音による騒音・振動の大きさと、ドライバーが常に真剣に運転することを求めてくる性格も相まって、車を降りるとグッタリです。
 いい加減に運転することを許してくれず、疲れているときや体調が悪いときはちょっと辛そうです。

・リクライニングの調整がレバー式
 タイプRシリーズといえば代々レカロのリクライニングバケットシートが標準装備されてきましたが、FD2型にはホンダが開発したリクライニングバケットシートが装着されています。このシートは形状はレカロのように肩から太ももにかけての体全体のサポート性が非常に高く、純正シートとしては最高レベルなのですが、残念なのがリクライニングの調節が普通のシートと同様のレバー式であることです。微調整がしにくく、さらにサイドサポートが高いためレバーに手が届きにくいです。

・シートポジションが高い
 で、そのシートですが、シートリフターが備わっているのは良いのですが、最も低い位置に合わせてもまだ高いです。
 サーキット等を走行をするのであればフルバケットシート+ローポジションシートレールに交換するのが必須ですね。
 
・巡航時にはちょっとローギアード過ぎる
 100km/h巡航時のエンジン回転数は3000rpmとややローギアードです。これだけローギアードなので6速に入れっぱなしでもそこそこ加速して、けっこう楽チンに走れるのですが、今日日の車なので燃費対策のために、6速だけでももう少しハイギアードでいいのではないでしょうか。

・フツーな外観スタイル
 ベースがシビック4ドアセダンなのですが、一級品の性能と比較していかにも普通のスタイルで、あまり魅力的とは言えません。登場してから年月が経っていることや、試乗車は特徴的な大型リヤスポイラーが取り外されていることもあってか全く注目されず、周囲から特別な車だとは認識されていないようです。

・小回りがきかない
 最小回転半径はなんと5.9mとCセグメントの車とは思えない大きさです。駐車場やUターンなどがめんどくさいです。


総評
 単純に車の出来自体は、ホンダスポーツモデルの一つの到達点とも言うべき素晴らしい仕上がりです。むやみに大排気量や過給器に頼らず、少排気量の自然吸気エンジンを超高回転域まできれいに引っ張って、リッター100PS以上の高出力を叩き出し、また二輪駆動でありながら高剛性ボディによる高トラクションで、電子制御デバイスを多用せず速さを手に入れています。
 人間の感覚に逆らわない素直で気持ち良い速さは、まさにホンダスポーツカーの神髄です。 試乗時は市街地、高速、山道などを走ってみましたが、特に高速コーナーが連続する山道ではほんとに気持ち良く、なおかつ速く走れました。走っているといつの間にか運転にのめり込んで、次のコーナーをどう切り落としていくかということに集中し、いつの間にか車と一体になったドライバーズハイのような状態になることができます。
 この速さと気持ち良さの両立はメーカー自身が狙っているところであり、メーカー・開発者の「こんな車が造りたい!こんな風に走らせてほしい!」という明確な意図が伝わってきます。
  
