• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

black frogのブログ一覧

2025年03月11日 イイね!

992.1カレラT vs 992.1カレラGTS 比較試乗記

992.1カレラT vs 992.1カレラGTS 比較試乗記先日お忙しい時間を割いていただき、お友達のlidocaineさんに予てから試乗させていただきたいとお願していた992.1カレラGTSに試乗をさせていただきました^^。皆さんご存知の通り、992.2世代からはカレラGTSはハイブリッド(T-HEV)となり、PDKしか選択出来なくなりました。よって、992.1カレラGTSが最後のマニュアルトランスミッションのカレラGTSということになります。

まず見た目ですが、lidocaineさんのお車はカーボンルーフを筆頭に、各所がカーボン化されているため、私のシンプルなカレラTにはない只者ではない感が漂います。車高はスポーツPASMサスペンションが付くため、カレラT同様標準車比10mmローダウンとなります。非常にロー&ワイドなフォルムでカッコイイです。エンジンは同じ3.0L水平対向ターボエンジンながら、GTSは吸排気系の変更、タービンの変更、ECUのマッピング変更により、カレラTの385㎰に対し、480㎰を叩き出します。一方、車重はカレラTが1460kgに対し、カレラGTSは1520kgあり、この違いがかなり乗り味の違いに繋がっています(詳しくは後述します)。また、内装について一番大きな違いは、カレラTがSport Tex素材の標準スポーツシートであるのに対し、カレラGTSは18wayのアダプティブスポーツシート(ASS)が奢られていました。この辺もかなりドライブフィールに影響があったので、後述します。

さて、さっそく乗り出してみるとクラッチを繋いだ瞬間からトルクがあります。ちょっと踏み込んだだけで背中を蹴飛ばされるような感覚があり、カレラTの穏やかな特性とは明確に異なります。lidocaineさんの個体にはバルブコントローラーが後付されており、リモコンスイッチの操作で排気バルブを常時解放することが出来ました。通常のPSESですと、車速・回転数に応じフラップが開閉しますが、常時解放にするとかなり良い音がします。社外マフラーは不要?と思えるほど、爆音の一歩手前くらいの感じです。エンジンサウンドはカレラTとは明確に異なり、カレラGTSは低音が響く感じ。回転数を上げてもカレラTの方がフォーーーーンと澄んだ音なのに対し、ドドドという迫力のあるサウンドです。これはかなり好みが分かれるところだと思います。粒のそろった澄んだ感じが好きか、迫力系が好きか、、ですね。

足回りについては、2700kmしか走っていないカレラTと、27000kmを刻んでいるカレラGTSで単純比較は出来ませんが、GTSの方がしなやかな印象。通常GTSモデルというととにかく硬いイメージですが、そんな印象はありませんでした。しかし、それ以外はほとんど一緒、PASMスポーツシャシーは共通でサスペンションジオメトリも恐らく一緒なのでそう感じたのだと思います。991までの世代と比べると、992はとにかくフロントトレッドがワイド化されたことによる安定感が凄くあります。これはパワーが100ps近く上がったカレラGTSでも一緒で、コーナーでは恐ろしく挙動が安定しています。カレラTと唯一違ったのは、とにかくパワーがあるので、アクセルをガツンと踏み込むと電子制御がかなり分かりやすく介入します。あ、今トラコン効いてる効いてるwという感じ。カレラTはパワーが無い分、公道レベルでは電子制御の介入はほぼ感じません。

エンジンのパワー特性ですが、カレラTは素カレラ譲りの小タービンということもあり、どこまでもリニアでフラットな特性で、アクセルに対するレスポンスも非常にシャープです。過去ブログでも何度か書かせていただいていますが、言われなければターボエンジンだとは感じないレベルです。かつてオーナーだった身としては、996、997世代のカレラ系エンジンに非常に似たフィーリングだと思います。一方、カレラGTSはタービンが大きい分、僅かながらターボラグがあり、これをNAのようだと感じる人は少ないと思います。物凄くレスポンシブなターボエンジン、という印象。997ターボのエンジンにちょっと似ているな・・と思って調べたらトルクこそ997ターボに劣りますが、ピークパワーは480psと一緒でした。あと、車重感もカレラTは軽いのに対し、カレラGTSは大人2名乗車であったことを差し引いても挙動が重く感じます。

