北米では「オートローン問題」が勃発しています。
物価高騰と
品薄、そして
金利高騰の影響で新規で自動車を買う人が減っており、更にはすでにローンで自動車を買っている人の
オートローン破たんが急増しています。一部ではリーマンショックを超える惨事になるのでは、という見方も出ています。こうした状況は中古車業界にも影を落としており、クルマの価値そのものが
地盤沈下を起こしています。
日本でも人気の
残価設定ローンは、数年後に車に残る価値(残価)を見越して月々の支払いを安く設定できるメリットがある一方、残価が想定よりも下がってしまった場合には
売却時にアシが出る事になります。フェラーリのような驚異的な残価率のローンを組める一部高級車種は例外として、一般的なミドルクラスのクルマは残価が思っていたほど残らないという問題が起きています。残価率が低くなれば、当然月々の支払い額は上がりますので、クルマ購入のハードルは上がります。日本のように金利が2~3%程度ならまだしも、北米では新車の金利は6%、中古車に至っては10%を超える金利となっており、ローンの金利負担が
めちゃくちゃ重くなっています。
こうした経済事情を背景に新車セールスは大幅に鈍化、「EVシフト」で各社売れないEVのインベントリーが積み上がり、フランチャイズディーラーの倒産も増えています。直営店も同様に危機的状況で、メーカーも赤字を垂れ流すワケには行きませんので、どこかで
コストカットしなければなりません。そこで、目を付けられているのが
ディーラー(実店舗)の固定費(家賃や光熱費、人件費、広告宣伝費など)です。日本でもこの流れはあり、店舗の統合や整理が少しずつ始まっています。テスラを筆頭に、BMWやメルセデスベンツもネット販売という形でいわゆる
B to Cを徹底する方向へと動き始めています。先日、VWのリコール作業のためディーラーに伺った際も、新規商談はなく、ほぼ整備点検の来店のみ、という状況でした。
今後はディーラーは「販売網」としてではなく、「サービス拠点」として存在意義を維持するような形へと変貌していくのではないか、と予想します。実際、新車が売れなくてはディーラーは経営が成り立ちません。新型車が出れば飛ぶように売れた時代とは違い、中国も含め世界中の経済が停滞期に入りつつある現状ではこれも時代の流れかもしれません。ディーラーが減って困るのはエンドユーザーですが、我々も少しずつ意識を変えて行く必要があります。人口が減り、自動車の整備を出来る人材もこれからどんどん減ることが予想されます。日本には2年毎の車検という悪しき制度がありますが、10年後、20年後に今と同じように定期点検や車検を好きな時に受けられる保証はどこにもありません。
アフターサービスがまともに受けられないようでは、自動車は非常に
ハイリスクな商品となってしまいます(実際テスラのリセールの悪さはこの辺にも原因があるように思います)。今後はディーラーで購入していない中古車となると、国内正規品であったとしても、
門前払いされる可能性すらあります。一方ポルシェのようなブランドは「旧車の整備は金になる」という事でディーラーは
味をしめているようにも見受けられますし、本国AGがサプライを強化しているので、正規品であればとりあえずは安泰という気がします。逆にミドルクラスの、認定ではない中古車は今後リスキーになるのではないか、と予想しています。これからの時代、購入時には多少割高でもディーラーの息のかかったクルマの方が安心、安全かもしれません・・。
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四方山話 | クルマ
Posted at
2023/12/12 13:58:42