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black frogのブログ一覧

2021年03月15日 イイね!

脅威のCd値=0.32

脅威のCd値=0.32過去の文献を読み漁っていると、色々面白い事実が見つかります。たとえば表題のCd値。クルマ好きの諸兄はご存知の通り、Cd値というのは空気抵抗係数のことで、この値が低ければ低いほど空気抵抗は少ない、という事になります。一見すると、964は先駆モデルの930同様の「カエル顔」ということで、それほどCd値に大きな差は無いように思いがちですが、実は930のCd値が0.39であるのに対し、964のCd値は0.32劇的に改善しています。

この背景には、この頃から綿密な風洞実験を行うようになったことや、リアセクションのフラットボトム化等が挙げられますが、何が凄いって、964の後に出て来た993のCd値は0.34と逆に悪化しており、旧モデルである964の方が良い数字を叩き出しているという点です。その後、996ではさすがに改善され0.30となり、997では0.29とさらに改善しています。その後に登場した991~992では0.29~0.30をウロウロ。つまりは996以降は劇的な向上はなく、30年以上も前に964が叩き出した0.32という値が如何に優れているかが良く分かります。もちろん、スポーツカーの場合はCd値の追及以外に、高速域でのダウンフォースの獲得という「真逆の命題」もあるため、一概にCd値が低ければエライというモノでもありません(燃費命のプリウスのCd値が0.25である一方、ダウンフォース命のフォーミュラーカーのそれは0.50前後)。ちなみに往年のグループCレーシングカー、962CはCd値=0.31だったとのこと。改めて964恐るべし、です。
Posted at 2021/03/15 14:48:05 | コメント(1) | 964カレラ | クルマ
2021年03月08日 イイね!

入院日決定!

入院日決定!前回ブログでアップしたタコメーターの不動問題。もともとオーディオの入れ替えを予定していた某ショップさんに修理を依頼しようと思っていたのですが、どうも電話の対応がイマイチ^^;。何故かちょいちょいタメ口で、若干上から目線なんですよねw。まあ業種は違いますが、私も客商売をさせてもらっていますので、こういうのってイラっと来ちゃうんですよねー・・。私はアンタの友達ではないよ、と。

で、結局地元ポルシェセンターのアフターサービスに修理を依頼する事にしました(対応はさすがに良かったです)。まあ多少お高くつくかもしれませんが、そこは安心料ということで・・。ちなみに入院日は来週になりました!あと今回、タコメーター不動以外にいくつか気になる所があったので、ついでに診てもらおうと思っています。具体的には、

①シフトレバーニュートラル付近でのガタつき、遊び

これは996の時も感じたので、ちょい旧ポルシェの仕様なのかもしれませんが、997ではまったくと言って良いほど無かったんですよね。何というか、ニュートラル付近でシフトの遊びが大きい感じです。何かが緩んでいるような感触で気持ち悪いのですが、仕様なら仕様ということで諦めます。ちなみにもう少しシフトストロークが短い方が操作性がアップしそうなので、いずれRS用のシフトロッドに換えるのはアリかも、と内心思っています。

②ブレーキが異様に重い問題
ポルシェはもともとブレーキ(に限らずすべてのペダル)が重く、かなり踏力を要します。まあコントロール性は良いのですが、それにしても水冷ポルシェと比べるとかなり重く感じるので、一言で言ってサーボがあまり効いていない印象を受けます。もちろん、これも仕様ということであれば受け入れますが、何かが不調ということであれば対策してもらおうと思います。ちなみにパッド、ローターは納車前点検で異常がない事を確認しており、フルードも交換済です。

➂サイドブレーキの効きが甘い問題
サイドブレーキが外れた状態から引くと、奥側が物凄く軽く、頼りなく、目一杯引き上げてようやく何とか効くような感じです。ちょっとした傾斜でも動いてしまうのでは?という不安感があり、実はガレージ内で保管している時はタイヤストッパーをつけていますw。まあこれも上の①、②同様、仕様なら諦めますが、調整が出来るようなモノであればぜひ調整してもらいたいです。

