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2024年06月12日 イイね!

991.2 VS 992.1(比較試乗)

991.2 VS 992.1(比較試乗)先日、みん友さんのlidocaineさんにお願いして、991.2カレラに試乗する機会をいただきました。当日は992カレラTで行き、大黒PAで合流。991.2を試乗させていただき、その後自分の992カレラTに乗り換えて世田谷まで968を見に行ったので本当にside by sideの比較をする事が出来ました。991のMTは初でしたので、大変貴重な体験となりました♪

さて、まずlidocaineさんの991.2カレラの仕様ですが、左MT、スポクロなし、スポエギなしという本当にうどんに例えるなら素うどんみたいな仕様w。ここまで「素のモデル」というのも珍しく、逆にこのモデルの素性が大変良く分かったように思います。おさらいをしますと、991.2は2016年に、991.1のマイナーチェンジ版として登場しました。大きなトピックスとしては、前期型カレラが3.4LNA、カレラSが3.8LNAだったのに対し、後期型は同じ3Lという排気量のダウンサイジングターボ・ユニットに変更となりました。デビュー当初、カレラ系なのにターボ??という、MCやFMCの際に恒例となっている「批判の声」が巻き起こったのは言うまでもありません。また、このユニットは基本的にこのまま992.1にキャリーオーバーされることになります(992.2カレラもタービンと冷却系以外は同じユニット)。ちなみに991.2には後にカレラT、カレラGTSという派生モデルも産まれましたが、残念ながら日本ではいずれもPDKのみ、という選択でした。すなわち7MTが選べたのは、カレラとカレラSのみ=非常にタマ数が少ない、ということになります。

もう一つの性能面での大きなトピックスは全車にPASMが標準装備となった事。また、992にも引き継がれることになりましたが、991.2カレラSではスポーツPASM(10㎜ローダウン)に加え、ポルシェトルクベクタリング(PTV)、ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)、そしてリアアクスルステアリング(RAS)もオプションで選択出来るようになりました(素カレラではこれらのオプションは選択出来ませんでした)。インフォテインメントシステムも刷新され、Apple Car Playにも対応するようになりました。外装のフェイスリフトも一目でそれと分かる内容になっており、前期型との差別化が図られました。とまあ、MCと言いながら実質FMCに近い内容となっています。本題から逸れますが、昨今のポルシェは前期・後期よりも、前モデルの後期と次期モデルの前期の方がキャラクターが近いように感じています。997前期(ポート噴射NA)→997後期(直噴NA)→991前期(直噴NA)→991後期(直噴ターボ)→992前期(直噴ターボ)→992後期(ハイブリッド導入)といった具合に。

さて、おさらいはこのくらいにして、試乗インプレに移りたいと思います。991.2の外観は、992と似て非なるモノです。実際に見比べてみると分かるのですが、991.2のほうが996から連綿と続く凝縮感のあるシルエットを纏っており、992は一気にグラマラスになっています(実際の車幅の差は50㎜にも満たないのですが、それ以上に差を大きく感じます)。これは内装にも言えて、比較的タイトコンパクトな991.2の室内空間に対し、992のそれは広く(悪く言えばユルく)感じます。今度機会があれば、内寸の実寸比較をしてみたいと思います。クルマの実際のサイズ差以上に992がデカく感じる要因、一体感を感じにくくする要因がここにはあるのではないか、と思います。実際991.2のシートに身を置くと、座った瞬間からクルマとの一体感が得られ、996~997世代に慣れ親しんだ身からすると懐かしさを覚えます。992に乗ると、デカさになれるのにちょっと時間がかかるのに対し、991.2は0秒で馴染みます。メーターはアナログ、物理スイッチもややうるさすぎるきらいもありますが、操作性の良さが光ります。カップホルダーの位置も素晴らしい!w