 日本国内の自動車市場においてスポーツモデルは冬の時代真っ只中です。同じホンダのNSXは2005年、S2000は2009年、インテグラタイプRは2006年に生産中止となり、とうとう最後の牙城であったシビックタイプRも2010年8月での生産中止がメーカーから発表されました。限定発売された欧州産ハッチバックのシビックタイプRユーロが2010台の限定数すら完売しない状況では致し方ないのかもしれません。
 また他メーカーも似たような状況です。若者の車離れ、ガソリン価格の高騰、環境意識の高まりなどスポーツモデル不振の原因はいろいろ言われますが、ガソリンエンジンを用いるスポーツモデルの存在そのものが岐路に差し掛かっていることは間違いないでしょう。
 よく考えるとスポーツモデルがガソリンエンジンでなければならないという理由はどこにもないのかもしれません。ポルシェが発表したハイブリッドレース車の「911GT3Rハイブリッド」はドイツ国内のレースですでに上位入賞を果たしたり、5月のニュルブルクリンク24時間レースではリタイヤしたとはいえ、レース終了2時間前までトップを走行していたそうです。
 また先日試乗した三菱の電気自動車iMiEVは、モーターの出力が限られているとはいえ加速力、特に中間加速の鋭さには目を見はるものがあります。バッテリーの蓄電能力に限りがある現状では極端に大出力のモーターは搭載できないのでしょうが、バッテリーの性能が改善されると電気自動車の動力性能は大幅に向上するでしょう。
 ハイブリッドや電気自動車の動力性能が今後ますます向上すると、環境性能に劣るガソリン車のメリットは全くなくなってしまうかもしれません。いかに8400rpmの高回転まで、官能的なサウンドともに回り続けるVTECとはいえ、環境性能だけでなく速さも電気自動車に太刀打ちできなくなるのかと思うと、何か悲しい気がします。
 まるで、熟練の職人が長年磨いてきた技を、新入社員が操作する最新の機械の能力が凌駕するようなものですね…

 近年のスポーツモデルの不振についてですが、高度に専門化し過ぎてしまった、悪い言い方をするとオタク化してしまった反動という面もあるのでしょう。シビックタイプRは確かに高性能ですが、価格的に昔のシビックのように若い人が気軽に乗れるというものではありません。
 高性能な車であっても、その性能を常にフルに発揮しているわけではないでしょう。女性と一緒にお出かけしたりお洒落なお店へ…ということもあるでしょうが、例えばBMW M3やポルシェ911だと高性能車でありながらそういうシチュエーションも似合うのに対し、シビックタイプRはどうもそういう状況に似合うとは思えません。
(これはGT-Rやランサーエボリューション、インプレッサWRXにも言えますが…)
 いろんなシチュエーションに対応することができない、サーキットオタク・峠オタクになってしまっている懐の浅さという、日本車のスポーツモデルに共通する弱点がシビックタイプRにも明確に現れているのは残念です。

 コスト削減のための苦肉の策か、タイプRが決してスポーツ性が高いとも魅力的とも言えないシビック4ドアセダンをベースにせざるを得なかったのも、結局はこの車の命を縮めてしまうことに繋がったのかなと思います。
 絶対的な性能はホンダのスポーツモデルらしく、セダンであっても全く抜かりはないのですが、そもそも本来コンパクトだった「シビック」の、コンパクトであるべき「タイプR」がこんなに大きい必要があるのかと思います。
 またFD型シビックセダンはもともとボディサイズがドデッとデカいわりに室内空間がそれほど広くはなく、何のためにこんなにデカいんだろうと思ってしまいます。
 余談ですが、一昔前のホンダの車には「MM思想(Man Maximum Mecha Minimum:居住空間を大きく、機械を小さく)」という言葉があり、ワンダーシビックやシティなどそれを体現した車があったのですが…

 もしかすると日本国内で生産するタイプRシリーズはもうこれで最後で、時々イギリスからタイプRユーロを輸入してお茶を濁す程度なのかもしれません。これからホンダから登場するスポーツモデルのメインは、ハイブリッドや電気自動車、燃料電池車ベースとなっていくのでしょう。内燃機関の極みとも言うべきVTECエンジンがだんだんと役割を終えるようで、ひとつの時代の終焉を感じます。

 ともあれ、日本の車好きに夢を与えてくれたタイプR、さようなら、そして今までありがとう!


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Posted at 2010/07/11 19:49:08 | コメント(5) | トラックバック(0) | 新車試乗記 ホンダ編 | 日記
2010年03月18日 イイね!

