
991GT3TPが納車になってから
1週間が経過しました。ここのところあいにくの天気が続いていて、納車日以外に昨日と、計2回乗るに止まっています。限られた環境、限られた時間の中でのインプレにはなりますが、以前PEC東京で試乗した992.1GT3(PDK)や直近まで所有していた992.1カレラT(MT)とのフィーリングの違い等を中心に書きたいと思います。サーキットと公道、PDKとMTという違いはあるので、そこはお含みおきをお願い致します。
ボディ剛性・挙動
私がまず一番違うと感じたのはココです。ボディ剛性については、私が調べた範囲では具体的な数値として公表はされていませんが、体感的には大分違います。端的に言って、992.1の方が非常に
塊感が強いです。991.2は相対的にボディに緩さがあり、マウントやブッシュ類も(経年劣化の影響もあるかもしれませんが)
柔らかい印象です。例えば、極低速状態から急激な入力が入ると、リアの動力系マウントを中心に若干の「ゆすられ感」があります。992.1ではこうしたゆすられ感は皆無で、ボディ後方とエンジンが一体となった塊感が凄かったです。また、
フロントの応答性も明確にストラット→ダブルウィッシュボーンに変更となった992.1に軍配が上がります。操舵時のフロントタイヤの変形やキャンバー変化が抑制され、レスポンスが
クリアかつリニアとなっています。故に、荷重移動を殊更意識しなくても、非常に高いコーナリングスピードで曲がる事が出来てしまいます。結果的に、コーナー進入・立ち上がりの際の初期の剛性感は相対的に992.1の方が上です。また、ブレーキング時の車体の沈み込み(ノーズダイブ)にも明確な差があり、前輪サス取り付け位置の変更や、ダブルウィッシュボーン化によるレバー比の変更が効いているのだと思います。総じて992.1の方が
高剛性かつ
イージーということが言えると思います。
サイズ感・内装の質感
過去ブログでも再三書かせていただいていますが、実際の寸法以上にサイズは991.2の方が
コンパクトに感じます。車内は997世代までに共通する適度のタイト感があり、992のような「だだっ広さ」とは無縁です。フロントトレッドが
たった5cm違う(992.1の方がワイド)だけで、こんなにも感じ方が違うのか・・と思ってしまいます。ですので、乗った瞬間にピタッと一体感が得られるのは991.2だと私は感じます。最後まで992.1カレラTの体躯に私は慣れることが出来ませんでしたので、ここは991.2に軍配が上がります。内装の質感については
一長一短かと思います。992.1はそれまでの911より格段に内装の質感が向上されていましたが、マイナス面も少なくありませんでした。センターコンソールのピアノブラック素材は
ひっかき傷必至でしたし、カップホルダーの位置は
意味不明でした。メーターも、ステアリング径の中に納まらないため、伝統の5連メーターも両脇は頭の位置を変えないと見えませんでした。一方、991.2は上記いずれも理に適っており、やはり
メーター類はアナログの方が一見して視認性が良いことが再確認出来ました。PCMも一世代旧いモノが搭載されていますが、AppleCarPlayも問題なく使えますし、私はOTTOCASTでBluetooth接続していますので、
ストレスフリーです。標準スピーカー(非BOSE)が思ったほどショボくなかったのも
嬉しい誤算でした。
動力性能・ブレーキ
こちらについては、正直サーキットと公道、ましてやGT3TPはまだナラシ中ということで、直接的な比較は少々難しいです。一応現時点で感じたことだけ。まず、世界中で絶賛される6MTですが、個人的には
992.1カレラTの7MTの方が良かったです。何が良かったかと言うと、シフトストロークが短く、小気味良かったのと、一言で言って
フィーリングが良かったです。991GT3の方がクラッチペダルストロールも、シフトストロークもやや長い印象があります。エンジンがスパッと切れるので、ここが冗長なのは
ややチグハグな感じがします。いずれアフターマーケットでショートシフターやクラッチストッパーを入れたくなるかもしれません。ペダルの反力は991.2の方がやや重く、個人的にはこちらの方が好ましいと感じます。エンジンの回転フィールは
非常に滑らかで、明らかにMetzgerエンジンの荒々しさとは違います。正直、991.1GT3の500㎰と、992.1GT3の510㎰の違いを体感出来る人は居ないと思います。パワーデリバリーも素晴らしく、サーキットではこのエンジンを9000rpmまで回しましたが、
脳内麻薬出まくりです!早くナラシを終えて、自分の991GT3TPも高回転まで回してみたいです。ブレーキはPCCBですので、不満があるハズもなく・・かつてのような「鳴き」もほとんどありません。寒い季節が来たら改めて評価をする必要はあるかもしれません。
総評
まだ全然乗れてないので、結論を出すにはまだまだ早いですが・・現時点で感じる違いと、どういう人にどっちのモデルが合っているかについて私見を述べたいと思います。よりタイトなボディで、ネオ・クラシックなテイストを残しつつ、ポルシェが産み出した
世界遺産級のNAエンジンを堪能したい、古き良き時代の911の残り香を愉しみたい、という方には991.2が合っていると思います。一方、多少ボディが大きくても、コーナリングスピードが異様に速く、
電光石火の切れ味とレスポンス、最新モデルならではの「高級感」を纏った
スーパーカー然としたオーラが好みなら992.1の方が合っていると思います。長年ポルシェを乗り継いで来たような方は「911の流儀」を踏襲している分、991.2の方に惹かれるかもしれませんが、比較的新しい911のファンなら992.1の方がしっくり来るでしょう。992.1はとにかく限界が高く、危うい感じは微塵もありませんが、991.2はちょっとだけ
ヒリヒリするような怖さが残っています。誰でも扱える拳銃と、切れ味鋭く、一つ間違えば自らを傷つけてしまう日本刀の違い・・と言ったら言い過ぎでしょうか。ですので、アベレージドライバーが安心感を以って踏んでいけるのは間違いなく992.1の方だと思います。ここまで来ると、もはや
優劣ではなく、
好みの問題ですね。これから991~992世代のGT3を買われることを考えている方の参考になれば幸いです♪
Posted at 2025/09/12 13:49:57 | |
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