シフトは直前にlidocaineさんがショートシフターに換装していたようですが、小気味良く決まります。992カレラTは最初からショートシフターが入っており、同じZF製7MT(PDKベース)と言いつつ、大分フィーリングが違います。よくGT3のゲトラグ製6MTがフィーリング最高とか言われますが、個人的にはこの991~992の7MTで何ら不満はありません。クラッチについては、個人的にはやや軽すぎる992に対し、991.2は程よいです。とは言え、997世代以前のように渋滞路で脚が攣るほど重いワケでもなく良い塩梅です。やはり操作系というのはハンドル、ペダル、シフトすべての重さやストロークが調和して初めて一体感を得られるんですよね。そういう意味で991.2はほぼ理想的なフィーリングになっていると思います。991.1が登場した当初インフォメーションに欠けると言われた電動パワステもかなり良くなっていて、個人的には992と遜色ないと感じました。むしろアシスト量は992の方が多め(ステアリング軽め)なので、991.2の方が好ましいと感じました。そしてキーを差して、イグニッションを捻ると慣れ親しんだ3.0Lターボが目を覚まします。



冷感スタート時のエンジンサウンドは992とほぼ一緒ですが、カレラTは遮音材が省かれている分、やかましく感じます。エギゾーストノートについては、走行中もこれはこの通りで、ロードノイズ含め991.2カレラはかなり物静かな印象を受けました。オーナーのlidocaineさんも音に関しては少々物足りなさを感じておられるようで、調べられた所どうも日本(というかアジア?)ではPSES(スポーツエギゾースト)を後付け出来ないとか・・。テクイップメントにもしっかり掲載されているのに、付けられないなんてことあるのか??と思ってしまいますが、いずれも自分でも確認してみようと思います。ただYouTubeの動画を観ていると、991.2のPSESあり、無しでそれほど大きな差があるようには感じません。むしろ、デザイン的にはリア4本出しの純正マフラーの方が好ましく見えます。であるなら、スイッチボタンは付きませんが社外マフラーを入れた方が幸せになれるのかな、とも思います。一方、スポクロはやっぱりあった方が良い気がします。エンジンマッピングが変わると、エンジンのバブリング演出もあるので、速さだけではないメリットがあるように感じます。

試乗は高速メイン、一般道少々走ってみましたが、非常に走りは気持ち良かったです。991.2カレラの370㎰に対して992カレラTは385㎰…15㎰の差があるハズなんですが、正直その差はあまり感じませんでした。むしろ不思議だったのが、992カレラTの方が30kgほど重い(車検証上私の992カレラTは1460kg、lidocaineさんの991.2はたしか1430kg)にも関わらず、軽く感じます。空気感が違うんですね。別の言い方をすると、991.2の方が塊感が強い。そして、これが自分の中では決定的に違ったのですが、991.2の方がRASが無い分、当然の事ながら「911っぽい動きをする」んですね。992カレラTはRASが付いているので、難しい事を考えなくてもグイグイ曲がるのですが、991.2はかつてのモデルほどではないにせよ、911の流儀に則って運転してあげる必要があります。そういう意味では自分の中に沁みついた感覚クルマの挙動がピッタリ一致するので、気持ち良く感じました。992カレラTは微妙に感覚と挙動との間にズレがあって、もし今後992.2を買うような事があればRASは付けまいと心に誓っています(と言いながら、992.2GTSでは標準装備みたいですね)。

長くなって来たのでそろそろ結論を。比較してみて、やっぱり最新が最良という結論に至るかと思いきや、さにあらず。992カレラTにも、991.2カレラにも、それぞれの良さがありました。よりモダンで、車内が広く、難しく考えることなく速く走りたい人には992が向きますし、ギュッと凝縮感があって、どことなく昔ながらの旧き良き911の匂いを纏ったモデルが欲しい人には991.2が向くと思います。私は・・というと正直991.2の方が好みと言えば好みかもしれません。やはりあの座った瞬間にピタッと一体感が得られる体験は992世代になり残念ながら失われてしまった歴代911の大きな美点だと思います。性能面では最新が最良と認めつつも、5連アナログメーターや、捻るイグニッションなどのヘリテージ捨ててまで最新を追い求める必要があるのか?再考の余地ありです。正直、試乗から本日に至るまでずっと991.2のマニュアルを探していますw。もし991.2カレラ(カレラSならRASなし)、スポクロ、PSES、左MTという仕様が出てきたら後先考えず逝ってしまうかもしれません^^;。そのくらい良かったです。貴重な機会を下さったlidocaineさん、改めてありがとうございました♪
Posted at 2024/06/12 13:56:05 | コメント(2) | トラックバック(0) | 試乗記 | クルマ
2024年01月25日 イイね!