➃油量計が信用できない問題
空冷エンジンは、別名「油冷」と呼ばれるほどエンジンオイルが重要です。964はたしか13Lほどのエンジンオイルでエンジンの潤滑・冷却が行われているハズですが、メーターの油量計がどうもアテになりません。エンジンが温まっていない状態では、メーターが上がらないのは100歩譲って分かりますが、ある程度油温が上がっても、なかなか油量計が上がりません。それでいて、突然急に気が付くと満タンになっていたり、良く分かりません。これも仕様でしょうか?

⓹謎のチェックランプ問題
一番右の時計の上の方のチェックランプが点いたり消えたりしています。一見すると、エンジンフードのマークのように見えますが、一体何のチェックランプなんでしょうか??サービスマニュアルを自分で調べたら良いのかもしれませんが、忙しくて調べられていません(反省)。エンジンフードはきちんと閉まっているのですが・・。まあ何かしらの異常なのは間違いないので、ついでに診てもらいたいと思います。



とりあえずは以上です!(笑)入院までまだ日数があるので、もう少し乗ってみて、他に異常が無いか膿を出し切ってみたいと思います♪
Posted at 2021/03/08 15:04:53 | コメント(6) | 964カレラ | クルマ
2021年03月01日 イイね!

納車!!そしてファーストインプレッション!

納車!!そしてファーストインプレッション!去る2月27日(土)、黒蛙号こと964 Carrera 2が無事納車になりました!何してる?の返信でお祝いのお言葉を多数頂戴し、嬉しかったです。ありがとうございます!積載車で関西方面から来たため、納車の時点で花粉塗れになっていましたが、昨日ドライブ後に綺麗にドライ洗車しました^^。

で、眺めていても仕方ないので、地元をさらっと流した程度ですが、さっそくドライブに行って来ました♪以下、水冷911を3台経験した目線でのインプレになりますが、これから空冷を考えている方の参考になれば幸いです!!

まず、前提として黒蛙号は1994年式ですので、約27年前のクルマになります。人間でも27歳なら妙齢、住宅ならボロが出始める頃、家電製品などはポンコツと化す年月です。私で3オーナー目ということですが、実は最初のオーナーさんがちょっと変わった方(?)だったようで、自動車税を滞納していたが故に車検を通せず、8年×2回ほど不動期間があったようです。その後2代目オーナーさんの元に行き、ある程度整備等はしてくださったようですが、それでもやはり距離は伸びず・・。結果、製造から27年目で、走行距離25300㎞という激レア個体です。・・にしてもちょっと走らなさ過ぎですね(汗)。

クルマはメカの集合体なので、走らなさすぎは良くありません。パーツが固着したり、オイルがスラッジ化したり・・。とにかくクルマは走ってナンボ、定期的に走ってやることがとても重要です。この点に於いて、いくら納車前にある程度整備を受けたとは言え、本当にキチンと動くのか、内心一抹の不安がありました。しかし、結果的にはまったく問題なく走ってくれて、機関系の状態はすこぶる良かったです。感動ですね~(泣)。ドライブの後半で計器系のトラブル(後述します)がありましたが、内外装、機関系といったクルマ全体の状態は申し分なく、年式を考えれば立派だと思います。

さて、前置きはこれくらいにしてさっそくインプレッションに移りたいと思います。ドアを開けて、中に入り、ドアを閉めます。ガチャン!!という例の金属音。もうこれだけで「空冷ポルシェに乗っている」という幸せな気分に浸れるワケです。最近のクルマはどんな高級車でも、バスッとかボスッという音ですが、空冷911はガチャン!ですからね。この音が出るのは空冷911か先代Gクラスだけですね、私の知る限り。で、着座するとシートの出来が望外に良い。ぱっと見あまりホールド性が良いようには見えない純正シートですが、背中~腰、肩甲骨の内側をしっかりホールドしてくれます。座面は硬すぎず柔らかすぎず絶妙な感じ。うーん、ナイス♪

