
電子デバイス制御の進化というのは目覚ましいモノがあります。ポルシェを例に挙げるなら、PASMが登場した997.1の時代、結構
物議を醸しました。それ以降、PTVやPDCC、PADM、リアアクスルステアリング(RAS)など、様々な飛び道具をポルシェは投入して来ました。997以降のモデルではPASMを経験し、992カレラTではRASとオートブリッピングを経験しました。カイエンGTSにはPDCCも付けました。そんな経験も踏まえ、電子制御についてちょっと考察してみました。
一般的に電子制御システムは世代を追うごとに進化し、制御がナチュラルになり、その存在に気付き辛くなるものですが、ポルシェの場合はその限りではありません!992.1カレラTのRASは
非常に分かりやすかったです。前車がPSM以外はパッシブ制御のみの996C4Sだったこともあり、992.1カレラTは明確に
切った以上に曲がる感覚でしたし、RRなのにRRではないような魔訶不思議な操舵感覚でした。過去ブログでも再三述べましたが、私はもしまたコンフィギュレーション出来るならRASは選択しない、と992のRASについては
否定的な立場でした。しかし992.2カレラTでRASはついに標準装備となり、レスオプションの選択は不可能となってしまいました。ちなみに後世に遺るとの誉れ高い992S/TではRASは採用されておりません。一方、991.2GT3にもRASは標準装備されているのですが、私はカレラTの時と打って変わって、
まったくその介入が分かりません。単に私が鈍感なのかもしれませんが、少なくとも公道レベルでは言われなければ介入しているとは思わないです。旧い世代の方が
制御が自然なんていうことがあるのでしょうか??
一方、オートブリッピングもカレラT、991.2GT3いずれにも装備されていますが、こちらも明確に制御が異なります。一言で言って、992の方が分かりやすい・・言い方を替えれば
大げさです。私はサーキットではもちろんH&Tをしていましたが、公道ではほぼしません。理由としてはシンクロメッシュが良くなり、ショック差を吸収してくれるのに加え、サーキットのように駆動力のオンオフで姿勢が乱れるほど攻めることが無いからです。加えて、ポルシェの場合Bペダルとオルガン式のAぺダルの間の
天地方向のペダルオフセットが大きいので、フルブレーキ状態までBペダルを踏みこまないとH&Tがしづらいからです。依って、電子制御が嫌いな私でもオートブリッピングは公道を走る上では素直に
ありがたいモノとして受け止めています。で、話は戻りますが、カレラTはダウンシフトすると、大げさに
ブォン!ブォン!と盛大にブリッピングしましたが、991.2GT3はジェントルに
フォン、フォンくらい。ちなみにM2CSはコレほんとにオートブリッピングしているの?というくらい
穏やかな介入となっています。この辺の
匙加減の違いって面白いですよね。
さて、991.2GT3にはこの世代で廃止になったPADMという
悪名高き電子制御マウントが装備されます。本来は、クルマの挙動変化に対し、駆動系のマウントの硬さが可変するというもので、低速域での振動の低減と高速域での安定性を担保するためのモノです。サーキットに行きだすとたまにリジッドマウントに行かれる方がいらっしゃいますが、こちらは電子制御でストリート~サーキットをカバーするという代物です。コンセプト自体は素晴らしいのですが、とにかく
良く壊れるみたいです。突然チェックランプが点いて、故障となると片側30諭吉、両側60諭吉コース。対策品は無く、リコールにもなっていないという
991.2世代最大の汚点です。私はこの問題があるので、しぶしぶ
スタンドアローン保証(製造15年以内で、PCの非改造認定を受けた車両が受けられる保証)に加入しようと思っております…。しかも、このPADM実際に乗ってみると制御があからさまに分かりすぎます。低速域でクラッチを切ると盛大にドライブトレーンが揺すられる感覚があり、速度が上がると消失します。PADMが
正常に作動している証拠ですが、極低速域での揺すられ感が
逆に不快です。本末転倒とはこのことです。ったく!余計なモノ付けやがって(怒)。
・・かように電子制御は奥が深く、必ずしも
最新が最良とは限らないのもまた興味深いですね♪
Posted at 2025/12/11 13:48:00 | |
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