EVで個性を出すのはそんなに難しいのか?

EVで個性を出すのはそんなに難しいのか?アバルト 695 esse esseが納車となり、早1か月が経過しました!怒涛のモディファイラッシュで、気が付けばパーツレビューもすでに46という超ハイペースw。未だかつてこのペースで弄ったクルマはありませんが、それだけめちゃくちゃ愉しい!ということ^^。いや~、アバルト素晴らしいです。最高♪そして唯一の懸案事項だったブレーキパッドも交換し、超絶快適になりました!!

さて、先日ブレーキパッド交換他諸々作業でディーラーをお邪魔した際に、代車で500eを出してくれました。EVチンクエはアバルト版もありますが、こちらは通常版。あまり期待せずに乗ったのですが、良くも悪くもザ・EVでした。どういう事かと言いますと、まず重量物(バッテリー)がフロアにあるので、低重心かつフロア剛性が高いです。フロントにエンジンが無いので、フロントの応答性は良く、またフロントタイヤの切れ角も大きく取れるためガソリン車と違って小回りが効きます。走りだしてみると、EVならではの出足の良さで、あっという間に法定速度に。アバルト500eのようなサウンドエンハンサーはついていないため、モーターがシュイーンと回る音のみ。足回りは硬すぎず、柔らかすぎず、総じて乗り心地はガソリン車よりも良さそう。後席の居住性、トランクスペースもガソリン車と比べると若干改善しています。



またインフォテインメントシステムは大幅に刷新されており、ガソリン車のUConnectと比べると隔世の感があります。インパネ周りは一気にモダンになり、ほぼ全面がデジタルディスプレイです。収納スペースもやや増えており、全体的にユーザーフレンドリーな印象となっています。このユーティリティの高さであれば、女性受けも良いのではないか、と感じました。というワケで、総じて私は良い印象を持ちました。アバルト版にもちょっと乗ってみたいと思えるほどに。だがしかし!ガソリン版のような個性があるかと問われれば、さにあらず・・。目隠しされて乗ったらこれが500eだ!と言い当てられる自信はありません。極端なことを言えば、VW iD4でも、BYDでも、日産サクラでさえ変わらない乗り味。EVでちょっと走りの面で個性があると感じるのはテスラとポルシェ・タイカンくらいで、後はすべて同じように感じます。つまり現存するEVは押し並べて没個性的なんですね。



私はEVには必ずしも否定的な立場ではない、と以前からこのブログで申し上げていますが、自由度が高いのに何故こんなにどの会社のEVも似たり寄ったりになってしまうのか、甚だ疑問です。モーターのチューニングや、制御、レイアウトなどなど、個性を出すポイントはいくらでもあるでしょうに。アバルト500eのように、6000時間かけて作ったサウンドエンハンサーも一つの「個性」には違いありませんが、個人的には少々ピントがずれているように感じます。加えて、デザインの自由度の高さもあまり活かされているように感じません。500の場合、バッテリーを積む関係上スペース上の制約もあったのかもしれませんが、敢えてガソリン版と瓜二つの見た目にしても良かったのでは?と思います。あとは航続距離。ディーラーから自宅まで往復30㎞ほどで残量が100%→84%に減ったのは萎えました。これではおちおち遠出も出来ません。まだまだ過渡期なのかな・・という印象でした。

Posted at 2024/01/25 15:44:20 | コメント(1) | 試乗記 | クルマ
2023年11月20日 イイね!

718ケイマンGT4RS試乗記@PEC東京

718ケイマンGT4RS試乗記@PEC東京ハイ、行って参りました二度目のPEC東京!前回は初参加、GT3で参戦しましたが、今回は718ケイマンGT4RSに乗りました。PEC東京のインプレは前回の体験記で詳細に語ったので割愛します。今回はローフリクショントラック、ローフリクションサークル、そしてハンドリングトラックの3つに絞ってやりました。それでもきっちり90分走り回ったので、お腹いっぱいになりました!アクセレレートプログラムを受けてみたい気もしますが、体力が持たないかもw。

