
シビックハイブリッドに乗ってきました。
試乗車はMX、ボディカラーはアラバスターシルバー・メタリックです。
プリウスだけでなくミニバン、SUVやレクサス各車など勢力を拡大させているトヨタハイブリッド(THS)に対し、もう一方の雄、ホンダのハイブリッド車のここ最近の動きはいまひとつ地味な気がします。インサイトは生産中止、出る出ると言われて未だに登場しないハイブリッドスポーツ、日本に導入されず、アメリカでも販売終了してしまったアコードハイブリッド…
現行シビックハイブリッドもプリウスに対する明確なアドバンテージがないまま、なんとなく影が薄い存在となっています。実際に乗ってみると「確かにこれじゃプリウスには勝てないな」と思う反面、一工夫すればTHSにはない独自の個性を生み出すことができるのではないかと思う部分もあります。
○だった点
・ハイブリッドであっても素直な運転感覚を持っている
旧来の自動車らしい運転感覚を徹底的に排除し、家電を操作しているような気持ちになってくるプリウスに対し、シビックはIMAシステムの性質上あくまでも自動車らしく、それも結構スポーティなフィールが強いです。ハイブリッドであってもホンダの車らしく運転が楽しいです。
・未来的でセンスの良い内装
特徴的なダッシュボード以外はなんとなくぼんやりしたデザインで、悪く言えばじじむさいプリウスの内装に対して、シビックのダークブルーとライトグレーの色使いはホンダらしく若々しくカジュアルで、ハイブリッド車らしい未来的な印象を受けます。(この色はハイブリッドではないものでも選べ、また他の内装色も選べます)
今一歩だった点
・ハイブリッド車としての圧倒的な部分がない
燃費を10・15モードで比べるとシビックハイブリッドMXB:31.5㎞/L対プリウスS:35.5㎞/Lと負けている上、実燃費にはさらに差があるようです。
走行感覚も頻繁にエンジンが停止したり、エネルギーモニターが充電や回生の状況をリアルタイムで表示したり、バイワイヤのシフトノブなど、あらゆる面でハイブリッドカーであることを実感できるプリウスに対し、あくまでも標準シビックの延長線上にあるシビックハイブリッドは、アイドリングストップこそあるものの通常走行時にハイブリッドを実感する機会は少ないです。
冷静に考えれば、この大柄なボディを1.3Lエンジンが引っ張っているのですからすごいことなのですが、そのすごさを全く実感できず、ありがたみがありません。
また、ボディサイズ拡大の影響か、本来THSよりもシンプル・軽量な構造のはずなのに、車両重量はシビックMXB、プリウスSとも同じ1,260kgです。
(ついでに言うと、ベースグレードとはいえ装備が充実して不満のないプリウスSに対して、シビックMXBは上級グレードから比べるとかなり装備が落ちます)
・ベース車に魅力がない
現行シビック登場時、全長4,540㎜、全幅1,750㎜という巨大なボディと4ドアセダンしかラインナップされないことに「これがシビックといえるのか」という批判が集まりました。いくらシビックにとって日本国内市場の重要性が低下しているとはいえ、私もやはり「これはねぇな」と思います。
その上、こんな大柄なサイズにもかかわらず居住性は旧型までとあまり変わらず、頭上空間はむしろ現行型の方が狭いぐらいで、肥大化したボディに正当性がありません。
・価格
プリウスも価格は高く、車両価格の高さを燃費性能のよさで回収するというのは基本的に難しいのですが、圧倒的な燃費性能のインパクトによって、「もしかしたら」という期待が持てるのと、ハイブリッドカーに乗っているという特別感で、あまり割高に感じません。
ところがシビックは標準車との違いが少ないうえ、燃費性能も圧倒的なものでないため、価格が非常に割高に感じます。
・マニュアルミッションが欲しい
トランスミッション(CVT)がエンジン・モーターを含めた動力機構の一部になっており、絶対にMTが設定できないTHSに対し、IMAはMTの設定は容易なはずです。インサイトにはMTがありましたし、現行シビック標準車(1.8G)には設定されているのですから、そう難しくはないと思うのですが・・・
・見づらいメーター
ステアリングホイール上部をスピードメーターとタコメーターが上下から挟んでいるようなデザインですが、メーターの機能が分散され、全く見易いと思いません。一体何を意図してこんなデザインにしたのでしょうか?
ホンダって初代プレリュードなど昔から変なメーターの車を時々出しますが、もうちょっとまじめにデザインして欲しいものです。
総評
長所、短所のところに詳しく書いたのですが、ホンダ自身この車の売り方に迷っている面があるように思えます。しかし、構造が複雑で重いTHSに対し軽量シンプルでコンパクトなホンダIMAは、たとえ現時点での実用燃費がTHSに劣っているとしても、軽量であることのメリットを活かした展開ができるのではないかと思います。
シビックを含めた今後のホンダハイブリッドの展開について今後の提案ですが、
①シビックセダンはタイプRを除きガソリン仕様を廃止してハイブリッドのみにする。
②ボディの小型化
③軽量シンプルなIMAの特徴を生かして、車重を軽量化
④ハイブリッドのフィットやミニバンへの展開や、スポーツ車の発売により量産効果で価格を抑える。
購入前提の印象ではないことを書き連ねてしまいましたが、ここ最近の「ハイブリッドといえばトヨタ」的な空気は、私はどうも気に入らないです。
また、シビックといえば衝撃的なデザインだったワンダーシビック、NAでリッター100馬力を達成したEFのVTEC、サーキットや峠ではGT-RすらカモることもできたEG&EK…と、いつも驚きを与えてくれたのに、現行シビックは… という思いもあります。シビックはもう一度原点に帰って欲しいなと思います。
ハイブリッドだけではない低燃費と高性能を両立させる技術を持つホンダにはぜひ頑張っていただきたいと思い、また私はシビックには思い入れがあるため余計なことを書いてしまいました。
欲しい度:☆☆★★★★★★★★
楽しい度:☆☆☆★★★★★★★
買える度:☆☆☆☆☆★★★★★
維持費 :☆☆☆☆☆☆★★★★
Posted at 2008/01/28 11:51:06 | |
トラックバック(0) |
新車試乗記 ホンダ編 | 日記