
本日は表題の通り、電子制御技術の進化について少々私見を述べたいと思います。前提として、私はかつてあまり
電子制御装置(=飛び道具)が好きではありませんでした。理由としては、ヘタな電子制御が入ると、ドライビングの入力とは違う挙動をクルマが呈するため、例えばサーキットなどの限界領域だと「予想と違う動きをして怖い」思いしているからです。
しかし、こうした事はもう10年以上も前の話で、現在のクルマの技術の進化は目覚ましい物があります。具体的に言うと、電子制御技術が向上したことにより、
介入しているのが分からないレベルまで進化(深化)しているのです。今の電子制御技術は一言で言って、「運転が上手くなった気になる」んですね。PEC東京での992GT3走行体験で、この事は
確信に変わりました。現代のパフォーマンスカーを愉しむのであれば、むしろ
電子制御は有った方が良い、と。話は変わりますが、CGの世界ではかつて「不気味の谷」という言葉があり、CGでどんなにリアルな描写に近づけようとしても、逆に不気味さが増すような過渡期がありました。今は「CGアイドル」なるものが存在するくらい、実写と区別が付かない所までCG技術は向上しています。クルマの電子制御技術もこうした「谷」を乗り越え、今は
完全に確立したものとなっています。
例えば現在私が納車待ちのゴルフR。VWゴルフというクルマは大衆車をベースにしながら連綿とGTIというスポーツモデルが存在し、20年前にRという四輪駆動のバカッ速モデルが登場しました。しかし、先代までのゴルフはFFベースのAWDということで、
アンダーステア傾向の強いクルマでした。それが、現行モデルから
トルクベクタリング技術を投入したことで、コーナーで「曲がりたがるクルマ」へと変貌を遂げています。私自身はまだ乗った事がありませんが、レビュー動画を観ると、リア左右のトルクベクタリングによりステアリングを切った以上にどんどんフロントがインを向いて
すさまじい旋回速度で曲がっていくのが手に取るように良く分かります。これに、1秒間に200回も演算処理をするダイナミックシャシーコントロール(DCC)が加味されると、それこそ
物理の法則性を無視したような動きをしているように見えます。
こうした技術は、同じグループ内のポルシェやAudiで先行投入された技術を熟成、汎用化した結果得られたモノですが、飛び道具が苦手という方の
不信感を払拭するような仕上がりになっているように思います。機械式LSDのようなメカニカルな構造はどうしても完全に左右独立させてトルクをコントロールしたり、サスペンションの動きも同時に
統合制御するような事は不可能です。というか、電子制御には到底太刀打ちが出来ません。これから時代はHV、そしてEVへと移行していく事になるかと思いますが、電気モーターの方がこうした技術との親和性が高いことは言うまでもありません。EVアレルギーの方もまだまだ多いと思いますが、次世代のパワートレーンは電子制御技術とは切っても切り離すことは出来ず、
ドライビングプレジャーを追及するモノへと深化して行くのであれば、個人的には大歓迎です^^。
Posted at 2023/08/17 13:43:13 | |
雑学 | クルマ