CR-Z乗ってみました

CR-Z乗ってみました 注目のハイブリッドスポーツ・ホンダCR-Zに乗ってみました。
 グレードは上級のαで、ボディカラーはプレミアムホワイトパールです。メーカーオプションのナビを装着して約292万円の仕様です。


○だった点
・洗練度を増した走り味
 ホンダのハイブリッド車として昨年デビューしたインサイトと比べると、走りの洗練度がはるかに高いです。
 インサイトはトヨタのハイブリッドに比べて簡素な構造であることを利用して、低価格でハイブリッドを市場に提供しようという考え方に基づいた車ですが、それゆえにハイブリッドシステムの洗練度が低く、エンジン始動時の騒音振動が大きかったり、そもそもエンジン走行する比率が高くて燃費があまりよくなかったり…といかにも簡易型ハイブリッドカーであるという印象が否めない車でした。
 ハイブリッドカーとしてという観点だけでなく、天井が低くて狭い室内、質感の低い内外装、がさつな乗り味など、車としての洗練度についても、インサイトはそれほど高いとはいえませんでした。
 ライバルであるプリウスが旧型のうちはまだよかったのですが、昨年5月にモデルチェンジして新型に生まれ変わって以降、プリウスの出来の良さとインサイトの急ごしらえ感の落差が目立っていました。

 それにひきかえ、CR-Zは質感を大幅に向上させています。エンジン始動時の音と振動ははっきり看取できるものの、インサイトよりは低レベルに抑えていますし、乗り心地はインサイトよりもショートホイールベースにもかかわらず、粗さが少なく落ち着いています。CR-Zは40~50代の男性をメインターゲットとしているようですが、大人が乗るに足る落ち着きと質感を持っていると思います。

・MTの設定がある
 ホンダのハイブリッドシステム「IMA」はモーターをエンジンとトランスミッションの間にセットするという、トヨタハイブリッドに比べてシンプルなシステムです。それゆえCVTなど自動変速トランスミッションだけでなく手動変速機とも組み合わせることができるため、CR-Zには初代インサイト以来となるマニュアルミッションが設定されています。
 ここ最近はスポーツカー・スポーティーカーでもデュアルクラッチ式トランスミッションをはじめとする自動変速が主流となりつつありますし、速さの点でも一般的なドライバーが走らせるならば自動変速ミッションの方が有利でしょう。
 しかし車にとって、自分で車を操っているという感覚は非常に大事です。この点ではやはりマニュアルミッションの方が優れていると思います。
 
・スポーティさの演出
 CR-Zの特徴的な装備の一つに、ボタン操作で「SPORT」「NORMAL」「ECON」モードに切り替えられる「3モードドライブシステム」がありますが、SPORTモードにするとエンジンのパワー感が増して、なおかつモーターが積極的にアシストしてアクティブなドライビングが楽しめます。
 試乗時には市街地中心で走ったのであまりスピードは出せなかったのですが、それでもSPORTモードでアクセルを踏み込むと気持ち良いエンジン音を発して活発に走ります。エコノミーモードでトロトロ走るだけがハイブリッドカーではないなと思います。

 

もう少し頑張ってほしい点
・ハイブリッドカーとしての完成度がもう少し…
 ○だった点で洗練度を増したと書いたのですが、あくまでも従来のホンダハイブリッド車に比べてであって、プリウスに比べるとハイブリッドカーとしての完成度は今一歩です。
 渋滞時にブレーキ踏力を緩めてクリープ現象(?)でゆるゆると前進したいときに、プリウスならばモーターのみで静かに走れるのに、CR-Zはいちいちエンジンが始動し、また始動時の音と振動も大きいためかなり気になります。
 また、ECONモードでの走行中もモーターで走行する割合が低く燃費には不利でしょう。

・燃費の数値が今一歩
 JC08モード燃費がCVT:22.8km/L、MT:20.6km/Lとプリウスに比べるとかなり見劣りがします。軽量コンパクトであることが燃費に反映されていないのがちょっと残念ですし、MT派の私としてはMTの方が燃費の数値が悪いのも納得いきません。
(実燃費はMTの方がいいのでしょうけど…)
 実燃費もそれほど良くないようで、試乗車の燃費計の積算数値は13km/Lほどと、ハイブリッドカーとしては不満な数値で、これならフィットの方がはるかにマシです。
 初代インサイトのような燃費スペシャルのグレードがあってもよかったのではないでしょうか…