さて、718ケイマンGT4RS(以下GT4RS)、今回が当然のことながら初試乗になります。この手のクルマはストリートで乗ってもイマイチその素性がよく分からないので、今回はクローズドコースで体験出来て良かったです。ちなみに今回はカレラT購入特典だったので、差額料金が保険料込みで16500円ほど掛かっていますが、かなりお得にに愉しめました♪さて、昨日の試乗では主に3つの評価ポイントがあると感じました。すなわち、①エンジン(サウンドやフィーリング含む)、②ハンドリング、そして③日常使いも含めた総合評価です。この辺について少し詳細に述べておきたいと思います。718系にお乗りの方にとっては少々厳しい内容かもしれませんが、飽くまで私見なのでご容赦いただければと思います。

さて、まずエンジン。これは言わずと知れた4L、500㎰を発生するポルシェ謹製のNAエンジンとなります。エンジンとトランスミッションはGT3と共通、ただしMRとRRですので、トランスミッションの搭載位置や吸排気系の取り回しが違います。ちなみにGT4RSは素のGT4と違って、リアクォーターウィンドーが無く、代わりに吸気ダクトに置き換わっています。この事に加え、ロールケージがあるので、斜め後方の視界はほぼゼロに近いと思って良いです。エンジンが真後ろにあり、吸気ダクトも頭のすぐ後ろにあるため、エンジン音、吸気音が容赦なく車内に入り込みます。GT3もド迫力でしたが、それ以上。ただ、個人的には余計な音が入らない分、排気音はGT3の方が澄んでいて綺麗だと感じました。GT4RSの日常での使い勝手は・・推して知るべしです。

エンジンのレスポンスはGT3の時に体験済だったので、新たな驚きはありませんでしたが、とにかく回せば回すほどパワーが出る様は圧巻ですね。特にカムが切り替わる5000回転前後からの怒涛の加速とNAの乾いた咆哮はゾクゾクします。もうね、このエンジンだけで2000万円の価値は十分ありますよ。ただ、RRと違って、リアアクスルの前にエンジンがあるため、GT3のような後ろを蹴飛ばされるようなトラクション感はありません。速いんですが、、踏み込むとTCが一瞬介入して前に出るのが体感出来ます。踏んだ瞬間にトラクションがかかるGT3とは同じエンジンでもレスポンスがまったく異なります。ちなみにTCオンにしておくとドリフトサークルでスピンモーメントを掛けるのに一苦労しました。

次いでハンドリング。一般的にハンドリングはMRの方がRRよりも良いと言われますが、GT4RSは結構曲がりにくいクルマだという印象を受けました。特にローフリクショントラックで顕著なんですが、フロントに荷重を乗せるほどではない速度域だとほぼアンダーが出ます。GT3はリアアクスルステアの恩恵なのか、ホイールベースが相対的に短いからなのか、サスペンションのストロークが長いせいなのか、はたまたフロントがダブルウィッシュボーンだからなのか分かりませんが、「曲がりにくい」という印象はまったく抱きませんでした。一方、速度域が上がり、グリップも上がるハンドリングトラックだと水を得た魚のように良く曲がりよく止まりました。それでも、切り始めのヨーの掛かり方はGT3の方が上だと感じました。RRの方が曲がりやすい・・そんな事あります?

一方、ドリフトサークルではさすがにGT3に比べると重量物が中心に近い分、ドリフト円を維持するのが相対的にやり易いと感じました。GT3の時は2/3周くらいしかドリフトを維持出来ませんでしたが、GT4RSは綺麗に一周回れました。とはいえ、慣れるまでは結構すぐにスピンしてしまい、やはりMRは一旦スピンモードに入ると止めるのは容易ではないと感じました。つまりは、お尻センサーを全開にしつつ、フロントとリアの荷重変化をしっかり意識しないとコントロールが難しいと感じました。ハンドリングトラックでは、ついクセで最初は911ではセオリーとなるV字走行をしていたのですが、インストラクターにダメ出しされ、コーナーは弧を描くように走ってください、とアドバイスされました。つまり、トラクションありきで走るのではなく、荷重を意識してブレーキはじんわり、切り始めは早目に、という一般セオリー通りのテクが要求されます。

