
世の中「緊急事態宣言」ということで、運転中の「緊急事態」の「パニックブレーキ」です(無理矢理感…)。
いきなりですが、
「MT車でのパニックブレーキの時はクラッチを切るな!」っていう話があるらしいですが、間違いです。
おそらく「有識者」さんがそういうことを主張されてるんでしょうから、ある条件下ではその方が制動距離を短く出来る場合などがあるのかもしれませんが、そんな事を意識する必要も実践する必要もありません。
理由は3つ
1つ目が、
停車前にはクラッチを切るという操作が体に染み付いているからこそ、MT車では踏み間違い暴走のような事故がめったに発生しません。
クラッチを切れば動力を遮断出来るというのは安全装備の一つと言っても過言ではありません。
緊急時にこの操作をさせないというのは、MT車でも踏み間違い暴走事故が起こるリスクを高めることになります。
2つ目が、
一般人相手にパニック時限定で特別な事を要求する事自体が根本的に間違ってます。冷静な操作が出来ない状況だから「パニック」なのであって、特別な事なんか出来ません。
クラッチを切らずに停車するまでフルブレーキを続ける事に何かしらのメリットがあるにしても、それを要求するのは間違いです。
ましてや「踏み間違いした時はクラッチ切れ!でもパニックブレーキではクラッチ切るな!」なんて無理ゲーです。
3つ目が、
そうしなければいけない合理性が感じられない事。
難しい事を考えずに、コントロールは電制に任せて力いっぱいブレーキ踏めば良いだけの話ですし、実際に普通はそれくらいしか出来ません。MT運転に慣れていればそれでも停車前には左足が勝手にクラッチ踏んでます。MTに不慣れな人がクラッチを切り忘れたというのなら仕方ありません。
パニックブレーキ時の制動距離は、初速と
タイヤと路面の摩擦係数
ドライバーがちゃんと強くブレーキを踏めたかどうか
電制が適切な制御をしたかどうか
でほぼ決まります。
ABSの装備がない旧車などではドライバーのコントロールに依存しますが、現代の電制は人間技を超越したレベルにありますのでドライバーの技量はあまり関係ありません。前後左右のブレーキバランスを刻一刻と最適化させながらコントロールするなんて事までやってくれます。こんなのドライバーの操作じゃ出来ません。
問題はドライバーがちゃんとブレーキを踏めるかどうかなので、今時の電制はそこを忖度して必要時には踏力以上の強い制動を掛けてくれるサービスまであります。
クラッチを切ったか、繋いだままかによって制動距離やコントロール性に大きな影響が出るとは思えません。
ところで、ABSが装備されていても走行中のハードブレーキで四輪ロックに陥る場合があるという話があります。偶然四輪が同時にロックしてしまうと、電制が「停車した」と勘違いしてしまって制御を放棄してしまうのだそうです。最新の電制でもそんなことが発生し得るのかどうかはわかりません。
駆動輪とエンジンが繋がった状態の方がそんなことにはなり難いと思いますが、
それでも発生した事案はあるようです。
その場合タイヤの回転が止まりますのでMT車ではエンストします。エンストすると普通はパワステが効かなくなります。こうなるとヤバいですね。どうせ四輪ロックでハンドル効かない訳ですから関係ないかもしれませんが。
ブレーキを緩めてタイヤの回転を復帰させ、クラッチ繋いだまま押しがけ状態にしてエンジンを再始動させるか、クラッチ切るとかニュートラルにしてセルを回すしかないです。パニック時にこれをやれるかどうか…
トゥインゴの電動パワステはオルタネーターから直接電力供給されているらしいので、
先日自分が経験したような「エンジンは回っているのにストール(失火)している」状態でも機能します。エンジン回転が止まれば当然機能しないでしょう。
自分はABSの装備がないクルマを所有して降雪地に居住していた経験があるのでおそらく一旦ブレーキを緩める動作をすると思いますが、パニック時に冷静にやれるかどうかはわかりません…
それに先日の我がSリミテは押しがけが出来なかったですし…
そんな事にならないようにするためか、
トゥインゴはフロントの方がリアより相当強くブレーキが効くように前後のブレーキバランスが設計されてるようです。多分
これはトゥインゴに限った話じゃないでしょう。リアがフロントよりも先にロックしちゃうと場合によってはそれだけでスピンしちゃいますので、普通はフロントの方が強く効いて、ロックするのもフロントが先になるように作られてます。
ABSが適切に制御する前提で設計されているためか、近年のクルマはちょっと強めのブレーキであっけなくABSが作動してしまうケースが多いようにも感じられます。
ABS非搭載の時代のクルマに比べて、前後のブレーキ力のバランスがより前輪に強く効くように作られているのかもしれません。
もちろんフロントがロックした後は電制が随時前後左右のブレーキバランスを調節して最適化してくれます。ABS搭載車両が市販されてから既に40年近く経過し、さすがに制御は洗練されています。
自分のようにフロントだけ初期制動力が若干抑えられちゃう低ダストブレーキパッドに変えると前後のブレーキバランスが改善されたように感じられますが、あらゆる場面を想定した時にこれが良い事なのかどうかはわかりません。
メーカーはあらゆる状況を想定してテストをし、最適解を出して純正のセッティングをしてます。そこをカスタマイズするのは自己責任です。
それはともかく、「パニックブレーキではクラッチを切るな!」と主張されている方がどんな事態まで想定されているのか疑問です。ちょっと意味がわかりません。
何よりも、パニックブレーキを踏む羽目にならないように安全運転する事が第一です。それでも踏まざるを得ない事態もあるでしょう。
必要時には力いっぱい踏め!
これだけです。
楽ちんMTドライブ 過去記事
楽ちんMTドライブ7 「シフトダウン」 2021年1月10日
楽ちんMTドライブ6 「ぼくがかんがえたさいきょうのシフトアップ」(最終回) 2021年1月7日
楽ちんMTドライブ5 「ぼくがかんがえたさいきょうのシフトアップ」4 2021年1月6日
楽ちんMTドライブ4 「ぼくがかんがえたさいきょうのシフトアップ」3 2021年1月5日
楽ちんMTドライブ3 「ぼくがかんがえたさいきょうのシフトアップ」2 2021年1月4日
楽ちんMTドライブ2 「ぼくがかんがえたさいきょうのシフトアップ」1 2021年1月3日
楽ちんMTドライブ1 「半クラ操作」2021年1月2日
楽ちんMTドライブ(予告編) 2021年1月1日
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2021/01/13 08:44:52