
私の試乗記では新型車にはできるだけすべてに乗ってレポートしようと思っているのですが、いろんな事情で乗れない車もあります。
例えば…
①メーカーやディーラーが数を売ることを期待してないので、最初から試乗車がない(例:カムリ)
②仕事の繁忙期でバタバタしてるうちに試乗するタイミングを失ってしまった(例:クラウン)
③他の車種の派生車・兄弟車なので、そう大きな違いはないだろうと思って試乗に行く気にならなかった(例:ミラココア)
④ワーキングプアの私は敷居が高くてディーラーに行けないwwwwwwwww(例レクサス、高級輸入車)
②はできるだけ機会を見て乗ってみたいです。
④については………あんまり突っ込まないで下さい(泣)
(ていうか誰か乗せて下さいwww)
んで、問題は①なんですが、そういう車でも個人所有の車をひょんなことから運転させていただくことがあります。
というわけで前置きが長くなりましたが、マツダのSUV・
CX-7に乗ってみました。
グレードは標準車(FF)、ボディカラーはクリスタルホワイトパールマイカです。
試乗車は個人の所有車のため写真は撮っていません。(写真はカタログを撮影しました。)
○だった点
・スタイリッシュな外観
日本国内登場から3年近くが経過していますが、販売台数が少ないこともあり未だに新鮮さを失わない、スタイリッシュでかっこいい外観デザインです。レクサスRXやムラーノなどライバルと比べてもワイド&ローでスポーティです。
・活発な動力性能
この車は4気筒2.3リッターDISIターボエンジンが搭載されていますが、ボディサイズのわりに少排気量なエンジンとは思えないほど活発な走りです。2,000回転程度から豊かなトルクを発揮して、ボディサイズを全く感じさせない軽快な加速を披露します。
また、ハンドリングもマツダの車らしくシャープで素直です。SUVとしては全高が低いので上屋の重さを感じにくく、低重心で安定した楽しい走りです。
・充実した安全装備
隣の車線の車をモニターして、車線変更時に危険があればドライバーに警告する「リアビークルモニタリングシステム」をはじめ、急制動時にハザードランプを高速で点滅させる「エマージェンシーシグナルシステム」など、受動的・能動的安全システムが数多く採用されています。
もう少し頑張ってほしい点
・固い乗り心地
この種の大型SUVといえば車重が重い分、ゆったりと鷹揚な乗り心地なのですが、CX-7は脚の固さを常に感じさせられます。ちょっとした段差でも強いハーシュネスが伝わるというラフさなので、車格相応の乗り心地を期待すると裏切られます。
・スポーティな味付けが少しわざとらしい
マツダの車といえばZoom-Zoomを謳いスポーティで楽しい運転感覚を売り物にしています。
確かにどの車も、素直で自分のイメージしたラインをトレースできるキビキビとしたハンドリング、剛性感の高い足回り、インフォメーションを伝えてくるステアリングフィールなど、素晴らしいドライバーズカーであり、SUVであるCX-7にもそのDNAが受け継がれてはいます。
ただし、このCX-7に限らずアテンザ、アクセラなど最近のマツダ車は運転感覚を演出したいあまり、ちょっとわざとらしいところが鼻につきます。本来レベルの高い運転の楽しさというのは、コンパクトなサイズ、軽い車重、シンプルな内外装(すなわち初代ロードスターのような車)から生み出されるものだと思いますが、最近のマツダ車はそれがありません。無駄に大きいボディ、決してフィーリングの良くないエンジンを過給機で無理矢理パワーアップしていたり、ちょっと過剰な装飾がされた内外装など、無理にスポーティさを演出しているようでちょっと底が浅いです。
・燃費が悪い?
オーナーさんに聞いたところ、街乗りでの燃費は8km/Lに届かないそうです。車重を考えればやむを得ないですが、現代の水準から考えると相当燃費が悪いですね。ターボの過給圧をもう少し下げてもいいのではないでしょうか。
・車両感覚がつかみづらい
全幅がなんと1,870mmもある馬鹿でかさのうえ、スラントしたノーズや傾斜の強いフロントガラスの影響か車の直近が見えず車両感覚はつかみにくいです。
雑誌カーグラフィック誌11月号にSUV各車の車両感覚のつかみづらさについての比較記事が出ていました。その中にCX-7はなかったのですが、同様のスタイルのレクサスRXの成績が悪かったです。
この種の日本製SUV(というよりもクロスオーバー)は格好ばかりを気にして、日常の使い勝手や安全性について真剣に考えているのか疑問に思えます。
・乗降性が悪い
上記の幅が広いことにも関連するのですが、ロードクリアランスが高く、シートからサイドシルの間隔が広いため乗降性が悪いです。脚を相当外に投げ出すようにしないと地面に足が着きません。(私の脚、そんなに短くないはずなんですがwww)
女性や子供、高齢者・障害者の方には向いてない車ですね。
・ボディカラーの設定が少ない
ボディカラーが白・黒・茶・グレーの4色しか設定されていません。いかに台数が売れないからといっても、こんな高額車でボディカラーが少ないのはユーザーを馬鹿にしています。スタイルが売り物の車なのに、それを彩るボディカラーが少ないのは矛盾しています。
総評
デビューからかなり時間が経っており、また販売台数も少ない車なのでもう乗る機会がないままかなと思っていたら、思わぬ乗ることができてラッキーでした。
この車の価値は一にも二にもスタイリッシュな外観ということに尽きると思います。20~30代の男性がかっこよく乗るのが似合う車ですね。
ただし、上記の通り実用性にはかなり問題があります。スタイル重視の車だから実用性は二の次でよいというのがメーカーの姿勢なのかも知れませんが、例えばBMW3シリーズなどはかっこいいスタイルと高い実用性を兼ね備えているのに、それと比べるといかにもレベルが低いというか志が低いです。
これはCX-7に限らずレクサスRXやムラーノなどクロスオーバーに共通した傾向であるように思えますが、このままではクロスオーバーは一過性の流行商品で終わってしまうでしょう。
自動車メーカーが流行を追うことは当然ですし、売れる車を作らなければいけないことは理解できるのですが、ユーザーも自動車にとって本当に必要なことはなんなのか、本当にその車が自分のライフスタイルに合っているのか、きちんと考える必要もあるでしょうね。
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