GT3に限らず、911系=RRの場合は結構奥まで突っ込ん出鬼のようにブレーキをかけて、向きが変わったら鬼のようにトラクションをかけて脱出するのがもっともタイムが出る走らせ方ですが、GT4RSは違います。コーナー中ずっと横Gを感じながら走る走り方になるので、フルバケでも結構疲れます。何となくお尻が流れそうになる怖さもあり、ハーネスが無いとちょっと辛く、実際昨日は自宅に戻ってから若干腰痛になってしまいました(GT3の時はそのような事はありませんでした)。まあつまりは走らせ慣れていることもあって、私はGT3の挙動の方が断然好みです。ちなみに、現役レーサーをされているインストラクターは慣れて来るとGT4RSの方がコントロール性が高いとおっしゃっていて、実際走り慣れている方、上級者の方はGT4RSの方がしっくり来るのかもしれません。

まあ最終的には好みの問題ですが、私は自分で買うなら迷うことなく600万円のエクストラコストを支払ってもGT3にすると思います。あと無視できない点として、乾燥重量がGT4RSよりもGT3の方が60kg軽いんですね。この車重の違いも結構大きいと思います。特に限界領域では、車重が軽くてリアにトラクションが目一杯掛けられるGT3のメリットは図り知れません。まあこの辺の「差別化」はやはりポルシェの厳然たるヒエルラキー構造を考えると致し方ないのですかね・・。とまあGT4RSに対してやや厳しめの評価となってしまいましたが、決してGT4RSの出来が悪いというワケではなく、それだけGT3の完成度が圧倒的に高い、という事だと思います。こうなるとGT3RSはどれだけの高みにあるのか、ちょっと興味が沸きました♪

Posted at 2023/11/20 14:29:27 | コメント(4) | トラックバック(0) | 試乗記 | クルマ
2023年04月04日 イイね!

もう一つのRR ~ルノー・トゥインゴ試乗記~

もう一つのRR ~ルノー・トゥインゴ試乗記~デビュー当初から気になっていたクルマに試乗して来ました♪そう、ルノー・トゥインゴです。試乗した経緯ですが、もともと911以外で現存する最後のRR車ということで2016年のデビューから常に気にはなっていました。で、今回もし愉しいクルマであれば、妻と私の兼用アシ車として購入候補に上がったというワケです。買うなら中古車一択、目ぼしい個体も絞りこめたところで、いざ試乗へ!



まず、トゥイングの車種構成ですが、現在はインテンスというグレード一択となっています。ただし、キャンバストップも選べますし、一応トランスミッションはDCT(ルノー風に言うとEDC)とMT(ハードトップのみ)が選択出来ます。今回は妻も乗る前提だったので、ハードトップのEDCに試乗して来ました。ちなみにトゥインゴの場合、ATはターボ、MTはNAとなるため、最高出力が全然違います(前車は92㎰、後者は65㎰)。いくら軽量コンパクトなクルマとMTという組み合わせでも65㎰ではかなりパワー不足と感じることは想像に難しくありません。

トゥインゴはかつて3グレードの展開があり、さらには限定モデルも何度か作られて来ました。ディーラーの担当者曰く、現在のインテンスは過去の限定車で見られたような装備が標準化されたとのこと。ちなみにトゥインゴは現行モデルで終了することが決定しており、次世代は「5(サンク)」というEVに引き継がれるそうです。ルノーサンクと言えば、かつて「ルノー5ターボ」がラリーシーンで活躍したこともある痛快ホットハッチで、今となっては完全にクラシックカーの域ですが、根強い人気があります。さて余談はこのくらいにして、試乗インプレに移りたいと思います。

まず、車体の大きさですが、余裕で5ナンバーサイズで非常にコンパクトです。なのですが、実車は車高がそこそこあるせいか、不思議とそこまでコンパクトに見えません。似たようなサイズ感ですが、チンクエチェントの方がコンパクトに見えます。リアハッチはガラス仕様で高級感があり、スマートフォーフォーがベースですが、こちらの方がラテン風味のオシャレ感があります。リアのトランクスペースはミニマル、何せリアのフロア下にエンジンが載っているので底が浅いんですね。ただ、日常的な買い物+αくらいなら何とかこなせそう(夏場は生ものは積めなさそうです)。ちなみにフロントにもトランクがあるかと思いきや、こちらは冷却系の機械がぎっしり詰まっていてまったく荷物が積めません。



