
去る2月27日(土)、黒蛙号こと964 Carrera 2が無事納車になりました!何してる?の返信でお祝いのお言葉を多数頂戴し、
嬉しかったです。ありがとうございます!積載車で関西方面から来たため、納車の時点で花粉塗れになっていましたが、昨日ドライブ後に綺麗にドライ洗車しました^^。
で、眺めていても仕方ないので、地元をさらっと流した程度ですが、さっそくドライブに行って来ました♪
以下、水冷911を3台経験した目線でのインプレになりますが、これから空冷を考えている方の参考になれば幸いです!!
まず、前提として黒蛙号は1994年式ですので、
約27年前のクルマになります。人間でも27歳なら妙齢、住宅ならボロが出始める頃、家電製品などはポンコツと化す年月です。私で3オーナー目ということですが、実は最初のオーナーさんがちょっと変わった方(?)だったようで、自動車税を滞納していたが故に車検を通せず、8年×2回ほど
不動期間があったようです。その後2代目オーナーさんの元に行き、ある程度整備等はしてくださったようですが、それでもやはり距離は伸びず・・。結果、製造から27年目で、
走行距離25300㎞という激レア個体です。・・にしてもちょっと走らなさ過ぎですね(汗)。
クルマは
メカの集合体なので、
走らなさすぎは良くありません。パーツが固着したり、オイルがスラッジ化したり・・。とにかくクルマは走ってナンボ、定期的に走ってやることがとても重要です。この点に於いて、いくら納車前にある程度整備を受けたとは言え、本当にキチンと動くのか、内心一抹の不安がありました。しかし、結果的にはまったく問題なく走ってくれて、機関系の状態はすこぶる良かったです。
感動ですね~(泣)。ドライブの後半で計器系のトラブル(後述します)がありましたが、内外装、機関系といったクルマ全体の状態は申し分なく、年式を考えれば立派だと思います。
さて、前置きはこれくらいにしてさっそくインプレッションに移りたいと思います。ドアを開けて、中に入り、ドアを閉めます。
ガチャン!!という例の金属音。もうこれだけで「空冷ポルシェに乗っている」という幸せな気分に浸れるワケです。最近のクルマはどんな高級車でも、バスッとかボスッという音ですが、空冷911は
ガチャン!ですからね。この音が出るのは空冷911か先代Gクラスだけですね、私の知る限り。で、着座するとシートの出来が
望外に良い。ぱっと見あまりホールド性が良いようには見えない純正シートですが、背中~腰、肩甲骨の内側をしっかりホールドしてくれます。座面は硬すぎず柔らかすぎず絶妙な感じ。うーん、ナイス♪
ポルシェの流儀に則り、左側のキーシリンダーにキーを差し込み、アクセサリー電源を立ち上げます。計器類が動き、問題がない事を確認してからエンジンオン!乾いた
空冷フラット6ならではの咆哮とともに、エンジンに火が灯ります。心地良い振動と、バサバサとしたプロペラ機のようなフラット6サウンドにしばし酔いしれます。酔いしれるといえば空冷911独特の
「空冷臭」、27年の時を経ても健在(?)です。乗り込んだ瞬間からアノ独特な匂いがします。どの空冷911に乗っても必ず匂うあの臭気。一説によると接着剤の匂いでは?という話ですが、本当に独特ですよね!まあポルシェ好きとしては
アドレナリンが出ますw。
重めのクラッチペダルを踏み、ギアを1速に入れ、いざ走りだします。3.6Lフラット6はピークパワーこそ250psと今となっては驚くほどの値ではありませんが、
トルクがスゴイので、動き出しは極めてスムーズ。巷ではアイドリングスタート云々という都市伝説がありますが、この辺はあまり気負わず普通に乗って構わないと思います(アイドリングスタートはもちろん可能ですが、マストではないと個人的には思います)。964は5速までしかありませんが、1速~3速で街中の速度域ならほぼカバー出来てしまいます。トルクバンドが異様に広いせいで、ほぼ
ノンストレスですね。
シフトフィールは先代までのG50ミッションのような繊細な感じではまったくなく、
ゴクッゴクッといった感触。ストロークはやや長め。997のアイシン製ミッションのような吸い込まれる滑らかさはなく、986~987のゲトラグ製ミッションのようなやや抵抗感のあるフィーリングです。
剛性感はそこそこあるので、安心してシフトチェンジ出来ますが、シフトフィールとしては極上の部類ではありません。
シフトストロークも長めなので、気になる方はRS用のショートシフトロッドとか入れると良いのかもしれません(私はこのままで満足です)。ニュートラル付近で
シフトレバーの遊びがやや大きい気がするので、仕様なのか経年劣化なのか、何かの折に確認・調整出来ればと思います。
空冷911と言えば、A、B、Cペダルすべてがオルガン式(水冷以降はAペダルのみオルガン式、B、Cは吊り下げ式)なのは有名ですが、最初に操作系で一番
違和感を覚えたのはココかもしれません。特にクラッチペダルがオルガン式なのは慣れるまでかなりの違和感を伴いました。とはいえ、昨日1日ですっかり慣れてしまいましたが。中にはセンター方向への
ペダルオフセットを気にする方もいらっしゃいますが、個人的にはまったく気にならないレベル。ただ左にフットレストがなく、絨毯直置きなので、ドライビング用に上履きを車内に置きたくなりました^^;。クラッチのミートポイントは一般的な感覚からうするとかなり手前目で、これも最初は慣れが必要かもしれません。
ブレーキは踏みシロが小さく、Aペダルとの段差も大きいため、
H&Tはほぼ不可能と思われます。まあポルシェもH&Tは不要と言っているくらい
(H&Tは日本特有のガラパゴステクニックという説もあります)なので、個人的にはあまり気になりません。でもって、どうしても回転合わせしたいなら
トゥ&トゥの方が理に叶っている気がします。あとブレーキで感じたのは(カレラ4系やターボはどうやら違うようですが)アシスト量が物凄く少ないので、キッチリ効かせるためには
かなりの踏力が必要です。GT3以来、久々に脚力で踏みしめるタイプのブレーキに触れましたが、慣れてしまえばコントロール性は抜群ですね。スポーツカーの場合、「踏みマシ」が出来るのは良いブレーキの証拠です。
アクセルレスポンスは良いです。ベースが同じM64エンジンでも996GT3系のようなカミソリレスポンスとは違いますが、
十分速いです。公道でこれ以上は必要無いと個人的には思います。RRならではの、ガツンと後ろから蹴飛ばされる感じも健在ですし、
人馬一体感は車体が小さい事も相まってすごいです。操作系が全体的に重いため、車重から想像するようなヒラヒラ感はあまりありませんが、逆に高速走行時などは望外に
安定感があります。さすがアウトバーンの国で生まれただけのことはありますね!911は高速直進性が悪いと昔から言われていますが、それは120~150㎞/hの中途半端な速度域だけの話であって、公道ではまず問題ありません。
そして964で一番驚いたのが
乗り心地の良さです。もうね、ずっと乗っていたくなる(笑)。こんなにホイールベースが短くて、前後重量バランスも悪いのに、低速域高速域を問わず、ボディの高い剛性感のおかげか、アシがしっかり動くおかげか、
まったく不快ではないんですね。それでいて、つまらないとは決して感じない。むしろ、常にインフォメーションが路面から伝わり、後ろでフラット6の息吹を感じるため、とにかく乗っていて
飽きないし
疲れない。クルマに乗って、こんなに
ずっと乗っていたいと思ったのは
997カレラ以来です。そういえば、エンジンの回転フィールや、リアヘビーな感じも997カレラに似ている気がします。どこか懐かしい気持ちにすらなったのはそのせいかもしれません。
ドライブの余韻に浸っていたら、帰り道の途中で
タコメーターが死にました、ハイw。まったくの不動状態、
うんともすんとも言わなくなりました。他のメーターはプルプルしながらも動いているため、恐らくタコメーター単独の問題と思われます。964は知る限りメーター類はASSYではないため、タコメーター単独のカプラーが外れたか、中でショート起こしたか何かだと思います。とりあえずステレオ交換のタイミングでショップに診てもらおうと思います。この程度のトラブルでビビっているようでは、ネオクラシックカーは乗れません!タコメーターが死んでても、耳でエンジンの息吹を聞けば
良いんです!(川平慈英風)
そんなこんなで初ドライブを終えましたが、望外に状態も良く、27年前のクルマとはとても思えない剛性感、そして乗り味でした。大枚叩いて
買った甲斐がありました、本当に。18歳で自動車免許を取り、随分たくさんのクルマに乗りました。BMWに始まり、マツダ、ポルシェ、ロータス、フェラーリ・・数多あるクルマに乗り、今まで終わりのない旅を続けて来ました。クルマ遍歴も大分長くなりましたが、人生の折り返し地点も過ぎた私にとって、そろそろ
ゴールを見据えたいところ。不惑の40代、もしかしたらこれが
上がりの一台になるかもしれません♪