
資源エネルギー価格高騰を受けて米バイデン大統領が呼びかけていた備蓄原油の放出が正式に決まりました。
米、石油備蓄の協調放出を発表
https://ndjust.in/we0U8gtd
日米英中印韓の6カ国で協調してやるとか…
どの程度行なう予定なのか詳細はまだわかりませんが、マーケットが織り込んでいた量より小幅だったのでしょうか?
このニュースが流れた直後に原油価格は上昇に転じました(冒頭画像)。
わけがわかりません
前回のこのブログ記事で、
備蓄原油は有事や災害に備えての物
市場介入のためのツールじゃないということで、こういうことはやるべきじゃないと書きましたが、世間的には否定的な論調はほとんどありませんでした。
Sputnikではインドが反対する姿勢を示した旨報じられていましたが、バイデンに懐柔されたのかSputnikのガセ情報だったのかはわかりません。
欧州のコロナ再燃を受けてOPECプラスが増産に慎重姿勢を見せる一方で米シェール業界もSDGsブームの逆風でなかなかコロナ禍以前の水準まで生産が回復しません。
ベーカーヒューズ社発表の米石油採掘リグ稼働数
https://m.jp.investing.com/economic-calendar/u.s.-baker-hughes-total-rig-count-1810
世界中で金融財政政策を積極的に行ないマネーが供給される中、欧米ではインフレ懸念が出てきて量的緩和のテーパリングや利上げ実施時期を探りながらの相場が続いてます。
米国でのインフレ懸念はドル安要因、利上げ見通しはドル高要因ですが、今日はドル円が115 円代に乗せるなど神経質な相場になってます。
そんな中でこの6カ国の協調介入です。サウジやロシアに喧嘩を売っているような物です。
サウジと友好的だったトランプ政権から「人権派」のバイデン政権に代わって、米は人権問題を抱えるサウジとは距離を取るようになりました。
サウジと敵対するイランの核合意問題が膠着する中、バイデン政権の対中東外交の方向性が見えません。
中国の脅威に対抗するために米軍のリソースを太平洋地域に集約させていかなければならない時に、中東に火種を抱えるのは得策ではありません。
欧州においてもウクライナやベラルーシ問題でロシアとNATOが対峙している状況です。ロシアが極東に介入してこないように東欧地域ではロシアとNATOが一定の緊張感を維持し続ける事が日本にとっての国益ですが、これに米軍のリソースが割かれるのは好ましくありません。
アフガニスタンがあのような状況でISISのようなイスラム主義勢力が再び台頭してくる可能性がある中、バイデン政権の中東軽視外交はかなり危なっかしく見えます。
中東の大国の一つであるトルコは、昨年のナゴルノ・カラバフ紛争で一定の存在感を示しましたが国内経済はインフレでボロボロです。主産業である観光がコロナ禍で冷え込む中、インフレ懸念がかなり危機的な状況なのにエルドアン大統領がなぜか利下げを強行しようとしているのがリラ安の主要因です。
昨日のFRB議長のパウエル続投のニュースを受けて為替がドル高に進みましたが、これを受けてかトルコ・リラは更に暴落しました。
このように世界情勢がかなり危うく、しかもコロナ禍の今後がまだ見通せずに世界経済の混乱が収束しない中、備蓄原油放出という安直な市場介入が果たして吉と出るのか凶と出るのか?
自分には悲観的にしか思えません。何より日本の戦略備蓄物資の扱いを米国に干渉された前例を作ってしまった事が将来的に好ましい事とは思えません。
自分のような意見は少数派のようですが、どうでしょう?
自分が考える懸念が杞憂に終わるように願いたいです。
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2021/11/23 22:57:20