内装は合皮のシートにパイピングが施されており、これまたオシャレ。樹脂パーツはやや安っぽいものの、シボの作り方やカラーリングの配置が絶妙でチープ感を感じさせません(こういう所は国産車は大いに見倣ってほしいところです)。ナビは無く、スマホを繋ぐタイプの簡素なインフォテインメントシステムと、バックカメラが標準装備となります。この辺はライバルのチンクエチェントと大差ありません。独特なのがリアのウィンドー。ラッチを外して手動で開けるのですが、少ししか開かないw。後部座席のスペースは大人が乗るには少々窮屈なので、そもそも人が4人乗る前提ではないのかもしれません。ドラポジを合わせて、リアシートに収まると、ほぼレッグルームは皆無の状態。まあそれでも911よりは広いですかね。





イグニッションを回してエンジンをかける(この所作自体懐かしい感じがします)と、0.9L3気筒エンジンが目を覚まします。チンクエチェントのツインエアと比べるとプルプル感もあまりなく、意外にスムーズなエンジンで、EDCとの相性も悪くありません。深くアクセルを踏むと小気味良くシフトアップし、流れに乗る事が出来ます。速くは無いですが、遅くもない。まあ普通ですかね。で、期待していたRR感ですが、直線だと正直あまり良く分かりません。しかし、重心が低いからか、フロアの剛性感が物凄く高いと感じるため、このクラスのライバルと比べるとしっかり感が凄いです。さすがスマートフォーフォーベースと言ったところでしょうか。



RRであることを実感したのは坂道ですね。上りではリアの荷重が増し、トラクションがアップした感覚が分かります。と同時に、フロントの荷重が軽くなるためいわゆるドアンダーな特性。大人2人乗車でコレですから、荷室に荷物を積んで1人で乗っていたらどうなっちゃうんでしょう??この辺は結構クセ強めです。一方、下り坂ではニュートラルステアな感じですが、想像していたほどのキビキビ感がありません。良くも悪くもあまり機敏ではないのですね。「スポーツカー乗りを前提」とした911と違って、クセの強いRRを、誰でも運転出来るように敢えてこういうマイルドなセッティングにしているものと思われます。

ボディ剛性、アクセルレスポンス、ステアリング応答性はこんな感じでまずまずでしたが、ブレーキははっきりとダメでした。踏んでも全然制動力が立ち上がらず、結構おっとっととなりました(;^_^A。ココまで露骨にブレーキが効かないクルマはちょっと久々かもしれません。ディーラーの担当に聞いたらブレーキパッドだけ納車時から社外品を入れる方もいらっしゃるとか。これは十分理解出来ます。ボディ剛性感が下手に高いせいで、ブレーキのふかふか感との乖離に対して大いに違和感を覚えるんですね。変な話ボディが緩ければ、ブレーキが効かなくてもそれほど違和感を覚えないかもしれません(フィアット・パンダがそうでした)。

総評。まあ悪いクルマでは無いのですが、RRというレイアウトに期待するような動力性はなく、運転していて愉しいクルマではありませんでした。もう少し小気味よく走って、パンチのある乗り味を期待していたのですが、RRということで期待値が高過ぎたのかもしれません。このクルマが200万円くらいで手に入るのであればライフスタイルによってはアリかもしれませんが、新車だと乗り出し300万円超えるんですよ・・そこまで出すなら他にも選択肢はあるだろう、と思ってしまいます。で、帰りにメガーヌR.S.に乗り換えたら、「うわ!なんじゃこのピュアスポーツカー!最高じゃん!!」ってなりました(笑)。・・ま、乗り換えることは無さそうです^^。
Posted at 2023/04/07 14:15:56 | コメント(4) | 試乗記 | クルマ
2023年03月24日 イイね!

ポルシェ・エクスペリエンス・センター東京(後編)~992GT3試乗記~

ポルシェ・エクスペリエンス・センター東京(後編)~992GT3試乗記~さて、PEC東京の最終回は992GT3のインプレを書こうと思います。通常の試乗ですと、当たり前ですが公道でのインプレしかお伝え出来ませんが、今回はクローズドコースでのインプレですからね!しかも、サーキットが一番GT3にとっては「映えるステージ」ですから、そこで走れたのは本当に幸運でした。乗ったその日はちょっと興奮状態で頭の中が纏まらなかったのですが、アップしたいと思います!