最後にシートの違いですが、カレラTのSport TEXシートは標準装備で、4Wayのモノになります。座面と背面がクロスでサイドサポートがレザーという仕立てなのですが、今回ASSと座り比べて初めて分かったのですが、クッション性が全然違います。カレラTのシートは薄く、ホールド性もやや甘め。その代わり、路面の突き上げなどのロードインフォメーションが明確に尻に伝わってくるため、クルマとの人車一体感が物凄くあります。一方、ASSはロードインフォメーションが相対的に希薄です。例えるなら高級座布団の上に座っているような感じ。911=RRはリアの挙動を如何に尻センサーで感じ取るかがドライビングの肝なので、その点ではASSは長距離移動では有利かもしれませんが、ドライビングに没頭したい場合には少々邪魔な装備かもしれません。書いていて思ったのですが・・省略するとアダプティブスポーツシート=ASS=英語で尻の意というのも何かの暗示かもしれません(違)。

いかがでしたでしょうか?なかなかカレラTとカレラGTS、マニュアル同士の比較というのも見ないと思いますので、ご参考になれば。lidocaineさんはお友達なので、歯に衣着せぬ評価をさせていただきますが、私はオーナーの贔屓目とかではなく、断然カレラTの方が好みです。逆に、lidocaineさんはカレラTからカレラGTSにお乗り換えになっているので、当然GTSの方がお好みなのだろうと推察します。もうこればかりは本当に乗る人の好みに依りますよね。で、私が狙っている992.2ターボツーリングですが、恐らく乗り味的にはカレラGTSの延長線上にあるのではないか、と推察します。つまり、より重くて、速い方向性ですね。より軽くて、インフォメーションが豊富な方向性が好きな私にとってはちょっと方向性が違うかも?と思えたのが一番の収穫でした。今後のポルシェライフの方向性を決定付ける試乗になったかもしれません。愛車を提供していただいたlidocaineさん、ありがとうございました!!!
Posted at 2025/03/11 08:56:51 | コメント(2) | トラックバック(0) | 試乗記 | クルマ
2024年07月09日 イイね!

水冷911三世代 比較試乗

水冷911三世代 比較試乗先日灼熱の中、聖地大黒PAにみん友さんのZebra Queenさん、lidocaineさんにお越しいただきました^^。先月、lidocaineさんの991.2カレラに試乗させていただき、その後Zebra Queenさんから「ぜひ私の991.1もお乗りになりませんか?」と大変ありがたいオファーをいただき、今回の試乗と相なりました。まずは試乗車として愛車を提供してくださったお二人に深謝申し上げます!少々長文となってしまいますが、興味のある方のみお付き合いください♪

さて、今回の比較試乗では991.1、991.2、992.1と各世代ベースグレードの素カレラMTという仕様でした。厳密に言うと私のカレラTはベースグレードではありませんが、エンジンはベースグレードで、かつ同エンジンでMTはカレラTにしか存在しないので、実質素カレラ同士の比較と言えます。991.2については、過去のブログでインプレを述べておりますので、そちらをご参照いただくとして、今回は991.1のインプレを中心にアップしたいと思います。まず、毎回歴代水冷911を並べる度に感じるのですが、991系の方が992系よりも大分コンパクトに見える、という事。車幅の差は50mmに満たないのですが、フロントフェンダーの盛り上がりや、ヒップラインの位置がデザイン上大きな差を生んでいて、992の方がかなりグラマラスに見えます。シンプルで小柄な911を好む方には991の方がしっくり来るでしょうし、一方でスーパーカーのような立派さを求める方にとっては992の方が魅力的に映ると思います。

車内は2世代前の991.1であっても997までと比べると随分とモダンな印象を受けます。992ほど華美ではありませんが、質感は高く、センターコンソールの物理スイッチの存在が今となっては逆に新鮮に映ります。以前雑誌の比較記事で車内のスペースは20mmほどしか幅が変わらない(992の方が広い)とありましたが、実際の数字以上に991の方が車内はコンパクトに感じます。より「ポルシェを着る感覚」に近いのは991の方ではないかと思います。皆さんご存知の通り、991.1は997.2の3.6Lフラットシックス直噴NAエンジンからダウンサイジングした3.4Lフラットシックス直噴NAエンジンを搭載しています。3.4Lという排気量は、996.1以来となります。以降のカレラ系がすべて3.0Lフラットシックスターボになったため、「最後のNAカレラ」として今でも人気があります。実際、中古車市場では991.1と991.2の市場価格に逆転現象が起きており、991.1の方が僅かに高値で取引されています。Zebra Queenさんの個体はスポクロは無いものの、PSESを後付されている仕様となります。

