クルマとは全然関係のないお話。
ミャンマーで軍事クーデターがあったそうで…
個人的趣味で世界各地の情勢を色々と追いかけているのですが、今回の件はまだ情報がなくてよくわかりません。
長らく軍事政権が続いたビルマ・ミャンマーですが、2007年にテインセインが首相となった後に軍政改革・民政移管が始まり、2015年の総選挙でアウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝、民主化移行が完了したかに思われていました。
仏教徒が多数を占める同国において、少数派のイスラム教徒との衝突が絶えなかったのですが、軍事政権下では軍がイスラム教徒を抑圧しながらコントロールしてました。
民政移管に伴って、当時禁固刑に服していたアシンウィラトゥーという仏教原理主義過激派の僧侶が恩赦で釈放され、彼が主導する「969運動」と呼ばれる仏教原理主義運動がミャンマーで盛り上がってしまいます。
これがミャンマー西部のラカイン州に数多くいたベンガル系のムスリムである「ロヒンギャ」に対する排斥運動を炎上させます。一方のロヒンギャも一部が過激化してテロ事件を起こしたり、それを軍が鎮圧、弾圧したりなどの経緯で、大量の難民が発生し国際問題となっていました。
ミャンマー国内世論は「イスラム教徒排斥」が多数派ですので、アウンサンスーチーはこれをコントロールできません。国内に複数の少数民族問題を抱えているミャンマーとしては安易にロヒンギャ難民を保護できませんし、ラカイン州の分離独立など論外です。国軍が主導するロヒンギャへの弾圧を黙認するしかなかったようです。
アシンウィラトゥはNLDとの対決姿勢を示しながら国内世論を煽ります。政権は彼を扇動罪で検挙しますがウィラトゥは逃亡。しばらく潜伏した後、昨年の選挙直前に姿を現し(国軍支持の)野党USDPへの投票を呼び掛けた後に自首、逮捕されました。
民政移管後のアウンサンスーチーとミャンマー国軍との関係がどうだったのかよくわかりませんが、昨年11月行なわれた総選挙で再びNLDが圧勝した後、国軍は「総選挙で数多くの不正があった」とし、それが今回のクーデター騒ぎに繋がっています。
選挙ではロヒンギャ問題が争点となったのかわかりませんが、ミャンマーの国民世論からはウィラトゥや国軍が主導したロヒンギャ排斥は支持されています。とはいえ、再び軍事政権下に戻りたいと考える国民はごく少数でしょう。
米の政権交替やコロナ禍といった国際社会の情勢も分析した上での軍の行動と思いますが、外国勢力の影響の存在を感じます。
ムスリム弾圧により国際的な批判にさらされている国がミャンマーの隣にもありますね。
ミャンマーのような小国と違って大国の中国です。
今回の件でミャンマーが国際的な批判を浴び孤立する流れになれば、間違いなくミャンマーへの中国の影響力が増します。中国とミャンマーが親密になれば、中国からベンガル湾、インド洋へのアクセスが容易になります。これはインドにとって安全保障上の脅威になりますし、日本も他人事ではありません。
支那事変の「援蒋ルート」の話を持ち出すまでもなく、日本の安全保障上も重要です。
発足間もない米のバイデン政権は、対中国の戦略を考える上で早速外交上の難題を抱える事になってしまいました。
米、ミャンマーのクーデターを認定 政府向け援助制限へ: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02DX00S1A200C2000000
ブリンケン国務長官は日本やインドと緊密に情報交換している旨のコメントを出してますが、当然です。むしろ当事者意識が感じられない日経をはじめとする国内メディアの報道に違和感を覚えます。
ブログ一覧
Posted at
2021/02/03 17:23:23