まず見た目から。私は992世代の911は歴代911の中でももっともカッコいいと思っていて、これはカレラ系~タルガ/カブリオレ系~GTS系~GT3系に至るまで全部カッコいいと思っています。で、その中でもスパルタンなGT3、ボンネットのエアインテークや大仰なリアウィングは写真で見るとちょっとやり過ぎでは?と思ってしまいますが、実物を見たらやっぱり超絶カッコいい♪ただ997世代までの911と比べると991~992は大きく見えますし、特にウィングやエアロパーツで武装した992GT3はとりわけ大きく見えます。実寸は、というと全長4,562 mm×全幅1,852 mm×全高 1,271 mmなので、実際にはそれほど巨大というわけではありません(参考までに296GTBは全長 4,565 mm x 全幅 1,958 mm x 全高 1,191 mm)。

用意されていた車両は右HのPDKでしたが、最近日本に入って来る車両は右Hがデフォで左Hは特注品という扱いなんでしょうか?ここでハンドルの左右についての優劣を議論するつもりは無いのですがやはりペダルオフセットの関係で私は左ハンドルの方がしっくり来るように思います。で、座ってみると乗降性は普通のカレラ系とあまり変わりません。シートはバケットタイプですが、ポルシェのバケットはかなり大きく作られているため、フィット感はもう一つ。社外品のフルバケに慣れていると拍子抜けするかもしれません。一方、ストリートユースでの快適性もある程度担保しているため、サーキットに行かない方はこの程度のホールド性が好ましいのかもしれません。

上述の通り、試乗車はPDKでしたが、シフトレバーがカレラ系で見られるトグルスイッチと違って、ガングリップタイプのレバー(マニュアルっぽい見た目)になっています。うーん、これはどうなんでしょう??マニュアル車っぽい演出って必要ですかね?個人的にはカレラ系同様のトグルタイプの方がスッキリしていて好感が持てます。5連メーターは例に拠ってほぼ液晶で、視認性は悪くないのですが、懐古主義的なオジサンとしてはアナログ5連の方がポルシェには合っている気がします。操作系の剛性感やタッチはさすがに素晴らしく、後程自分の996カレラ4Sに乗り換えたらより一層その素晴らしさが際立ちました。ブラボー!!

で実際に様々なシチュエーションで走らせてみて感じた992GT3の特徴は大きく4つあります。一つ目はメカニカルグリップが凄まじく、その割に乗り心地が良いこと。マニアな方はご存知かと思いますが、992型からGT3系のみついにフロントサスペンションがダブルウィッシュボーンに変わりました。これがどのくらいスタビリティに寄与しているのかは分かりませんが、とにかく992GT3はどっしり安定、ローフリクショントラックでなければRRであることを忘れてしまうほどです。しかし、実際にESCをオフにして低µ路で走らせてみると、限界は物凄く高いのですが、それでもRRなので限界を超えた所は非常にピーキーです。

997世代くらいまでは、電子制御をオフにしても、腕のある人なら限界領域で車両をコントロール出来たと思いますが、992まで来るとちょっと難しいですね。グリップが高い分、限界を超えると一気に制御不能になります。インストラクターの方も、ケイマンGTSくらいが一番ドリフトサークルとかもやり易いとおっしゃっていて、その通りだろうなと思いました。定常円をやると、グリップ、グリップ、グリップ、アンダー出て来たかな・・ストーンという唐突な感じです。ただしその限界は物凄く高い。個人的にはサーキットでも公道でもESCをオフにしたいとは思いませんでしたw。

ESCの介入は非常に賢くて、ローフリクショントラックを走っている時は前後左右の荷重コントロールさえしっかりやっていれば凄く気持ち良く走れました。で、今回びっくりした2つ目のポイントがPDKの出来の良さ。黎明期のPDKは低速域がギクシャクしたり、アップシフトは良いのですが、ダウンシフトでガクガクしたり、とにかくあまり印象が良くありませんでした。しかし現行のPDKの賢い事、賢い事。絶対に人間の変速よりも速いですし、確実ですし、サーキットでもタイムが出るでしょうね。ダウンシフト時の回転合わせが物凄く上手です。296GTBも物凄くDCTの出来栄えは良いのですが、PDKの方が更に上ですね。流石でございます。