さっそくステアリングカラム左側のキーを捻ると、聞きなれたNAフラットシックスエンジンが目を覚まします。PSESオフのアイドリング状態では望外に静かなサウンドで、やや演出がかった992系よりもむしろ大人しく感じます。ドライバーズシートに収まると、明らかに992系よりも一回りコンパクトで車両感覚が掴みやすいように感じます。ドラポジを取り、クラッチを踏むと、アレ?ストロークが長い!992のドラポジよりもシートを前に出さないとクラッチを奥まで踏めません。そういえば996~997もこんな感じだったな~、と懐かしく思い出します。991.2と992.1は基本的にドライブトレーンが同じなので、クラッチのフィーリングはほぼ一緒でした(992.1の方がやや軽い)が、991.1は旧い世代の水冷のフィーリングでした。シフトストロークはやや長く、節度感も992.1のショートシフターと比べるとやや緩い印象があります。個人的にはカレラ系のシフトは997世代のアイシンAI製の6速がもっとも好ましかったと思っていますが、PDKベースの7速MTの中では992.1に搭載されている物が一番カチッとしていると思います。

走りだしてみると、ターボエンジン車のような低回転からガツンと来るトルク感はないものの、車体の軽さとコンパクトさが功を奏して自然にペースアップします。PSESオフの状態でもNAエンジンらしい澄んだサウンドは健在!997.1までのポート噴射エンジンほどではないにせよ、997.2の直噴化した直後のくぐもった感じのエンジンサウンドよりは大分良い感じです♪PSESをオンにすると、低音の唸りが加わり、よりワイルドなサウンドに。エンジンの回転フィールもすこぶる良く、991.2以降のターボエンジンよりも回りたがる感じがあります。一方、パワー/トルクカーブが示す通り、低い回転数から怒涛の加速・・というワケではなく、リニアに気持ち良く回るタイプのエンジンなので、踏んだ瞬間のガツンと背中を蹴飛ばされるような911らしい特性はやや穏やかに感じました。その点991.2~992.1の方が低~中速域では分かり易く速いですし、現代風な味付けです。個人的には991.1の加速感でも十分満足ですが、最新のクルマに慣れた人からするとやや物足りなく感じるかもしれません。

足回りはオーリンズの車高調に換えていらっしゃって、Zebra Queenさん曰く、「純正の方が硬かった」とのこと。私は足回りに関しては純正派なのですが、路面からの突き上げもなく、乗り心地は良いと感じました。一方、バンプでの収束はやや甘く、ボヨーンとした感じで、この辺はリアの減衰力調整が必要かも?とZebra Queenさんもおっしゃってました。コーナリング特性はRRらしく、リアアクスルステア(RAS)のついた992.1と違って、ある程度セオリー通りに走らせる必要があります。即ち、コーナーではフロントに荷重をしっかり乗せてから舵角を入れて、脱出時にアクセルを入れるという走り方ですね。992.1はコーナリング特性のことなど何も意識なくてもハンドルを切っただけで速くコーナーを回れてしまうので、古典的な911の乗り味に近いのは991.1の方だと思います。一方、シャシー性能は997までと比べるとかなり良くなっているので、996~997までのどことなく危うい感じとは無縁で、PSMの制御もかなり洗練されているように感じました。

一方、ステアフィールはやや曖昧で煮詰めが甘いと感じました。992系の方が、ステアリングレスポンスはシャープ、ロードインフォメーションも豊富だと感じます。初めて油圧式から電動ステアリングに切り替わった際に、「煮詰めが甘い」と一部の評論家から批評されていたのを思い出します。この点に於いては、991.1<991.2<992と代を追うごとに改善されていると感じました。992がクルマの感覚としては四角いモノになっているのに対し、991まではまだ長方形のモノに乗っている感覚が色濃いのが興味深いと思いました。電子制御があっても、やはり前後方向の荷重移動を意識しながら走らせてやる必要があるのに対し、992はフロントの荷重抜けもほとんどないため、誤解を恐れずに言えばFRのような走らせ方でも全然速く走れてしまいます。どちらがより911らしいかと言われば当然991ですが、どちらがより誰でも速く走れるかと言えば992であることは間違いないでしょう。そして付け加えるなら、992カレラTのサウンドは遮音材が省かれている事や、GPFが付いていない事もあり、個人的には991.1のNAサウンドに引けを取らない、と思います。ターボを毛嫌いしている方はぜひ一度乗ってみていただきたい、と思います(百聞は一見に如かず)。