ポルシェの流儀に則り、左側のキーシリンダーにキーを差し込み、アクセサリー電源を立ち上げます。計器類が動き、問題がない事を確認してからエンジンオン!乾いた空冷フラット6ならではの咆哮とともに、エンジンに火が灯ります。心地良い振動と、バサバサとしたプロペラ機のようなフラット6サウンドにしばし酔いしれます。酔いしれるといえば空冷911独特の「空冷臭」、27年の時を経ても健在(?)です。乗り込んだ瞬間からアノ独特な匂いがします。どの空冷911に乗っても必ず匂うあの臭気。一説によると接着剤の匂いでは?という話ですが、本当に独特ですよね!まあポルシェ好きとしてはアドレナリンが出ますw。

重めのクラッチペダルを踏み、ギアを1速に入れ、いざ走りだします。3.6Lフラット6はピークパワーこそ250psと今となっては驚くほどの値ではありませんが、トルクがスゴイので、動き出しは極めてスムーズ。巷ではアイドリングスタート云々という都市伝説がありますが、この辺はあまり気負わず普通に乗って構わないと思います(アイドリングスタートはもちろん可能ですが、マストではないと個人的には思います)。964は5速までしかありませんが、1速~3速で街中の速度域ならほぼカバー出来てしまいます。トルクバンドが異様に広いせいで、ほぼノンストレスですね。

シフトフィールは先代までのG50ミッションのような繊細な感じではまったくなく、ゴクッゴクッといった感触。ストロークはやや長め。997のアイシン製ミッションのような吸い込まれる滑らかさはなく、986~987のゲトラグ製ミッションのようなやや抵抗感のあるフィーリングです。剛性感はそこそこあるので、安心してシフトチェンジ出来ますが、シフトフィールとしては極上の部類ではありません。シフトストロークも長めなので、気になる方はRS用のショートシフトロッドとか入れると良いのかもしれません(私はこのままで満足です)。ニュートラル付近でシフトレバーの遊びがやや大きい気がするので、仕様なのか経年劣化なのか、何かの折に確認・調整出来ればと思います。

空冷911と言えば、A、B、Cペダルすべてがオルガン式(水冷以降はAペダルのみオルガン式、B、Cは吊り下げ式)なのは有名ですが、最初に操作系で一番違和感を覚えたのはココかもしれません。特にクラッチペダルがオルガン式なのは慣れるまでかなりの違和感を伴いました。とはいえ、昨日1日ですっかり慣れてしまいましたが。中にはセンター方向へのペダルオフセットを気にする方もいらっしゃいますが、個人的にはまったく気にならないレベル。ただ左にフットレストがなく、絨毯直置きなので、ドライビング用に上履きを車内に置きたくなりました^^;。クラッチのミートポイントは一般的な感覚からうするとかなり手前目で、これも最初は慣れが必要かもしれません。



ブレーキは踏みシロが小さく、Aペダルとの段差も大きいため、H&Tはほぼ不可能と思われます。まあポルシェもH&Tは不要と言っているくらい(H&Tは日本特有のガラパゴステクニックという説もあります)なので、個人的にはあまり気になりません。でもって、どうしても回転合わせしたいならトゥ&トゥの方が理に叶っている気がします。あとブレーキで感じたのは(カレラ4系やターボはどうやら違うようですが)アシスト量が物凄く少ないので、キッチリ効かせるためにはかなりの踏力が必要です。GT3以来、久々に脚力で踏みしめるタイプのブレーキに触れましたが、慣れてしまえばコントロール性は抜群ですね。スポーツカーの場合、「踏みマシ」が出来るのは良いブレーキの証拠です。

