
タイヤ空気圧の設定に関する基礎知識は
解説サイトなどをご覧になって下さい。
純正サイズ以外のタイヤを履きたいと思った時に必須の知識になります。
我がトゥインゴSリミテの指定空気圧は
前165/65-15 LI 81に対し200kPa
後185/60-15 LI 84 に対し250kPa
となっています。タイヤはETRTO STD規格です。
(LI ;ロードインデックス、
Load
Index、荷重指数)
オプションで16インチアルミを選んで前185/50-16 LI 81、後205/45-16 LI 83を履いても指定空気圧は同じです。
リアはLIが下がりますが、指定空気圧は同じです。
驚くのは17インチを履くGTです。指定空気圧は
前185/45-17 LI 78に対し210kPa
後205/40-17 LI 80に対し260kPa
です。
前はともかく、ETRTO STD規格のタイヤですのでリアに250kPaを越える空気圧設定しても耐荷重は増えません。
耐荷重はLI80の上限である450kgが確保されれば問題ないとルノーは判断してることになります。
GTより軽い我がSリミテではもう少しマージンがありますので、リアに185/60-15 84Tのプライマシー4を履いた場合に空気圧を(耐荷重が450kgになる)220kPaにしていても何の問題も発生しないはずです。1名乗車で荷物を積んでなければ更に下げても問題ないでしょう。
それなのに指定空気圧がそこまで高く設定されているのは、燃費対策など他の要因と思われます。
我がSリミテを17インチにインチアップした場合を考えます(その予定はありません)。
リアのタイヤをXL規格の205/40-17 84XLにしたとします。
この場合、Sリミテのリアの指定空気圧から耐荷重を求めて設定するなら290kPaが適正空気圧になります。450kgの耐荷重が確保されていれば良いのであれば260kPaでokです。
インチアップされている方々はどうされていますかね?
よく「空気圧が同じならタイヤを太くしても接地面積は変わらない」と言われます。もちろん接地面の形状は変わるはずですが接地面積は変わらないそうです。この話を素人なりに考察してみます。
接地面積は
接地面積=荷重÷空気圧
で求められるようです。
これがホントなら大問題です。接地面積はタイヤサイズや規格とは無関係に荷重と空気圧で決まり、空気圧が増えると接地面積は減る事になります。
空気圧の単位はPaで表示するのが国際標準ですが、これを考えるには単位をkgf/cm²で考えた方がわかりやすいです。
250kPaは概ね2.5kgf/cm²です。
タイヤの空気が抜けてしまえばぺちゃんこに潰れてしまう事からわかるように、車重を支えているのはタイヤ内の空気です。
2.5kgf/cm²ということは1cm²あたり2.5kgの力で押す圧力ですので、接地面積1cm²あたり2.5kgの荷重に耐えられる事になります。
我がSリミテの車検証上のリアの軸重は540kgです。片輪にはその半分の270kg。実際にはガソリンや乗員、積載物などの重量が加わりますので、ここでは仮に後輪の荷重を300kgとします。もちろんこれは走行中の荷重移動で変化します。
2.5kgf/cm²の空気圧で300kgの荷重を支える場合、接地面積は
300kg÷2.5kgf/cm²=120cm²
となるはずです。接地面形状が仮に長方形だとするとタイヤ幅18.5cm x 6.5cmくらいですかね?実際には長方形というより楕円形に近い感じみたいですが…
2.5kgf/cm²という空気圧のタイヤに300kgの荷重が掛かったとき、概ね平面である路面に対して円形のゴム製品であるタイヤが若干潰れて接地面積が120cm²になったところでちょうど釣り合いが取れる…という理屈になります。
タイヤ規格がJATMAだろうがSTDだろうがXLだろうが、タイヤサイズが185/60-15だろうが205/40-17だろうが、空気圧が2.5kgf/cm²なら同じです。
逆に言うと、
205/40-17 84XLのタイヤを履いて空気圧を290kPa(2.9kgf/cm²)にしてしまうと185/60-15で空気圧を250kPaにしていた時より接地面積は減少してしまうことになります。
300÷2.9≒103cm²ですね。
接地面形状がどんな形になるかはタイヤサイズやタイヤの構造、トレッドの剛性などによって変わってくるはずです。
(この考え方で正しいと思いますが、間違っていたらごめんなさい)
自分も前車ではインチアップしてXL規格のタイヤを履いたりしましたが、実感として思い当たるフシはあります。
Gが掛かってトレッドやショルダーが変形するとタイヤと路面との摩擦係数が変化するなど色々と複雑な要因が絡んできて単純な話ではないですが、タイヤを太くしたのに接地面積は逆に減ってしまうとなるとタイヤのグリップは狙いとは裏腹に低下してしまうかもしれません。
近年標準装着でもやたらと大きなホイールを履くクルマが多いですが、ちょっと考えものです。エアボリュームが減るなら空気圧は高くせざるを得ません。
我がSリミテの場合、前後方向のグリップは申し分ありません。RRで非力ですのでトラクションは充分ですし、ブレーキもよく効きます。前後方向には余っているグリップ力を、むしろ横方向のグリップ力に振り分けたいくらいです。
これらを考えればタイヤの銘柄やサイズの変更を検討する場合にどうするべきか、交換した後の空気圧設定をどうするべきか、ある程度方向性が見えてきます。
空気圧が同じでタイヤ幅が広くなるなら接地面積は同じまま接地面形状が横長になります。前後方向のグリップが若干弱まり、左右方向のグリップが増えそうです。
インチアップせずに同じリム径でタイヤを太くするとエアボリュームが増えますので空気圧は低くできますから接地面積を増やせます。LI が増える事からも明らかですね。
接地面積を増やすべく空気圧を低めに設定したら、転がり抵抗の増大を招き燃費の悪化に繋がります。逆に燃費にこだわって空気圧を高めに設定してもデメリットを生じます。自動車メーカーはそれらの要因も考慮した上で、最適解と判断される値でタイヤサイズや指定空気圧を設定しているはずです。
オーナーの好みに合わせてそれを変更・微調整するのはクルマ趣味の範囲内ですが、変えることによって失われる物もあります。
上手にカスタマイズしたいものです。
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2021/01/12 06:43:15