さて、991.2の試乗からは少し間が空いての比較試乗となりましたが、水冷三世代の試乗を経て自分なりの結論が出ました。飽くまで自分の好みとしては、991.2のMT、願わくばパワーのあるカレラSでPDCCなし、スポクロ+PSESありが「理想型」かと思います。次点で992カレラT、ただし願わくばRASなし。RASは低速で小回りが効きますし、高速では安定した旋回が可能となる一方、どうしても自分が長年培ってきた911の乗り方と相反する部分があります。一言で言って、ドーピングが過ぎるように感じます。ちなみに、992.1の「究極のロードゴーイングモデル」と言われる911S/TにもRASは採用されていません。もしご縁があって、992.2カレラTをオーダーする事になったらRASは付けません(新型GTS同様、標準装備となってしまう可能性もありますが)。ちなみに私が理想と考える991.2カレラSのMT車はまったく市場に出て来ません。lidocaineさんの991.1カレラに試乗させていただいてからずっとカーセンサーを見ていますが、この1か月で一台も出て来ません!991.2GT3よりも遥かに激レアですw。というワケで、今後は中古車市場を睨みつつ、992.2カレラTの動向を注視したいと思います。
Posted at 2024/07/09 13:19:21 | コメント(3) | トラックバック(0) | 試乗記 | クルマ
2024年06月12日 イイね!

991.2 VS 992.1(比較試乗)

991.2 VS 992.1(比較試乗)先日、みん友さんのlidocaineさんにお願いして、991.2カレラに試乗する機会をいただきました。当日は992カレラTで行き、大黒PAで合流。991.2を試乗させていただき、その後自分の992カレラTに乗り換えて世田谷まで968を見に行ったので本当にside by sideの比較をする事が出来ました。991のMTは初でしたので、大変貴重な体験となりました♪

さて、まずlidocaineさんの991.2カレラの仕様ですが、左MT、スポクロなし、スポエギなしという本当にうどんに例えるなら素うどんみたいな仕様w。ここまで「素のモデル」というのも珍しく、逆にこのモデルの素性が大変良く分かったように思います。おさらいをしますと、991.2は2016年に、991.1のマイナーチェンジ版として登場しました。大きなトピックスとしては、前期型カレラが3.4LNA、カレラSが3.8LNAだったのに対し、後期型は同じ3Lという排気量のダウンサイジングターボ・ユニットに変更となりました。デビュー当初、カレラ系なのにターボ??という、MCやFMCの際に恒例となっている「批判の声」が巻き起こったのは言うまでもありません。また、このユニットは基本的にこのまま992.1にキャリーオーバーされることになります(992.2カレラもタービンと冷却系以外は同じユニット)。ちなみに991.2には後にカレラT、カレラGTSという派生モデルも産まれましたが、残念ながら日本ではいずれもPDKのみ、という選択でした。すなわち7MTが選べたのは、カレラとカレラSのみ=非常にタマ数が少ない、ということになります。

もう一つの性能面での大きなトピックスは全車にPASMが標準装備となった事。また、992にも引き継がれることになりましたが、991.2カレラSではスポーツPASM(10㎜ローダウン)に加え、ポルシェトルクベクタリング(PTV)、ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)、そしてリアアクスルステアリング(RAS)もオプションで選択出来るようになりました(素カレラではこれらのオプションは選択出来ませんでした)。インフォテインメントシステムも刷新され、Apple Car Playにも対応するようになりました。外装のフェイスリフトも一目でそれと分かる内容になっており、前期型との差別化が図られました。とまあ、MCと言いながら実質FMCに近い内容となっています。本題から逸れますが、昨今のポルシェは前期・後期よりも、前モデルの後期と次期モデルの前期の方がキャラクターが近いように感じています。997前期(ポート噴射NA)→997後期(直噴NA)→991前期(直噴NA)→991後期(直噴ターボ)→992前期(直噴ターボ)→992後期(ハイブリッド導入)といった具合に。