アクセルレスポンスは良いです。ベースが同じM64エンジンでも996GT3系のようなカミソリレスポンスとは違いますが、十分速いです。公道でこれ以上は必要無いと個人的には思います。RRならではの、ガツンと後ろから蹴飛ばされる感じも健在ですし、人馬一体感は車体が小さい事も相まってすごいです。操作系が全体的に重いため、車重から想像するようなヒラヒラ感はあまりありませんが、逆に高速走行時などは望外に安定感があります。さすがアウトバーンの国で生まれただけのことはありますね!911は高速直進性が悪いと昔から言われていますが、それは120~150㎞/hの中途半端な速度域だけの話であって、公道ではまず問題ありません。

そして964で一番驚いたのが乗り心地の良さです。もうね、ずっと乗っていたくなる(笑)。こんなにホイールベースが短くて、前後重量バランスも悪いのに、低速域高速域を問わず、ボディの高い剛性感のおかげか、アシがしっかり動くおかげか、まったく不快ではないんですね。それでいて、つまらないとは決して感じない。むしろ、常にインフォメーションが路面から伝わり、後ろでフラット6の息吹を感じるため、とにかく乗っていて飽きない疲れない。クルマに乗って、こんなにずっと乗っていたいと思ったのは997カレラ以来です。そういえば、エンジンの回転フィールや、リアヘビーな感じも997カレラに似ている気がします。どこか懐かしい気持ちにすらなったのはそのせいかもしれません。

ドライブの余韻に浸っていたら、帰り道の途中でタコメーターが死にました、ハイw。まったくの不動状態、うんともすんとも言わなくなりました。他のメーターはプルプルしながらも動いているため、恐らくタコメーター単独の問題と思われます。964は知る限りメーター類はASSYではないため、タコメーター単独のカプラーが外れたか、中でショート起こしたか何かだと思います。とりあえずステレオ交換のタイミングでショップに診てもらおうと思います。この程度のトラブルでビビっているようでは、ネオクラシックカーは乗れません!タコメーターが死んでても、耳でエンジンの息吹を聞けば良いんです!(川平慈英風)



そんなこんなで初ドライブを終えましたが、望外に状態も良く、27年前のクルマとはとても思えない剛性感、そして乗り味でした。大枚叩いて買った甲斐がありました、本当に。18歳で自動車免許を取り、随分たくさんのクルマに乗りました。BMWに始まり、マツダ、ポルシェ、ロータス、フェラーリ・・数多あるクルマに乗り、今まで終わりのない旅を続けて来ました。クルマ遍歴も大分長くなりましたが、人生の折り返し地点も過ぎた私にとって、そろそろゴールを見据えたいところ。不惑の40代、もしかしたらこれが上がりの一台になるかもしれません♪
Posted at 2021/03/01 14:11:10 | コメント(6) | トラックバック(0) | 964カレラ | クルマ
2021年02月25日 イイね!

タイヤ問題の顛末

タイヤ問題の顛末先日ふと気になって、納車予定の964カレラ2にどんなタイヤが付いているか販売店に問い合わせた所、信じられないお返事が。何と2000年製のポテンザRE711が付いているというではありませんか!えーっと、今何年でしたっけ?2021年ですよね??21年前のタイヤということになります。クラック等はなく、問題なく走れてますよ、と販売店。いやいやいや、ちょ待てよ(キムタク風)、とww。

溝が残っていようが、クラックが無かろうが、21年前のタイヤを履いて公道を走って良いハズがありません。タイヤというものはゴム製品です。ゴムは生ものなので、どんなに良い状態で保管していても必ず劣化します。経年劣化したタイヤは本来の性能を期待出来るハズもありませんし、ぶっちゃけ危険です。とりわけ964はABSのみで、現代のクルマのようなトラクションコントロールやスタビリティマネージメントもついていませんので、タイヤ性能は極論すれば命に関わります。そんな状態で納車されても困るので、販売店に強く言ってタイヤを交換してもらうことになりました。