3つ目はエンジン。この4.0LNAエンジンについては991世代で空冷ブロックでなくなったことを嘆く声も当初ありましたが、その後どんどん改良されて、サウンド、レスポンス、回転フィールどれを取っても素晴らしい出来ですね。サーキットに於いて、RRのようなアクセルレスポンスが挙動を決定するようなレイアウトではこのエンジンは必須かもしれません。とにかく5000回転を超えたくらいからの迫力ある咆哮はひたすら荒々しいMetzgerエンジンともまた違って、もっと緻密な粒の揃った感じ。誤解を恐れずに言うなら、フラット6でありながらシングルプレーンV8に近いサウンド・フィーリングとなっています。これはきンもちいい!!ずっと回していたくなりますね^^。

そして最後に・・これはちょっとネガな部分ですが、やや一体感に乏しいということ。なんというか、センター付近の俊敏性が期待していたほどではないんですね。GT3というと、指1本分ステアリングを切っただけで強烈なゲインが立ち上がってカミソリのような切れ味を見せてくれるのが常ですが、ちょっとダルな印象を受けました。後にインストラクターに聞いたらタイヤは標準のカップタイヤではなく、ピレリを履いているとのこと(多くの方にとってカップタイヤはピーキー過ぎるから、とのことでしたが実際にはコストの問題?)。このタイヤが影響しているのか、はたまた単純に車重がやや重いからなのか、あるいはダブルウィッシュボーンサスの弊害なのか・・。

ハンドリングトラックでは911らしく、鋭角に入ってV字でコーナーを立ち上がると脱兎のごとく速いのですが、スパンスパンと曲がっていくような人馬一体感にやや乏しいという印象を受けました。もちろん、RRとMRという根本的なレイアウトの違いが大きいのだと思いますが、インストラクターの方も「718ケイマンGT4の方が断然乗りやすい」とおっしゃってました。タイムはGT3の方が出るかもしれませんが、乗っていて人馬一体感があって愉しく感じるのはもしかしたら718ケイマンGT4(RS)の方かもしれません。この辺は実際にまたリベンジした際に今度は718ケイマンGT4でチャレンジしてみたいところです。あ、ちなみにブレーキは今まで通り宇宙一でしたw。

それにしても、これほどまでにドライビングに没頭できるクルマ、没頭できるシチュエーションは久しぶりでした。やはり「スポーツ」ドライビングは愉しいですね。992GT3は間違いなく最高峰のスーパーパフォーマンスカーですし、そもそも買えないという問題はありますが、本気で走るのが好きな方にはとてもお勧めの一台です。ただ、その良さを引き出すにはそれなりの腕とシチュエーションが必要なのもまた事実で、公道だけでは勿体ない気がします。というか、自分だったら回さずにいられる自信がありませんw。日常使いもこなせて、でも週末はトラックに出かけて全開走行を愉しみたい!という方には最高のパートナーたりうる一台なのではないでしょうか。

(おわり)
Posted at 2023/03/24 14:28:14 | コメント(2) | トラックバック(0) | 試乗記 | クルマ

プロフィール

「瀕死の日産の陰に隠れてあまり目立ちませんが、MAZDAもなかなかヤバいですね😨。中間決算では売上高が前の年の同じ時期より6.5%少ない2兆2384億円、本業の儲けを示す営業損益が538億円の赤字となっているとの事。ロータリースポーツは幻と消えるのか…正念場ですね」
何シテル?   11/07 21:07
Ohne Porsche kann ich nicht leben. 趣味車:991GT3TP(2018年式 左MT) アシ車:GR86“リッジグリーン...
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ポルシェ 911 ポルシェ 911
初代GT3ツーリングパッケージです。私にとってはラッキーセブンの『人生7台目のポルシェ9 ...
トヨタ GR86 トヨタ GR86
GR86のD型、RZベースの国内200台限定車で、私にとってはン十年ぶりの国産車でしたが ...
ポルシェ カイエン ポルシェ カイエン
MY2025新型カイエンGTSです 2024年5月3日オーダー 2024年6月生産枠確 ...
BMW M2 クーペ BMW M2 クーペ
E92以来、10年ぶりのBMW復帰です✨ 世界限定2200台、日本導入限定60台、F8 ...
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