さて、おさらいはこのくらいにして、試乗インプレに移りたいと思います。991.2の外観は、992と似て非なるモノです。実際に見比べてみると分かるのですが、991.2のほうが996から連綿と続く凝縮感のあるシルエットを纏っており、992は一気にグラマラスになっています(実際の車幅の差は50㎜にも満たないのですが、それ以上に差を大きく感じます)。これは内装にも言えて、比較的タイトコンパクトな991.2の室内空間に対し、992のそれは広く(悪く言えばユルく)感じます。今度機会があれば、内寸の実寸比較をしてみたいと思います。クルマの実際のサイズ差以上に992がデカく感じる要因、一体感を感じにくくする要因がここにはあるのではないか、と思います。実際991.2のシートに身を置くと、座った瞬間からクルマとの一体感が得られ、996~997世代に慣れ親しんだ身からすると懐かしさを覚えます。992に乗ると、デカさになれるのにちょっと時間がかかるのに対し、991.2は0秒で馴染みます。メーターはアナログ、物理スイッチもややうるさすぎるきらいもありますが、操作性の良さが光ります。カップホルダーの位置も素晴らしい!w

シフトは直前にlidocaineさんがショートシフターに換装していたようですが、小気味良く決まります。992カレラTは最初からショートシフターが入っており、同じZF製7MT(PDKベース)と言いつつ、大分フィーリングが違います。よくGT3のゲトラグ製6MTがフィーリング最高とか言われますが、個人的にはこの991~992の7MTで何ら不満はありません。クラッチについては、個人的にはやや軽すぎる992に対し、991.2は程よいです。とは言え、997世代以前のように渋滞路で脚が攣るほど重いワケでもなく良い塩梅です。やはり操作系というのはハンドル、ペダル、シフトすべての重さやストロークが調和して初めて一体感を得られるんですよね。そういう意味で991.2はほぼ理想的なフィーリングになっていると思います。991.1が登場した当初インフォメーションに欠けると言われた電動パワステもかなり良くなっていて、個人的には992と遜色ないと感じました。むしろアシスト量は992の方が多め(ステアリング軽め)なので、991.2の方が好ましいと感じました。そしてキーを差して、イグニッションを捻ると慣れ親しんだ3.0Lターボが目を覚まします。



冷感スタート時のエンジンサウンドは992とほぼ一緒ですが、カレラTは遮音材が省かれている分、やかましく感じます。エギゾーストノートについては、走行中もこれはこの通りで、ロードノイズ含め991.2カレラはかなり物静かな印象を受けました。オーナーのlidocaineさんも音に関しては少々物足りなさを感じておられるようで、調べられた所どうも日本(というかアジア?)ではPSES(スポーツエギゾースト)を後付け出来ないとか・・。テクイップメントにもしっかり掲載されているのに、付けられないなんてことあるのか??と思ってしまいますが、いずれも自分でも確認してみようと思います。ただYouTubeの動画を観ていると、991.2のPSESあり、無しでそれほど大きな差があるようには感じません。むしろ、デザイン的にはリア4本出しの純正マフラーの方が好ましく見えます。であるなら、スイッチボタンは付きませんが社外マフラーを入れた方が幸せになれるのかな、とも思います。一方、スポクロはやっぱりあった方が良い気がします。エンジンマッピングが変わると、エンジンのバブリング演出もあるので、速さだけではないメリットがあるように感じます。

試乗は高速メイン、一般道少々走ってみましたが、非常に走りは気持ち良かったです。991.2カレラは370㎰、大して992カレラTは385㎰。15㎰の差があるハズなんですが、正直その差はあまり感じませんでした。むしろ不思議だったのが、992カレラTの方が30kgほど重い(車検証上私の992カレラTは1460kg、lidocaineさんの991.2はたしか1430kg)にも関わらず、軽く感じます。空気感が違うんですね。別の言い方をすると、991.2の方が塊感が強い。そして、これが自分の中では決定的に違ったのですが、991.2の方がRASが無い分、当然の事ながら「911っぽい動きをする」んですね。992カレラTはRASが付いているので、難しい事を考えなくてもグイグイ曲がるのですが、991.2はかつてのモデルほどではないにせよ、911の流儀に則って運転してあげる必要があります。そういう意味では自分の中に沁みついた感覚クルマの挙動がピッタリ一致するので、気持ち良く感じました。992カレラTは微妙に感覚と挙動との間にズレがあって、もし今後992.2を買うような事があればRASは付けまいと心に誓っています(と言いながら、992.2GTSでは標準装備みたいですね)。