で、964のタイヤサイズですがフロント205/55R16、リア225/50R16という今となってはやや特殊なサイズです。昔は選択肢も豊富だったのでしょうが、今は知る限りミシュランPS4(非N認証)、ポテンザS-02A(N4認証)、ピレリPZero Rosso(N3認証)、ピレリPZero Rosso Assymetrico(N5認証)くらいしかありません。とりあえず、すぐに納品出来る物で探してもらったのですが、結局あったのがピレリP7 Contutaro Classic(復刻)という聞いた事のない銘柄。ネットにもほとんど情報は出ていなかったのですが、調べた所数年前からピレリは旧車用の復刻タイヤ(コレッツィオーネシリーズ)に力を入れていて、2015年に930用の15インチが販売後即完売したとのこと。

今回購入したのは、2019年に発売となったP7 Classicシリーズの16in版で、何とN4認証です。異論は色々あると思いますが、個人的に911は絶対にN認証に拘った方が良いと考えていて、今回のP7 ClassicがN4認証で本当に良かったです。本日販売店に物が届いたというので、さっそく写真を送ってもらいましたが、ブロックパターンを見るとうーむ、何ともクラシックな趣w。とはいえ、最新技術と最新コンパウンドを採用しているので、性能的には問題ないハズです。むしろ、旧車のパワーやウェイトを前提に作られているので下手な最新式タイヤよりも964には合うハズです(トレッドパターン的にブロック飛びが若干心配ですが^^;)



というワケで、納車直前になってドタバタしましたが、何とか間に合いそうでほっと胸を撫で下ろしているところです。964のタイヤの選択肢は減る一方ですので、旧車人気が背景にあるとはいえ、この手の復刻モノは本当にありがたいですね。しかも当時1本7~8万円もしたタイヤが、復刻版は大分お安い!ピレリ様様です。今日明日中には取り付け作業をしていただけるとのこと、予定通り明後日納車になります。納車になりましたら、このP7 Classicのインプレもその内アップしたいと思います。また、同じタイヤを履いていて、すでにご使用歴のある方からコメントがあると嬉しいです^^。

納車まであと2日
Posted at 2021/02/25 14:58:11 | コメント(5) | 964カレラ | クルマ
2021年02月22日 イイね!

市販車パーツをレーシングカーに使うという非常識!

市販車パーツをレーシングカーに使うという非常識!納車まで間が持たないため、色々過去の文献を読み漁っています。私がかつて911でサーキット遊びにハマっていたころに、スポーツドライビングの教科書として愛読していた『ポルシェ911ドライビングバイブル』(中谷明彦著・三推社◎講談社)を読み返してみると、大変興味深い記載がありました。空冷ポルシェ乗り、または空冷ポルシェをこれから買おうという人以外にとってはあまり興味のない内容になるかと思いますので、スルーしてくださいw。

以下抜粋:ー

「(前略)962Cは当時のグループC規格にそって生まれた耐久レース用のマシンで、先代の956からの流れを受け継いだポルシェ最強のレースカーだ。すでにル・マン24時間レースを数年勝ちつづけ、日本国内の耐久レースシーンでも無敵を誇っていた。(中略)そんな962Cをドライブして感じたのは、「どこかで運転したことがあるな」と思わせるドライブフィールだった。間違いなく初めてのレースマシンであるにもかかわらず、懐かしい感じさえしてしまうこのフィールはいったいなんだ?答えはすぐに見つかった。実はこの962Cをドライブするにあたり、サーキットへと足を運んでいたわけだが、その足として当時デビュー間もない911カレラ4(タイプ964)を使っていた。そのカレラ4と962Cがじつに似たフィールをもっていたのである。

