
皆さんも新幹線に乗った事があるかと思います。時速300㎞近い速度で走る、日本が世界に誇る高速鉄道です。本来、今頃はリニアモーターカーも走っていたハズですが、元某県の
アホ知事が抵抗したせいで、その計画は遅々として進んでいません。話がそれました。皆さんはこの速度域で走る新幹線に乗って「愉しい」と感じますか?感じませんよね。これが本日お話するお題になります。
新幹線が愉しくない理由。これは簡単で基本的に「直線路を一定の速度で走るから」です。加減速もありませんし、コーナーもありません、当然Gもほとんど感じる事はありません。当たり前ですが、線路の上を走っているのだから安定至極。速くて、安定していて、オンザレール感覚!という言葉はクルマに対する褒め言葉としてモータージャーナリストたちが好んで使いますが、
新幹線のようなクルマが愉しいのですか?と私は小一時間問いたい。先日の12Rの試乗でも思ったのですが、やはりクルマを駆る愉しさというのは単純な「速さ」や「安定感」だけでは語れないんですよね。自分でクルマを駆る場合には入力に対するレスポンスが得られるワケですが、このレスポンスがダル過ぎたらツマラナイですし、シャープ過ぎると怖いと感じます。要は、
安定感と緊張感のバランスが大事なんですね。よくアンダーステアとか、オーバーステアとか言われますが、そういう単純な話でもありません。クルマには様々な力(重力、遠心力、摩擦力、ヨー慣性モーメントなどなど)が掛かりますので、その数多あるパラメーターの集合体が
乗り味という結果に繋がります。
そういう意味で言うと、最新のクルマはとにかく懐を深くし、操縦安定性を重視しすぎるきらいがあります。過去ブログでも述べましたが、ポルシェ911という「曲者」も、かつてのように一部のエンスージャストが嗜むクルマではなく、それこそ今は
乗用車感覚でベンツのSクラスから乗り換えるような方もいらっしゃるわけです。ずっとペーパードライバーだった知り合いの女医さんがいらっしゃるのですが、最近、人生初の自分用車で992.2素カレラを買われました。さすがにちょっと仰け反りましたよ。また、先日のポルシェセンター足立のイベントでサーフィンに行った際に話をした30代の若者は992.2とフェラーリ・ローマの中古で迷っていました。
え?全然違くない??と思わず心の中でツッコミを入れてしまいましたw。まあ要は、「そういう人」でも「安全に運転出来る」ような仕上げにしないといけないワケで、メーカー側の苦労も
並々ならぬモノがあると思います。しかし、結果的に、911に限らず昨今のクルマは安定志向に振りすぎて、
緊張感に欠ける乗り味になってしまっていると思います。ぶっちゃけ物足りない。
そういう意味では991.2は本当に
バランスが良いです。程よい安定感、程よい緊張感があり、クラシックとモダンの融合体です。先日も991GT3TPで軽く飛ばしてみたのですが、現代的な基準で言うと車体が軽いので
人馬一体感が強いですし、安定感と緊張感のバランスが
絶妙です。私的には
ちょっと飛ばした時に軽く手に汗を握るくらいがちょうど良い塩梅だと思っているので、正に
ドンピシャです。これが996~997世代まで遡ると、同じ速度域は「ちょっと怖い領域」に入りますし、逆に992世代になると安定すぎてちょっと「ツマラナイ領域」に入ってしまいます。ちなみに空冷はそもそもそこまで速度が出ないので、もっと低い速度域で
程よい緊張感と安定感のバランスがあるように思います。特に、空冷が販売されていた当時と違って、タイヤ性能もグンと上がっていますから、そういう意味では怖さは薄れました。今更ながらに空冷が人気なのはそういう所が好まれるのかもしれません。いずれにせよ、この安定と緊張のバランスというのはドライビングプレジャーを追及する上では
譲れないポイントだと個人的には思っています。
Posted at 2025/10/11 08:28:00 | |
四方山話 | クルマ