
前回若干ディスってしまったRV03(CK)ですが、早速空気圧を前180kPa、後240kPaに下げてみました。接地感が希薄でドライグリップも直進安定性もハンドリングもよろしくないと感じたのがその理由です。
その結果だいぶ印象が良くなりました。
転がりが悪くなってモッサリ感が出て燃費にも悪影響を及ぼしそうな懸念がありましたが、今のところ空気圧を下げたネガをほとんど感じません。
一般的に指定空気圧よりも低い空気圧に設定するのは推奨されませんが、今回は「下げても大丈夫だろう」と思った根拠について書きます。
この話は私がメーカー等に直接問い合わせて確認した話ではなく、あくまでも私個人の推論です。話の真偽はお読みになられた皆様ご自身で御判断下さい。
また今回の空気圧関連の基本的な話をご存知ない方は
「タイヤの適正空気圧について」というサイトに解説があります。また下に表示した耐荷重表もそちらのサイトから拝借しました。
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乗用車向けタイヤの耐荷重を示すロードインデックス(LI)と空気圧に関して、日本では日本の規格であるJATMAと欧州規格であるETRTO STD、ETRTO XLの3種類の規格が知られています。そして多くの場合・サイズではETRTO規格の銘柄では(STD、XLにかかわらず)JATMA規格の銘柄より高い空気圧設定にする必要があります。
XL規格の銘柄はサイズ表記の末尾に「XL」と銘記されますので一目瞭然ですが、それ以外はJATMAなのかETRTO STDなのかはどのメーカーも銘記していません。
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トゥインゴはルノーというフランスのメーカーが販売していたクルマ(過去形。・゚・(ノД`)ですが製造はスロベニア、標準装着タイヤは同じくフランスブランドのミシュラン プライマシー4S1で、これはmade in Italyでした。
フランス車というより欧州車、EU車と言った方が適切かもしれませんが、基本的にEUの規格に則って作られています。
日本ミシュランタイヤはJATMAに加盟していますが、トゥインゴ標準装着のプライマシー4S1はまず間違いなく欧州規格であるETRTO STD規格でしょう。
そしてトゥインゴの指定空気圧はETRTO 規格に則って前200kPa(2.0bar)後250kPa(2.5bar)と指定されているはずです。
一方でRV03CKの165/65R15というサイズのターゲットとなっているソリオやタフト等の国産車の空気圧はJATMA規格で指定されています。185/60R15のRV03も国産ミニバンやハイトワゴンをターゲットに作られているでしょうから同様です。
RV03(CK)がJATMA規格製品なのかETRTO STD規格製品なのかここで断定的に書くことは出来ませんが、おそらくJATMAでしょう。横浜タイヤのみならず、国内タイヤメーカーのwebサイトでは「XL規格のタイヤに替えたら空気圧設定を確認しろ」とは書かれていますがETRTO STD規格については何も書かれていません。
これは国内メーカーが国内向けに正規に販売している製品はXLと銘記されている物を除いて原則JATMA規格だという事を意味します。
巷ではタイヤのサイドウォールに○で囲ったEの刻印があればETRTO 規格だという言説がありますが、どうやらこれは誤りのようです。
RV03(CK)にもE4という刻印がありますが、
E4: This is a European type approval indicating it has meet tyre safety standards set by the European Regulatory Authorities. In this case the 4 = Holland, the country where homologation has been obtained. Tyres cannot be sold in the European market without this European type approval mark and number.
(E4:欧州の規制当局が定めたタイヤの安全基準を満たしていることを示す欧州型式認証。 この場合、4はホモロゲーションを取得した国、オランダを表します。 タイヤはこの欧州型式認定マークと番号がないと欧州市場で販売できません。)(DeepL翻訳)
https://www.wheels-alive.co.uk/what-do-all-those-markings-mean-on-your-vehicles-tyres/
という意味しかありません。JATMA規格で作られたタイヤを、より高い空気圧で同等の耐荷重を発揮するETRTO規格が支配するEUに持ち込んでも「安全基準」は満たせます。
追記 Eマークについて
ECE R30 Conformity Approval Number
といい
https://europa.eu/!HdygfW に詳細が示されています。ロードインデックスと耐荷重の要件はありますが、空気圧と耐荷重の関係に関する規定はないようです。(追記ここまで)
ただ
ブリヂストンのwebサイト
https://tire.bridgestone.co.jp/about/tire-size/pressure-list/のようにJATMA規格の事を「STD規格」と表記しているメーカーもあるため話がややこしくなってしまっています。
勘違いして低い空気圧設定をしてしまうユーザーが出現しないようわざと曖昧にしているのかもしれませんが、ちょっとこの混乱は困ったものです。
少なくともJATMA会員でありながらETRTO STD規格の製品を輸入販売していると思われる日本ミシュランタイヤは正確な情報をweb掲載すべきだと思うのですが、日本ミシュランタイヤの空気圧に関する解説ページにそのような話は皆無です。
https://www.michelin.co.jp/auto/advice/tyre-pressure
ミシュランタイヤの製品はETRTO規格の製品をJATMA規格前提で空気圧設定しても大丈夫なレベルに耐荷重のマージンが取られているということなのでしょうか?
