
ポルシェは7月8日、2025年上半期(1~6月)の世界販売実績を発表しました。同期間中に世界で、
前年同期比6%減の14万6391台を顧客に納車し、このうち電動車(フルEVとPHEV)の比率は36.1%でした。内訳はフル電動車が23.5%、PHEVが12.6%でした。前年下半期に続いての
減収減益となりましたが、今年の下半期はトランプ関税の影響もあり、売り上げは更に減少すると見込まれています。
さて、ポルシェは初代911の登場から60年を超える
ヒストリーを持つブランドですが、今は「スポーツカーだけ」を売るワケには行かず、むしろ経営的な屋台骨となっているのはSUVやEVであることは皆さんご存知の通りです。欧州のコロコロ変わる排ガス規制に翻弄されているという点に於いては
同情の余地もありますが、VWグループ全体としてEVシフトを早く進め過ぎた感があり、
EVの供給≠デマンドという需給の不一致が著しくなってきていると感じます。とりわけ中国市場の急速な冷え込み、トランプ関税(EUは30%)などの外的な要因もポルシェにとっては完全な逆風になっていると思います。そんな中、
起死回生の策はあるのでしょうか?小手先の限定モデル販売や、中途半端なEV戦略では今後の競争には勝ち残って行けないのではないか、と懸念します。まず基本スタンスとして、何年かかってでも欲しい顧客の所に欲しい商品が届く生産体制の整備が急務と思われます。
これまでポルシェを支えて来たのは古参のファン・・いわば
ポルシェ教の信者だと私は思っています。私もその信者の一人ですが、ポルシェ信者はポルシェのエンジニアリング、そして商品に対する
信仰があるのでこのブランドを買い支えて来ました。しかしながら、私のような比較的新参者(日本で言うとミツワ時代のポルシェを知らない)でさえ、50歳を超えました。もっと上の年代層となると、60代、70代、失礼ながらいつ免許証を返納してもおかしくない年齢層に入っていく方たちです。現在の30代、40代の若い層はSUVのポルシェからブランドに入っている方も少なくないと思います。ポルシェ=モータースポーツというイメージではなく、
漠然とした高級車ブランドのイメージで買われているような印象を強く持ちます。しかし、若い方は
トレンドに敏感で
飽きっぽいという特徴があります。大谷翔平をブランドアンバサダーに指名したところで、それほど若い方の心に響くとも思えません。
オーナー体験という点ではポルシェとフェラーリには
雲泥の差があります。ポルシェは所詮メルセデスやBMWの延長線上ですが、フェラーリは正にセレブの世界。また製品クオリティにしても、決して高いとは言えず、なかなかリコールにならない
致命的なトラブルも散見されます。そもそも欲しくてもなかなか買えない上に価格は上昇の一途、これまでポルシェを買い支えて来た「上客」は老化の一途、製品qualityはトヨタ以下、顧客体験はメルセデス、BMWに毛の生えた程度。これでは今後
どういう人たちがポルシェを買い支えて行くのか私にはよく分かりません。というか・・ポルシェの未来は
大丈夫か?と危惧せざるを得ません。ポルシェにとって今必要なのは重くて、高くて、リセールが極悪なEVに注力することではなく、もっと若いクルマ好きが手軽に楽しめる、初代ボクスターのようなエントリー・スポーツカーだと思います。現在のポルシェのラインナップを見ると、一番安い素マカン吊るしで
800万円もします。これでは若い層は取りこめないでしょう。
お布施をたくさんしてくれた「上客」が大事なのは分かりますが、
上客ありきの商売、お布施ありきの商売では限界があります。その方たちが永久に生き続けるワケではありませんので。やはりグローバルな視点で、
明確に戦略を打ち出していく必要があると思います。中途半端にフェラーリのようなゾーンを目指しても
鼻で笑われてしまうだけです。私はそうは言ってもポルシェのファンなので、「もうこれ以上このブランドを追いかける価値は無い」と思うまではついていくつもりですが、「その時」はそう遠くないと感じています。少なくとも現状EVを買うつもりはありませんし、環境に良いとも思えない
無駄なお布施をするつもりもサラサラありませんので。そのような商売しかしない、魅了されるような商品展開に期待が出来ないのであれば、もうそのブランドは私にとっては「オワコン」です。プレミアムセグメントのフェラーリの方が余程
顧客心理を分かっている気がします。内装が使い勝手の良いように刷新・改良され、純ICEを搭載してきたアマルフィにそのことが見て取れます。フェラーリの高笑いが聞こえて来そうです。

Posted at 2025/07/15 08:25:14 | |
トラックバック(0) |
ポルシェ全般 | クルマ