
新型
アコードに乗ってきました。
グレードは24TLスポーツスタイル、ボディカラーはプレミアムホワイトパールです。
ワゴンのアコードツアラーにも乗ってみたかったのですが、岡山県内の新型アコードの試乗車は、現時点ではなんとこれ1台のようです。
やる気ないな、ホンダ・・・・
○だった点
・広大なトランクルーム
今回のモデルチェンジで大幅にボディサイズを拡大させましたが、そのメリットが最大限現れているのがトランクルームです。4ドアセダンとしては最大級の広さでないでしょうか?
ゴルフに頻繁に行く方にはお勧めできます。
・街中での取り回しのよさ
全幅1,840~1,850㎜という巨大なボディですが、街中での取り回しにあまり不安はありません。ドアミラーの横幅が極端に広くないため、狭い道やすれ違いでも数値から感じられる以上に取り回し性は良好です。
もう少し頑張ってほしい点
・高い!!
とにかく価格が驚くほど高いです。インスパイアがボディを拡大してやや上級移行したのに合わせてアコードも、ということなのでしょうが、ナビ、HIDなどが付いていない最も安いグレード(セダン24E)で270万円、最も高いグレード(ツアラー24iL)にメーカーオプションを装着すると450万円を超えます。すでにクラウンも買える価格です。
確かに標準装備のナビは高機能なインターナビですし、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール:前車との車間距離を保持できるクルーズコントロール)やLKAS(車線維持支援システム)などハイテク装備が搭載されていて価格上昇要因になっていることは理解できるのですが、それにしても4気筒2.4Lの車の価格とは思えません。
正直ブランドを求めるなら、同じ4気筒だとメルセデスベンツC200Kompressor、BMW320i、アウディA4 TFSIスポーツパッケージが買えますし、日本製高級車だとV6のレクサスIS250バージョンL、クラウンアスリート2.5ナビパッケージにも手が届きます。
もちろん価値観は人それぞれですから、アコードのほうが価値があると思う方もおられるかもしれませんが、私はアコードの価格はあまりにも高過ぎると思います。
・デカい!!
上記で取り回しがしやすいと書きましたが、それでもサイズが大きいことに変わりありません。1,840~1,850㎜という全幅は本当に日本国内で使用することを考えているのでしょうか?
ついでに今回のアコードも先代同様、北米仕様はさらにサイズのデカい別ボディ、日本仕様と欧州仕様がほぼ同一ですが、道や駐車場の広い北米ならともかく、ヨーロッパのユーザーから大きさについての苦情は出ないのでしょうか?
・あまり広くない室内
巨大なボディがさらに説得力をなくしているのが、室内空間です。
横幅は広く、前席の頭上、肩周り、左右乗員間、乗員とドア間など全て余裕があるのですが、後席の空間については、頭上は握りこぶしタテ一個分、ヒザ前(前席で175cmの乗員がポジションをとった場合)も握りこぶしタテ一個分、つま先が前席下にきちんと入らないという、ボディサイズを考慮すると決して広いとはいえないスペースです。
スペースの広さを求めるなら、オデッセイかエリシオンを…ということなのかもしれませんが、この室内空間を見ると、一体何のためのボディサイズ拡大なのか?と思ってしまいます。
・固い乗り心地
試乗車はシリーズの中でもスポーティな24TLスポーツスタイルでしたが、街乗りではかなり脚が硬い印象です。各グレード間で脚のセッティングには違いがないそうですが、スポーツスタイルならこの乗り心地が許容できても、24iLなどラグジュアリーグレードにこのセッティングはちょっと硬すぎるように思います。
・スポーツモデルが「ルック仕様」になった
先々代CL1型、先代CL7型には本格的スポーツモデルの「ユーロR」が存在しました。
私はユーロRには一度だけ、CL7型にクローズドコース(低μ状態)で、それも4人乗車の状態で乗ったことがあるのですが、悪条件にもかかわらず乗員に不安を感じさせない極めて安定した走りと、「コアアアアァァァァッッ!!!」という脳天を突き抜けるような快音を発して、天井知らずに回りたがるVTECエンジンに大変感動しました。実用性に優れた4ドアセダンボディで本格的スポーツカーの性能を持っているという、ホンダならではの素晴らしい車でした。
そのユーロRが今回ラインナップから落ちてしまったのは残念です。ホンダとしてはスポーツドライビングはシビックRでということなのでしょうが、ユーロRはスポーツ性と大人っぽさのバランスが良かっただけに、シビックRで代用が効くかと言えば「?」です。
新型の巨大なボディではスポーツモデルを、というわけにもいかないのでしょうが…
一応、24TLスポーツスタイルがスポーツグレードということのようですが、これは見た目だけスポーティにした「ルック仕様」のようで、脚のセッティングなども標準グレードと違いがないそうです。
・エンジン音の室内への透過が大きい
エンジン音が室内に結構伝わってきます。車の性格に合わせた上質な音ならスポーティな演出として許容できるのですが、いかにも2.4L4気筒という感じの高級感のない音です。
・純正ナビのバックモニターにガイド線が出ない
細かい話ですが、純正ナビのバックモニターにハンドルを切ったときに自車が進行する位置を示すガイド線が出ません。個人的には別になくてもいいのですが、もっと小さい車にも付いているものが、アコードに付いていないのは違和感がありました。
総評
…と、悪い点ばかりを書いてきましたが、走らせればそれほど悪いところはないと思います。むしろホンダの車らしく走らせて楽しく、長距離や高速でもストレスが少なく、安全性も高いのだろうと思います。
私の試乗はどうしても短時間になってしまい、その間での感想になってしまうので、長い間付き合って良さが感じられるタイプの車はちょっと損かなという気がします。
しかし、それを差し引いても新型アコードにはあまり魅力が感じられません。その要因の大半は、あまりにも巨大になりすぎた車体サイズと高すぎる価格に集約されるように思います。
ホンダとしては新型アコードは、従来型よりも上級移行させて、輸入車やEセグメントの車とも競合させたいと考えているのかもしれませんが、2.4L4気筒の車をボディサイズが大きくなったから高級車になったと思ってくれる人がどれぐらいいるのでしょうか?価格さえ高ければ、ハイテク装備が付いていれば、サイズが大きければ高級車ということではないのです。
高級車でもなく実用的ファミリーカーでもないこの車は、ミニバン全盛の現在、あまり日本国内においては存在理由が見つかりません。
アコードはホンダの中ではシビックに次ぐ伝統ブランドですが、存在理由が不明のまま日本国内市場で生き永らえさせるなら、もういっそ北米専用車にしてしまってもいいのではないかと思います。
アコードはなくしてしまうのは惜しい車です。次期型は日本国内で使いやすい車、セダンでしか打ち出せない魅力をアピールする車になってほしいと思います。
※ お友達の
ナッピ~さんもこの車について書かれているので、ご参考までに…
①
②
③