・リアシートが狭過ぎ
 後席空間がものすごく狭いです。身長175㎝の私が普通に着座して……と書こうと思ったんですが、普通に着座することが困難でした(爆)。
 頭上は首をすくめないと天井に頭が当たりますし、膝前にも空間がなく、真っすぐに座ることは諦めないといけません。まるで拷問です(爆)。
 本来この車のリアシートはあくまでも緊急用なので、広さ云々を言うのは間違っていると思うのですが、同じような考え方だったEF型CR-Xはなんとか座れる空間だっただけに、ボディサイズが大きくなっているのに室内の狭いCR-Zはいくらなんでもいかがなものかと思います。
 
・価格が少し高い
 試乗車のαはオプションが何もついていない(オーディオすらない)状態で252.95万円、試乗車はメーカーオプションのインターナビ等が装着されて292万円の仕様でしたが、車格の割にはちょっと値段が高いですね。これにさらに本皮シート等を装着して310万円を超える仕様もあります。
 もちろんインサイトよりは各部にお金がかかった作りですし、プリウスのような安っぽさもないのですが、両車の低価格に慣れるとCR-Zの価格はちょっと高いなという印象です。


総評
 以前シビックハイブリッドの試乗記で、トヨタのハイブリッド寡占は気に入らない、ホンダIMAは軽量・シンプルな構造を生かしてスポーティなハイブリッドを出したら良いのではないかと提案しましたが、インサイトにせよCR-Zにせよそれが実現したみたいで、ちょっとうれしいですね。
 欠点はいろいろ書きましたが、こんな時代に生まれたマニュアルミッションのスポーツモデルですから、素直に応援したいと思います。
 3月半ば時点での受注台数は約8000台と、年間計画の3分の2、さらにそのうち4割がMT車ということで、軽・ミニバン・コンパクトカー全盛の現在の国内自動車販売市場もまだまだ捨てたものではないと思います。この種の趣味的な車は最初の立ち上がりがよくて、一気に尻すぼみになるのが通例なので、プリウスのような人気が続くかどうかはわかりませんが、いずれにせよ頑張ってほしいところです。

 近年CR-Zに限らずスポーツモデルは、環境意識の高まりや排気ガス規制の強化等の外的要因、更には室内が狭くて実用的でないなどといった理由で、生産終了になる例が多かったです。
 その一方で普通車で売れるモデルといえばミニバンかコンパクトカーという状況です。最近の各社のコンパクトカーは燃費や使い勝手はもとより、走りや装備の面でも魅力的なモデルが多く、よく売れることはうなずけるのですが、ミニバンについては素直に納得できません。私の職場でもそうなのですが、子持ちならともかく独身者や子供が独立している人までがなんで、でかいミニバンなんでしょうか?
 「個人の勝手だろう」と思われるかもしれませんが、自動車は道路という公共空間を占有して走っている以上、むやみに大きいものは避けるべきであると思います。1人で通勤しているのに7~8人乗りで3列シートの車は極めて非効率ですし、大きな車体によって周囲の車の視界を奪っていることを知るべきです。

 話が横道にそれましたが、そういったミニバンに比べてCR-Zのようなコンパクトで合理的、かつエコロジカルな車は非常に知的な選択だと思います。この車は発注されている方は、本来のターゲットの子供が手を離れた40~50代男性はもとより、20~30代の方も多いようです。本当に車が好きで、車の本質を理解されている方はCR-Zのような車を検討されてみてはいかがでしょうか。


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先代プリウス試乗記
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Posted at 2010/03/18 14:35:36 | コメント(8) | トラックバック(0) | 新車試乗記 ホンダ編 | 日記
2009年10月12日 イイね!

