
ポルシェ911という
奇妙なスポーツカーは、登場から60年以上経った今も、多くのスポーツカーの
ベンチマークとなっており、クルマ好きの憧れの的であり続けています。「いつかはポルシェ911」という想いは多くのスポーツカー乗りが抱く感情であり、新車価格はずいぶん高価で手が届かなくなりましたが、中古車も含めれば普通の人でも
ギリギリ手が届くのも魅力の一因です。
しかし、ひとたびポルシェ911を手に入れても、そこで終わらない「沼」が待っていることをこのクルマを一度でも所有したことがある人は知っています。私自身、現在の991GT3TPが7台目のポルシェ911ですが、こんなのは
序の口で、世の中には20台、30台と911を乗り継いでいる方もたくさんいらっしゃいます。余談ですが、本国ドイツでポルシェ911に乗っている人は「頭のねじがトンでいて、財布のひもが壊れている人」というイメージみたいです。実際、とあるドイツ人のプロフェッサーが日本にいらっしゃった際にたまたま車の話になり、当時まだ30代の若造だった私が「911に乗っている」と言ったらえらくビックリされ、「Bist du verrückt?」(お前、クレイジーなの?)と言われましたw。ポルシェ911をカーライフの目標にしている方は大勢いらっしゃいますが、これが人生アガリのクルマだ!と信じて1台目の911に手を出した瞬間が実は
終わりの始まりなのです。ポルシェ911を買い、そこで初めて「911沼にハマってしまった」ことを911オーナーは知ることになるのです。それではなぜ皆911沼にハマってしまうのか、その理由についてひも解いていきたいと思います。
ポルシェ911に沼る理由① ~唯一無二の存在~
ポルシェ911がデビューした1963年以来、変わらないのは
水平対向エンジンを積み、
RRかつ2+2座というレイアウトを踏襲することです。かつてはポルシェの創始者であるフェルディナンド・ポルシェ博士が作ったドイツの国民車「ビートル」も同じ構造でしたが、今となってはRRは911以外では
ルノー・トゥインゴと
路線バスくらいしか残っていませんし、水平対向エンジンはスバルくらいしか作っていません。RR最大のメリットは、車両の中で一番重量のある構造物がリアアクスルよりも後方に位置することで、
強大なトラクションが生まれる、という点につきます。また、水平対向エンジンは他のエンジンと比べ重心高が低いため、ロールなどの動きも小さくなります。ブレーキを掛けた際には、リアに「錘(おもり)」が乗っかっているため、フロントが過荷重にならず結果的に
4輪全てに制動力が掛かります。FR車でフルブレーキをするとフロントがダイブして前輪の横方向へのグリップが無くなるのとは対照的です。それでいて、狭いながら+2の居住性を担保しているところにポルシェ911の偉大さがあり、これは他メーカーでは到底作りえないノウハウの蓄積があってこそです。ポルシェ911は唯一無二の存在であり、
スポーツカーの金字塔なのです。
ポルシェ911に沼る理由② ~高いリセールバリュー~
ポルシェ911は昔から
リセールバリューの高いクルマです。空冷が激安で買えた時代もありますが、今や30年落ち、40年落ちと古くなればなるほど価値が上がる不思議なクルマです。限定車はいうに及ばず、カタログモデルでも程度を良く維持できれば価値は上がります。理由としては、ポルシェ911の場合には世界中に顧客、ユーザーが存在しており、
常に需要が供給を上回っているからです。992.2が登場した頃から中古車市場がダブついていますが、これはシンプルに投機目的で購入してきた
転売ヤーが市場から撤退したからです。逆に、良質かつ種類豊富な中古車が今は多数市場に出ており、新車にこだわりが無いのであれば、お好き個体をお早めに買われることをお勧めします。特におすすめなのはやはり
992.1カレラTです。私自身が乗っていてとても満足感が高かったですし、やはりフラット6エンジンをMTで駆る行為にはスポーツ・ドライビングの
根源的な悦びが詰まっています。
フロントガラスの曇り問題さえクリア出来れば、
エバーグリーンな魅力を放つ一台と言えるでしょう。またポルシェの場合、オーナーが変わっても、新車登録から15年まで
延長保証を受けられるというのも他のメーカーには無い大きなメリットだと思います。
ポルシェ911に沼る理由③ ~確立されたヒエルラキー構造~
ポルシェ911という車種には厳然とした
