
このところ経済問題ばかり書き続けてましたが、ちょっと話題を変えて…
「歴史修正主義(者)」っていう言葉、世の中では非常にネガティブに捉えられています。
まずは言葉の定義から確認してみますが、
「歴史修正主義」でGoogle検索しますと…
トップには
コトバンクさんのサイトがヒットします。コトバンクのトップに出てくる『百科事典マイペディアによる「歴史修正主義」の解説』によると、
客観的な歴史学の成果によって確定した事実を全体として無視し,自分のイデオロギーで過去の出来事を都合良く解釈したり,誇張や捏造された〈事実〉を歴史として主張する立場を批判する際に用いられる概念。
と定義されています。ただ、その後に補足的にこうも書かれています。
新しく発見された史料に基づく解釈や,既存の知識を再解釈することにより,歴史を叙述し直すことは歴史学研究が行う当然の努力であり,そうした試みについては通常この概念は用いない。
当たり前と言えば当たり前の事なんですが、どうもこれが怪しいんですね…
第二次世界大戦終結から80年近く経過し、機密が解除された当時の文書が公開されたりしたことによって新たに得られた知見等も当然あるのですが、それを認めてしまうとこれまでの歴史観が覆されかねないという事で歴史学研究が制限されている面があるようです。
この事は倉山満氏の著作や、氏が主宰する「チャンネルくらら」の動画などで時々触れられてきた話ですが、最近になってもうちょっとストレートな動画が出ました。
「歴史は修正主義であるべき」1937年の世界史 東洋史家宮脇淳子 憲政史家倉山満【チャンネルくらら】
https://youtu.be/PcD51RAG9uU
番組の内容は倉山氏や東洋史家の宮脇淳子氏らが中心となってまとめた書籍の宣伝ですが、動画のタイトルが随分と踏み込んだタイトルになってます。
倉山氏はかつて「欧州で歴史修正主義者(Revisionist)のレッテルを貼られたら、逮捕されたり社会的に抹殺されかねない」というお話をされていましたが、それを考えると随分と踏み込んだタイトルです。
確かにヒトラーやナチス・ドイツを肯定的に論じるというのは欧州人やユダヤ人にとっては受け入れ難い話なんだとは思いますが、それを「確定した事実」だとして、それに対する異論や反論を一切認めないというのは学術的態度としては不適切であると自分も思います。
反証可能性を否定してしまったら
それは最早学問ではありません。
反証可能性とは「誤りをチェック出来る事」であり、反証可能性の否定は思考停止の強制を招き人々を愚民化させます。
学問は自由であるべきで、あらゆるテーマについて反証可能性が残されていなければなりません。
もう一つ動画を紹介します。
イラン大統領 ホロコ-ストとイスラエル
https://youtu.be/ks28bd0aR78
国連総会で「イスラエルに死を!」と演説したり、「ホロコーストなんて神話だ!」等の過激な発言で物議を醸した先々代のイラン大統領 アフマディネジャド氏の在職中に行なわれた、米国メディアによるアフマディネジャド氏へのインタビュー動画です。
発言の真意を問われたアフマディネジャド氏はこう答えてます。
「もしもこの出来事(ホロコースト)が本当に起き、これが歴史的事件ならば、私達はこれを研究することをすべての人に認めるべきです。
研究か多ければ多い程、私達は起きた事の現実を意識する事が出来ます。
私達は、絶対知識、科学、数学において進んだ新しい研究に開かれた精神を持ちます。
歴史的事件は常に見直しと検証と研究の対象になります。
私達は何千年も前に起きた事について私達の考えを見直しています。
なぜホロコーストに関し疑問を呈する人が迫害されるのですか?
なぜこれほど敏感になり、深い研究を完全に禁止するのですか?
神や、預言者、自由や民主主義といった概念には公然と疑問を呈する事ができるにもかかわらず…」
ナチス・ドイツやホロコーストの功罪に関する反証可能性を全否定している欧米社会に対する問題提起です。
第二次大戦までの欧州におけるユダヤ人迫害と、その後のイスラエル建国に始まるいわゆる中東パレスチナ問題は根が深い問題です。
以前
「ロシア・ソビエトとウクライナとナチスとユダヤ」 という記事にも書きましたが、
欧州でかつて行なわれたユダヤ人迫害はホロコーストに代表されるナチス・ドイツによるものだけではありません。
いわゆる「歴史修正主義批判」が、欧州人によるユダヤ人迫害の歴史を封印するための手段であるならば、それはやはり批判の対象とならざるを得ないでしょう。
アフマディネジャド氏のホロコースト観に対する賛否は別として、自由な学術的研究、学問、言論を否定するような社会風土というのは戒めなければなりません。
先の対戦の際の大日本帝国に関する話でも、「歴史修正主義者」という批判がなされる場面はよく見聞きします。
昨今のポリコレだのキャンセルカルチャーだのっていうのにも繋がる話ですし、イーロン・マスク氏が買収したTwitterを巡る最近の騒動にも通じる話です。
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2022/11/20 12:58:21