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「指定空気圧」は耐荷重だけを目安に指定されている訳ではありません。
我がトゥインゴSリミテの運転席側ドアに貼られた指定空気圧を示すシールには、後輪の指定空気圧がLIが84の185/60R15も83の205/45R16も同じ250kPaと書かれています。
ETRTO STD規格でLI83で空気圧250kPaの時の耐荷重は487kg、LI84で空気圧240kPaの時の耐荷重は485kg。耐荷重で指定空気圧が決められているのであれば485kgでは不足で487kgなら充分という話です。おそらく純正の16インチホイールより私のBBSの15インチのホイールの方が2kg以上軽いと思いますが(笑)、これを心配するなら空気圧のゲージの校正にもっと神経質になるべきでしょう。NA MTとターボEDCとの重量差を無視して同じ空気圧設定がされている事を考慮すれば言わずもがなです。

更にSリミテより車重、軸重が大きいGTの指定空気圧は前185/45R17 LI78に対して2.1bar(210kPa)、後205/40R17 LI80に対して2.6bar(260kPa)です。
https://www.wheel-size.com/size/renault/twingo/bcm-2014-2019/#trim-iii-bcm-2014-2019-eudm-09-tce--107
GTの標準装着タイヤであるブルーアースA AE50がJATMAなのかETRTO STDなのかわかりませんが、後輪の耐荷重はいずれにしても450kgです。これが許されるならETRTO STD規格のLI84の185/60R15を履くSリミテの後輪の空気圧は220kPaでも充分という理屈になります。
そしてそして前輪のLI78はJATMA規格には存在しない数値で、ETRTO STD規格なら耐荷重は370kgです(事実上トゥインゴGTとスマートブラバスの為に特別に作られたサイズですのでETRTOである可能性が高いです)。15インチ仕様標準の165/65R15のLI81なら空気圧190kPaの時と同等の耐荷重です。GTをインチダウンして前165/65R15にした場合、適正空気圧は190kPaであるのにSリミテだと190kPaでは空気圧不足になるというのも妙な話です。
我がトゥインゴSリミテの前輪の軸重は410kg、後輪は540kgです。一輪あたりだとその半分、前205kg、後270kgです。
耐荷重が軸重の何%以上確保されていれば科学的に「安全」なのかわかりませんが、荷重移動を考慮しても指定空気圧は耐荷重という意味ではかなり大きなマージンを取っているはずです。むしろ燃費、CO₂排出削減対策で必要以上に高い空気圧指定になっているのでは?と思われるケースすらあります。
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仮に空気圧不足でタイヤが加熱しても、パンクで空気がどんどん抜けてしまう状況でなければ温度上昇とともに空気圧は上昇していきます。
タイヤ内の空気が理想気体と仮定してタイヤ内温度が27℃(絶対温度が300度)から57℃(絶対温度が10%増の330度)まで上昇すれば空気圧(この場合は大気圧を含めた絶対圧)も10%上昇します。大気圧が100kPaだったとしてゲージ圧は180kPaから208kPaに上昇、タイヤ内に水分が残っていれば温度上昇とともに水分が気化して水蒸気圧が加わりますので空気圧は更に上昇します(ちなみに57℃の時の飽和水蒸気圧は17kPa程度です)。この程度の空気圧ならスタンディングウェーブ現象からバーストに至る前に空気圧上昇の結果温度上昇は止まるでしょう。
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今回自分が設定した前180kPa、後240kPaという空気圧は、RV03(CK)がJATMA規格製品だという前提で、ETRTO STD規格前提で示された指定空気圧での耐荷重から求めた数値です(耐荷重 前390kg、後500kg)。

繰り返しますが
指定空気圧より低い空気圧に設定するという事は一般的には推奨されず、やるならあくまでも自己責任ですが、今後のインプレはこの空気圧設定での話となります。
そして純正プライマシー4S1の時に前220kPa、後275kPaまで空気圧を上げてみた時に感じた「接地感の悪さ」と指定空気圧まで戻した時に感じた時と同様の「接地感の改善」を今回も感じる事ができ、空気圧を下げた後の方が「これが本来の姿なのでは?」と感じた事だけを今回は書いておきます。
Posted at 2024/02/13 15:44:50 | |
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