長くなって来たのでそろそろ結論を。比較してみて、やっぱり最新が最良という結論に至るかと思いきや、さにあらず。992カレラTにも、991.2カレラにも、それぞれの良さがありました。よりモダンで、車内が広く、難しく考えることなく速く走りたい人には992が向きますし、ギュッと凝縮感があって、どことなく昔ながらの旧き良き911の匂いを纏ったモデルが欲しい人には991.2が向くと思います。私は・・というと正直991.2の方が好みと言えば好みかもしれません。やはりあの座った瞬間にピタッと一体感が得られる体験は992世代になり残念ながら失われてしまった歴代911の大きな美点だと思います。性能面では最新が最良と認めつつも、5連アナログメーターや、捻るイグニッションなどのヘリテージ捨ててまで最新を追い求める必要があるのか?再考の余地ありです。正直、試乗から本日に至るまでずっと991.2のマニュアルを探していますw。もし991.2カレラ(カレラSならRASなし)、スポクロ、PSES、左MTという仕様が出てきたら後先考えず逝ってしまうかもしれません^^;。そのくらい良かったです。貴重な機会を下さったlidocaineさん、改めてありがとうございました♪
Posted at 2024/06/12 13:56:05 | コメント(2) | トラックバック(0) | 試乗記 | クルマ
2024年01月25日 イイね!

EVで個性を出すのはそんなに難しいのか?

EVで個性を出すのはそんなに難しいのか?アバルト 695 esse esseが納車となり、早1か月が経過しました!怒涛のモディファイラッシュで、気が付けばパーツレビューもすでに46という超ハイペースw。未だかつてこのペースで弄ったクルマはありませんが、それだけめちゃくちゃ愉しい!ということ^^。いや~、アバルト素晴らしいです。最高♪そして唯一の懸案事項だったブレーキパッドも交換し、超絶快適になりました!!

さて、先日ブレーキパッド交換他諸々作業でディーラーをお邪魔した際に、代車で500eを出してくれました。EVチンクエはアバルト版もありますが、こちらは通常版。あまり期待せずに乗ったのですが、良くも悪くもザ・EVでした。どういう事かと言いますと、まず重量物(バッテリー)がフロアにあるので、低重心かつフロア剛性が高いです。フロントにエンジンが無いので、フロントの応答性は良く、またフロントタイヤの切れ角も大きく取れるためガソリン車と違って小回りが効きます。走りだしてみると、EVならではの出足の良さで、あっという間に法定速度に。アバルト500eのようなサウンドエンハンサーはついていないため、モーターがシュイーンと回る音のみ。足回りは硬すぎず、柔らかすぎず、総じて乗り心地はガソリン車よりも良さそう。後席の居住性、トランクスペースもガソリン車と比べると若干改善しています。



またインフォテインメントシステムは大幅に刷新されており、ガソリン車のUConnectと比べると隔世の感があります。インパネ周りは一気にモダンになり、ほぼ全面がデジタルディスプレイです。収納スペースもやや増えており、全体的にユーザーフレンドリーな印象となっています。このユーティリティの高さであれば、女性受けも良いのではないか、と感じました。というワケで、総じて私は良い印象を持ちました。アバルト版にもちょっと乗ってみたいと思えるほどに。だがしかし!ガソリン版のような個性があるかと問われれば、さにあらず・・。目隠しされて乗ったらこれが500eだ!と言い当てられる自信はありません。極端なことを言えば、VW iD4でも、BYDでも、日産サクラでさえ変わらない乗り味。EVでちょっと走りの面で個性があると感じるのはテスラとポルシェ・タイカンくらいで、後はすべて同じように感じます。つまり現存するEVは押し並べて没個性的なんですね。