(中略)私の感覚に伝わるクルマからのインフォメーションはとても似て居た。それはエンジンの回るフィール、ミッションや駆動系の回転フィールやバイブレーション、ミッションがリンケージするときのシフト感、さらにはコクピットに座っていて感じられるクルマからのさまざまなインフォメーションだ。いったいこれはどういうことだ?と考え込んでしまった。(中略)その時にチーフエンジニアであるノバ・エンジニアリングの森脇基恭氏が答えを見つけてくれた。「中谷、見てみろこのクルマ(962C)、911とほとんどパーツを共有しているぞ」と。彼は962Cのパーツリストを示しながらいった。見てみると962Cのパーツの多く(特にエンジン関係)は、部品ナンバーが「911-」で始まっていた。911-930-○○とか、911-964-○○とかいった具合にだ。おわかりのようにこれは930の911あるいは964の911のパーツナンバーである。つまり、962Cには市販ロードカーの911と同じパーツがふんだんに用いられていることを示していたわけだ。

これはとんでもないことだ!と思った。レースカーとロードカーでは要求性能がまったく異なるのだから、用いられるパーツは精度もコストもまったく次元の違うものとなる、とそれまでは一般的に考えられていた。当然レース用のパーツは高価で、それをロードカーに用いたらとてつもなく高いクルマになってしまう。しかし、ポルシェはその逆をやっていた。つまり、ロードカーのパーツをレースカーに用いていた事になる。普通のクルマでもんなことをしたら、間違いなくレースカーとして成功することはない。しかし962Cはル・マンで何度も優勝し、しかも私をデビューウィンに導いてくれた。レースカーとしては疑うべくもなく大成功を収めたクルマなのだ。

つまり、こういうことだ。「ポルシェは市販の911をレースカークオリティで作っている」のだ。とすると、例の1000万円という価格はとてもリーズナブルなものといえる。いや962Cが1億円以上したことを思うと、むしろバーゲンプライスに思えて来る。従来の尺度でとらえていたら、この居住性、実用性、大きさで1000万円という価格設定が無意味なものに思えていたのだが、事実を知ってからは本当に納得のいく価格であると理解できるようになった。(中略)おもしろいことに、911オーナーは逆に911をサーキットで走らせてみたくなるものなのだ。それはおそらく、911はロードカーだが中身はレーシングクオリティが息づいているからに違いない。」


これを十数年前に初めて読んだ時には衝撃でした。今改めて読み返してみても衝撃です。衝撃を通り越して畏怖の念さえ抱きます。964の心臓部であるM64ユニットはレーシングカーと基本設計を同じくし、その911が水冷化されてもGT3系やターボ系に引き継がれることとなります。メンテナンス性の悪さから、ついに997型の後期型でこのドライサンプ式レーシングユニットはポルシェの表舞台から姿を消す事になりますが、一時代を築いた名ユニットであることは間違いありませんし、耐久性という点でも折り紙付きだということが良く分かります。

私は殊更に空冷911が優れているとは思いません。どの時代の911も、その時代で最高の技術をポルシェAGの技術者が結集した結果、生まれた孤高のスポーツカーだと思っています。先般、992GT3が発表になりましたが、驚異のニュル7分切、まさに最新のポルシェは最良のポルシェです。でもね。どの時代の911も最高なんですよ。ポルシェは新車であれ、中古車であれ、買った者にしか分からない良さ、凄さがあります。ポルシェを買うという事はポルシェの歴史を買う事でもあります。本音を言えば、全世代の911をガレージに並べたいというのが私の率直な願望ですw。

納車まであと5日♪
Posted at 2021/02/22 14:39:40 | コメント(2) | トラックバック(0) | 964カレラ | クルマ

プロフィール

「@4rings さん、幌車には厳しい暑さになりましたね。冬場は暖房をガンガンに効かせればオープンカーもそれなりに快適ですが、高温多湿の日本の夏は厳しいですよね…🥵」
何シテル?   06/17 18:40
趣味車:992.1カレラT(2023年式左MT) アシ車:GR86“リッジグリーンリミテッド”(2024年式右MT) ファミリーカー:カイエンGTS(2024...
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