ヒエルラキー構造があります。素のカレラがあり、AWDの4系があり、豪奢なカブリオレやタルガもあります。スポーティーさにフォーカスしたGTSもありますし、いわゆる役物と呼ばれるターボ系やGT系もあります。お好みに合わせて
ステップアップする悦びがポルシェ911にはあります。私が911デビューしたのは新車の997カレラでしたが、当時はこれで大満足でした。もう「これ以上のクルマは存在しない!」と心の底から思っていましたが、サーキットに行きだしてほどなく
不満が生じました。最高回転数が7200回転と、上まで回せないことが
大きなストレスとなりました。その想いが強くなり、結果996GT3 Club Sportsに乗り換えることになるのですが、今度は足回りとダウンフォース不足が不満の種となりました。結果、996GT3RSまで行き、ようやく満足することになるのですが、今度はサーキットを走ることが
勿体なく感じるようになってしまい・・。とまあ絵に描いたように
沼にハマってますよねw。こうしたことに加え、水冷に乗っていれば空冷が気になったり、逆に旧車に乗っていれば最新式の電動ターボモデルが気になったりと、本当にキリがありません。個人的には「理想の911」というのは本当に
十人十色なので、そこにたどり着くまではとにかく
色々乗ってみるしかない、と思います。
ポルシェ911に沼る理由④ ~色褪せない魅力~
私は7台所有してきた911の中で一番多く乗ったのは
996型です。996GT3 Club Sports、996GT3RS、そして996カレラ4Sと3台の996に乗りました。ポルシェ好きの方ならご存じかとは思いますが、歴代911の中でいわゆる「涙目」と呼ばれる996型は長らく
もっとも不人気な911というレッテルを貼られて来ました。しかし、実際には996は「水冷のナロー」と呼んで良いほどスリークで、乗り味がすっきりしていて、そして空冷に比べれば
圧倒的に速いことがオーナーになると判ります。見た目についても、ここにきて見直されつつあります。レトロモダンなルックスの996が敢えて好き!という人も増えています。このもっとも不人気だった世代の911でさえそうですから、ナロー~992.2に至るまでどの世代の911も
911らしい魅力があり、まったく陳腐化することはありません。街中で見かけるどの911も私は
本当にカッコいい!!と思います。911のリアが張り出したつるんとしたボディは、コカ・コーラのボトル同様、男性にとっては
女性の身体を想起させるのだと思います。よって、正に
本能を揺さぶられるワケですね。とあるみん友さんが、「あのスタイリングをまとえば、大抵のことは許される」とおっしゃってましたが、大いに共感致します。911のデザインこそ、「究極に男好きするデザイン」なのです。
ポルシェ911に沼る理由⑤ ~素晴らしい仲間たち~
最後になりますが、私はこれまでみんカラを20年以上やってきて、大変幸せなことに多くの
素晴らしい方たちとお知り合いになる事が出来ました。ネット上だけのお付き合いですと中にはちょっと変な人もいますがリアルにお会いした方で変な方はお一人もいらっしゃいません。皆さんその道の
プロフェッショナルな方が多く、クルマ談義以外でも多くの事を学ばせていただきました。そして、そうしたお友達の繋がり、伝手で良い思いをさせていただくことも少なからずあります。住んでいる環境も、育ってきた環境も、仕事も、何もかも違いますが、唯一
「ポルシェ911という世界最高峰のスポーツカーを所有している」という一点で繋がりがあるだけで、何時間も語り合えるというのは本当にすごいことだと思います。また、お友達の輪が広がると、自分だけでは触れることの無いようなモデルに触れたり、試乗までさせていただける機会にも恵まれます。ポルシェ911は飾っておくようなクルマではないので、皆でツーリングに行くのも愉しいですし、若い頃はサーキットにも良く足を運びました。多くの素晴らしい仲間に囲まれることでより充実したカーライフへと
昇華するのは間違いありません。あと、
某イタリアンスーパースポーツカー界隈と違って、ポルシェ乗りは
ジェントルマンが多いことも付け加えさせていただきます。
いかがでしたでしょうか?これ以外にも「チューニングパーツが豊富」とか、「ショップが充実している」とか、「ポルシェ911に沼る理由」はたくさんあるかと思います。皆さんが考える
ポルシェ911に沼る理由は何ですか??