私はEVには必ずしも否定的な立場ではない、と以前からこのブログで申し上げていますが、自由度が高いのに何故こんなにどの会社のEVも似たり寄ったりになってしまうのか、甚だ疑問です。モーターのチューニングや、制御、レイアウトなどなど、個性を出すポイントはいくらでもあるでしょうに。アバルト500eのように、6000時間かけて作ったサウンドエンハンサーも一つの「個性」には違いありませんが、個人的には少々ピントがずれているように感じます。加えて、デザインの自由度の高さもあまり活かされているように感じません。500の場合、バッテリーを積む関係上スペース上の制約もあったのかもしれませんが、敢えてガソリン版と瓜二つの見た目にしても良かったのでは?と思います。あとは航続距離。ディーラーから自宅まで往復30㎞ほどで残量が100%→84%に減ったのは萎えました。これではおちおち遠出も出来ません。まだまだ過渡期なのかな・・という印象でした。

Posted at 2024/01/25 15:44:20 | コメント(1) | 試乗記 | クルマ
2023年11月20日 イイね!

718ケイマンGT4RS試乗記@PEC東京

718ケイマンGT4RS試乗記@PEC東京ハイ、行って参りました二度目のPEC東京!前回は初参加、GT3で参戦しましたが、今回は718ケイマンGT4RSに乗りました。PEC東京のインプレは前回の体験記で詳細に語ったので割愛します。今回はローフリクショントラック、ローフリクションサークル、そしてハンドリングトラックの3つに絞ってやりました。それでもきっちり90分走り回ったので、お腹いっぱいになりました!アクセレレートプログラムを受けてみたい気もしますが、体力が持たないかもw。

さて、718ケイマンGT4RS(以下GT4RS)、今回が当然のことながら初試乗になります。この手のクルマはストリートで乗ってもイマイチその素性がよく分からないので、今回はクローズドコースで体験出来て良かったです。ちなみに今回はカレラT購入特典だったので、差額料金が保険料込みで16500円ほど掛かっていますが、かなりお得にに愉しめました♪さて、昨日の試乗では主に3つの評価ポイントがあると感じました。すなわち、①エンジン(サウンドやフィーリング含む)、②ハンドリング、そして③日常使いも含めた総合評価です。この辺について少し詳細に述べておきたいと思います。718系にお乗りの方にとっては少々厳しい内容かもしれませんが、飽くまで私見なのでご容赦いただければと思います。

さて、まずエンジン。これは言わずと知れた4L、500㎰を発生するポルシェ謹製のNAエンジンとなります。エンジンとトランスミッションはGT3と共通、ただしMRとRRですので、トランスミッションの搭載位置や吸排気系の取り回しが違います。ちなみにGT4RSは素のGT4と違って、リアクォーターウィンドーが無く、代わりに吸気ダクトに置き換わっています。この事に加え、ロールケージがあるので、斜め後方の視界はほぼゼロに近いと思って良いです。エンジンが真後ろにあり、吸気ダクトも頭のすぐ後ろにあるため、エンジン音、吸気音が容赦なく車内に入り込みます。GT3もド迫力でしたが、それ以上。ただ、個人的には余計な音が入らない分、排気音はGT3の方が澄んでいて綺麗だと感じました。GT4RSの日常での使い勝手は・・推して知るべしです。

エンジンのレスポンスはGT3の時に体験済だったので、新たな驚きはありませんでしたが、とにかく回せば回すほどパワーが出る様は圧巻ですね。特にカムが切り替わる5000回転前後からの怒涛の加速とNAの乾いた咆哮はゾクゾクします。もうね、このエンジンだけで2000万円の価値は十分ありますよ。ただ、RRと違って、リアアクスルの前にエンジンがあるため、GT3のような後ろを蹴飛ばされるようなトラクション感はありません。速いんですが、、踏み込むとTCが一瞬介入して前に出るのが体感出来ます。踏んだ瞬間にトラクションがかかるGT3とは同じエンジンでもレスポンスがまったく異なります。ちなみにTCオンにしておくとドリフトサークルでスピンモーメントを掛けるのに一苦労しました。

次いでハンドリング。一般的にハンドリングはMRの方がRRよりも良いと言われますが、GT4RSは結構曲がりにくいクルマだという印象を受けました。特にローフリクショントラックで顕著なんですが、フロントに荷重を乗せるほどではない速度域だとほぼアンダーが出ます。GT3はリアアクスルステアの恩恵なのか、ホイールベースが相対的に短いからなのか、サスペンションのストロークが長いせいなのか、はたまたフロントがダブルウィッシュボーンだからなのか分かりませんが、「曲がりにくい」という印象はまったく抱きませんでした。一方、速度域が上がり、グリップも上がるハンドリングトラックだと水を得た魚のように良く曲がりよく止まりました。それでも、切り始めのヨーの掛かり方はGT3の方が上だと感じました。RRの方が曲がりやすい・・そんな事あります?