新型ステップワゴン乗ってみました。

新型ステップワゴン乗ってみました。 注目の新型ステップワゴンに乗ってきました。
 グレードは売れ筋になるであろうG・Lパッケージ、ボディカラーはプレミアムヒダマリアイボリー・パールです。
 暗くなってから携帯カメラで撮ったので、写真がブレてて申し訳ないです。

○だった点
・3列目シートの収納
 新型ステップワゴンの特徴のひとつが、3列目シートの収納方法です。折りたたんで床下に収納することができ、その上収納状態でも床面が低くかつフラットです。その上操作方法も簡単で軽いので、主婦など女性の方でも簡単に扱えると思います。
 ノア/ヴォクシーなどは3列目シートがサイドに跳ね上げ式ですが、これだとサイドウインドウを塞いで死角が増えてしまいますが、ステップワゴンの方式は視界の良さと荷室スペースの確保を両立させていて素晴らしいですね。

・室内空間の拡大
 先代RG型は個性的な外観デザインだった反面室内空間が犠牲にされており、特に2列目・3列目の足元空間や3列目の頭上空間などは決して広いとはいえませんでしたが、新型は文句なしクラス最大級の広さです。

・視界のよさ
 最近の車はミニバンであってもとかくウエストラインが高くて側窓が小さく、かつピラーが太いため視界が悪い車が多い中、新型ステップワゴンは非常に窓が大きくて視界が良好です。窓面積だけでなく、ウインドウ下端部が低くて車の直近の死角が少なく運転していて安心感があります。
 最近はバックモニターやサイドブラインドモニター、パークアシストなど視界を確保して運転を補助する装置が装備されることが多いですが、車を運転する上で大事なのはドライバーによる直接目視での確認のしやすさであり、これをきちんと確保していることはファミリーカーとして非常に重要なことです。

・サイドビューサポートミラー
 上記の視界のよさにも関連するのですが、新型ステップワゴンの特徴的な装備「サイドビューサポートミラー」は非常に有効です。
 これは左側ドアミラー本体の付け根付近に前向きのミラーがあり、それに映し出された像を今度は室内左Aピラー下端に設置された別のミラーで映し出すというものです。原理は合わせ鏡を利用した非常に単純なものですが、左前輪付近のかなり広範囲が映し出されており、像のゆがみも少ないです。
 最近のミニバンやSUVには車の左前輪付近や直前の死角を減らすためのキノコ型ミラーが装備されているものが多いですが、これは不恰好な上、映し出す範囲が小さくかつゆがみが多いため、何が映っているのか、どこが映っているのかさっぱりわからないものがほとんどでした。
 新型ステップワゴンのサイドビューサポートミラーは単純な仕掛けですが、このようなコロンブスの卵的なユニークな装備が出てくるところがホンダらしいなと思います。

・5ナンバーサイズを堅持したこと
 先代に比べボディサイズが拡大しましたが、依然として全長4.7m未満、全幅1.7m未満の5ナンバー枠内に収まるボディサイズを堅持しています。日本国内で使用するに当たってはやはり5ナンバーサイズであることは重要でしょう。


もう少し頑張ってほしい点
・無個性で何かに似ているスタイル
 好き嫌いは別として、個性的だった先代RG系から一転して箱型の角ばったスタイルになりましたが、正直日産セレナを意識しすぎだと思います。ボディサイズの外枠が決まっていて、なおかつ室内空間を確保したらどうしても似てしまうのでしょうが、そこを似せないようにするのがデザイナーの腕だと思うんですが…

・3列目シートの座り心地が悪い!
 3列目シートは床下収納を意識しすぎて座り心地が悪いです。ヘッドレストがあるとはいえ背もたれの高さは極端に低いですし、座面の前後長も不足しています。またクッションが平板でサポート性は皆無です。ハッキリ言ってこのシートは軽自動車の後席以下で、非常用シートでしかありません。せっかく空間を広くして快適性を向上させたのに、シートがそれ台無しにしている気がします。

・3列目シートが分割格納できない
 3列目シートが床下収納できるのはいいのですが、その反面ノア/ヴォクシーのような左右分割収納ができず、一体型となってしまいます。乗車人数に合わせた柔軟な対応ができにくいのは残念です。
  
・乗車定員分の3点式シートベルト&ヘッドレストがない
 標準モデル最高グレードのLi、スパーダの最高グレードZi以外は2・3列目中央席のヘッドレストがなく、2・3列目中央席の3点式シートベルトに至っては、全グレード設定がありません。こんな常識以前の装備をケチるというのはホンダの良識を疑いますね。
 
・モデルチェンジの間隔が短い
 以前の日本車はほぼ4年周期でフルモデルチェンジしていましたが、ここ最近は伸びる傾向にあります。ところがステップワゴンは2代目・3代目とも依然としてほぼ4年周期でモデルチェンジをしています。下記の総評で詳述しますが、2・3代目とも商品企画的にミスがあったのでモデルチェンジを早めているのだと思いますが、旧モデルの陳腐化が早まってしまうのであまり感じのいいものではないですね。


総評
 初代ステップワゴンといえば、FFセダンベースの走行性の高さと、低床による乗降性のよさ、スクエアでスタイリッシュな外観デザインで大人気だったのは記憶に新しいところです。
 初代ステップワゴンはそれまでに存在したバネットセレナやタウンエースノアなど、運転席の下にエンジンがあり後輪駆動という、いわばトラックの延長線上にあった「ワゴン車」を完全に過去のものとし、「ミニバン」というジャンルを確立させた名車でした。
 ところがキープコンセプトで登場した2代目は、当時主流になりつつあった両側スライドドアが設定されないという時流の読み違いをやってしまったり、3代目RG型は走りとスタイルを重視するあまり、室内空間がライバルよりも狭かったり…とミスが続いてしまいました。
 それを挽回するためかなり早いタイミングでモデルチェンジし4代目に生まれ変わりましたが、今度は実用性はともかく、ライバル他車をあまりにも意識しすぎたスタイルとなってしまいました。ホンダの車ならもう少しオリジナリティが欲しかったですね。

 それからこの車、2・3列目シートの中央のヘッドレストや3点式シートベルトが備わらない、VSAが売れ筋グレードでもオプションなど、安全性に対する志の低さが目立ちます。
 まあミニバンの安全性については、メーカーがいくら安全装備を充実させても、子供にチャイルドシートもさせずに放し飼い、後席乗員がシートベルトをしない人が多いと言う現状ではメーカーもやる気がなくなってしまうのでしょう。
 われわれ自動車ユーザーは「メーカーが…」「行政が…」「警察が…」云々と言う前に、やるべきことをやらなければいけませんね。

 話が横道にそれましたが、新型ステップワゴンという車、売れ筋のミドルクラス5ナンバーミニバンであり、実用性は十分高く取り回し性も良好なので、そこそこ売れるでしょう。ただし、セレナ、ノア/ヴォクシーに対して明確なアドバンテージがあるわけではないので、初代のような爆発的人気とはならないでしょう。
 初代ステップワゴンは単に室内空間が広いから、角ばってるから人気があったというわけでなく、まったく新しい生活を感じさせる何かを持っていたから、ユーザーがそこに可能性というか夢を感じて売れていたのだと思います。
 その点をメーカーのホンダが認識できていない現状、ステップワゴンの苦戦はまだまだ続くのではないかという気がします。



※その他ミニバン試乗記も是非…(リンクは↓)
オデッセイ試乗記
フリード試乗記
ウィッシュ試乗記
アルファード2.4試乗記
ヴェルファイア3.5試乗記
Posted at 2009/10/12 13:57:51 | コメント(9) | トラックバック(0) | 新車試乗記 ホンダ編 | 日記

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