
これまで6台のポルシェ911を所有してきて、
スペックだけでは計り知れない魅力があると常々思っています。2024年現在、911は純粋にパワーだけを見れば取るに足らなかったりするのですが、机上のデータを見るのと、実際に所有して乗ってみるのとでは
大違いです。実際に所有してみて実感した
ポルシェ911の美点について、長くなるので項目毎に何回かに分けてアップしていきたいと思います♪
まず、私がどの世代の911に乗っても必ず感じるのが、エンジンの
圧倒的な存在感です。伝統の水平対向6気筒エンジンは、空冷時代から最新の992の3.0Lターボに至るまで、
共通の美点があります。一番印象的なのは、
「精緻な機械が回ってる感」が非常に強い、という点です。水平対向エンジンと言うのは、直列6気筒、V12気筒同様、「完全バランスエンジン」と呼ばれます。技術的な詳細は割愛しますが、要はピストンの運動が振動を打ち消し合う動きをするため、エンジンの
振動が極めて少ないのが特徴です。昨今は摺動面のチューニングに加え、バランサーシャフトやエンジンマウントの材質が良くなっているため、直列4気筒でもそれなりにスムーズに回るエンジンは存在しますが、水平対向6気筒エンジンは
別格です。過去には
シルキー6と呼ばれるBMWの直列6気筒エンジンも所有したことがありますが、個人的には「精緻な機械が回ってる感」は水平対向6気筒の方が上です。付け加えるなら、Mezgerエンジンに端を発する空冷クランクケースのモデルよりも、M96以降のカレラ系エンジンの方が
より緻密な感じがします。
もちろん、GT3系のエンジンは高回転まで回せば
圧倒的なパワーの炸裂感があり、NAならではの気持ち良さも合いまって素晴らしいエンジンなのですが、低速域だと意外とガサツな回り方をします。ネット上ではとかくGT3崇拝の論調が目立つワケですが、実際に両方を所有してみた印象としては得意領域が異なる、というだけでカレラ系エンジンの緻密さは他のモデルではまったく経験が出来ない
格別なモノです(この辺はスペックヲタの知りようがない領域かと思います)。私はV12気筒エンジンというモノを試乗も含め経験したことがありませんので、比較のしようがありませんが、少なくとも自分の経験の上では
カレラ系の水平対向6気筒エンジン以上に回して気持ちいいエンジンというのはそうは存在しないと思っています。これはNAだから、とかターボだから、とかは関係ないですね。718系の4気筒もかなり頑張っていますが、やはり気筒数が少ない分、振動も大きく、911の領域には至っていないと個人的には思います。やはり911の水平対向6気筒エンジンには
オンリーワンで
抗い難い魅力があるように感じます。
で、話題の992.2カレラGTSのハイブリッドエンジンですが、水平対向6気筒エンジンを踏襲している以上、気持ち良さはこれまでのモデルとあまり変わらないのではないか、と想像しています。この辺はぜひクルマが日本に入って来たら試乗してタイカン・・もとい体感しておきたいところ。今後ハイブリッドモデルが増える事が予想される中、この「精緻な機械が回ってる感」がスポイルされていないようであれば、
911の未来は明るいと言えましょう。ただ、どうしてもエンジンの回転に対する抵抗が多くなるようだと、もしかしたらやや気持ち良さが減っているかもしれない・・という懸念もあります。(たとえはちょっと良くないかもしれせんが)飽くまで
仮定の話として、発電のために「回転抵抗の大きいオルタネーターなどの補器類」が付いていたとします。回転フィールは当然
抵抗感を伴うモノになりますよね?T-HEVのメカニズムを考えるとその可能性はそれほど高く無いように思いますが、経験してみるまでは断言できません。とにかくあの粒の揃った、抵抗感無く、淀みなく回る
珠玉のエンジン回転フィールだけは死守してほしいと願って止みません。
つづく
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Posted at
2024/07/29 13:58:41