一方、ドリフトサークルではさすがにGT3に比べると重量物が中心に近い分、ドリフト円を維持するのが相対的にやり易いと感じました。GT3の時は2/3周くらいしかドリフトを維持出来ませんでしたが、GT4RSは綺麗に一周回れました。とはいえ、慣れるまでは結構すぐにスピンしてしまい、やはりMRは一旦スピンモードに入ると止めるのは容易ではないと感じました。つまりは、お尻センサーを全開にしつつ、フロントとリアの荷重変化をしっかり意識しないとコントロールが難しいと感じました。ハンドリングトラックでは、ついクセで最初は911ではセオリーとなるV字走行をしていたのですが、インストラクターにダメ出しされ、コーナーは弧を描くように走ってください、とアドバイスされました。つまり、トラクションありきで走るのではなく、荷重を意識してブレーキはじんわり、切り始めは早目に、という一般セオリー通りのテクが要求されます。

GT3に限らず、911系=RRの場合は結構奥まで突っ込ん出鬼のようにブレーキをかけて、向きが変わったら鬼のようにトラクションをかけて脱出するのがもっともタイムが出る走らせ方ですが、GT4RSは違います。コーナー中ずっと横Gを感じながら走る走り方になるので、フルバケでも結構疲れます。何となくお尻が流れそうになる怖さもあり、ハーネスが無いとちょっと辛く、実際昨日は自宅に戻ってから若干腰痛になってしまいました(GT3の時はそのような事はありませんでした)。まあつまりは走らせ慣れていることもあって、私はGT3の挙動の方が断然好みです。ちなみに、現役レーサーをされているインストラクターは慣れて来るとGT4RSの方がコントロール性が高いとおっしゃっていて、実際走り慣れている方、上級者の方はGT4RSの方がしっくり来るのかもしれません。

まあ最終的には好みの問題ですが、私は自分で買うなら迷うことなく600万円のエクストラコストを支払ってもGT3にすると思います。あと無視できない点として、乾燥重量がGT4RSよりもGT3の方が60kg軽いんですね。この車重の違いも結構大きいと思います。特に限界領域では、車重が軽くてリアにトラクションが目一杯掛けられるGT3のメリットは図り知れません。まあこの辺の「差別化」はやはりポルシェの厳然たるヒエルラキー構造を考えると致し方ないのですかね・・。とまあGT4RSに対してやや厳しめの評価となってしまいましたが、決してGT4RSの出来が悪いというワケではなく、それだけGT3の完成度が圧倒的に高い、という事だと思います。こうなるとGT3RSはどれだけの高みにあるのか、ちょっと興味が沸きました♪

Posted at 2023/11/20 14:29:27 | コメント(4) | トラックバック(0) | 試乗記 | クルマ

プロフィール

「@ヤジキン さん、ハイ笑笑。半額で買えるフェラーリ296の方がだいぶお高く見えます😅」
何シテル?   06/12 16:53
趣味車:992.1カレラT(2023年式左MT) アシ車:GR86“リッジグリーンリミテッド”(2024年式右MT) ファミリーカー:カイエンGTS(2024...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/6 >>

1234567
8 91011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

リンク・クリップ

GR86 RZ 純正アルミペダル&アクセルオフセットスペーサー取付 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/10 20:57:12
ST•GARAGE AXCENT スエード調シフトブーツ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/04/27 20:45:28
TRD GRトランクスポイラー 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/03/22 21:09:17

愛車一覧

トヨタ GR86 箱根エディション (トヨタ GR86)
GR86のD型、RZベースの国内200台限定車で、私にとってはン十年ぶりの国産車になりま ...
ポルシェ 911 ポルシェ 911
2022年10月21日 オーダー 2023年5月5日 生産枠確定 2023年5月8日 仕 ...
ポルシェ カイエン ポルシェ カイエン
MY2025新型カイエンGTSです 2024年5月3日オーダー 2024年6月生産枠確 ...
ポルシェ 911 黒蛙2号 (ポルシェ 911)
最終年式の996C4Sハイパフォーマンスエディションです! 人生で3台目のType 9 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation