
先日
ケタミンという麻薬取締法薬物に関する記事を書いたばかりですが、ちょっと目を疑うニュースが入ってきました。
コロンビアの“コカイン解禁”検討 米は危機感
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000265838.html
大統領や政府関係者の発言の一部が切り取られて報じられているのかもしれませんが、ちょっと常識的には考えられない、あり得ない話です。
コカインそのものは局所麻酔薬です。歯医者さん等で局所麻酔薬を注射された事がある方も多いと思いますが、19世紀には実際に臨床現場で局所麻酔薬として使用されていた薬物です。
中南米原産の「コカ」という植物の葉に含まれる物質ですが、原住民の方々はこのコカの葉をチューインガムのようにクチャクチャ噛んで気持ちよくなっていたとか…っていう話のようです。
19世紀にコカの葉からその「気持ちよくなる」成分を抽出した人がそれを舐めてみたところ舌が痺れたっていうエピソードから、局所麻酔薬として使用されるようになった…という経緯のようですが、臨床使用され始まると同時に乱用されるようになり社会問題となったようです。
その後コカインに代わる局所麻酔薬が次々と開発され現在に至りますが、今現在の日本でもごく一部の施設で臨床使用されているようです。わざわざ麻薬処方の手続きをして神経質な薬剤管理の手間を掛けてまで使用するメリットを自分は感じませんけど…
そのコカインの「気持ちよくなる…」という作用ですが、どちらかというと「麻薬」というより「覚醒剤」に近い作用になります。
こんなクスリ…一度でも手を出したら廃人一直線ですね。
覚醒剤と同様、乱用により統合失調症類似の精神症状を呈するようになります。統合失調症患者を廃人呼ばわりするのは不適切ですが、自ら進んでそのような状況に追い込み人生を棒に振るのは愚かしいことだとしか言いようがありません。
繰り返しになりますが
薬物乱用…
ダメ!絶対!
です
米国立衛生研究所のコカインに関する解説サイトのリンクを一応貼っておきます。英語の専門的サイトですが、興味ある方はどうぞ。
How does cocaine produce its effects? | National Institute on Drug Abuse (NIDA)
https://nida.nih.gov/publications/research-reports/cocaine/how-does-cocaine-produce-its-effects
なんで今回コロンビアでこのような話が出てきたのかわかりませんが、コロンビアといえば麻薬マフィアが跋扈している国です。
ある一定以上の年齢の方ならご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、「ドーハの悲劇」で日本が出場出来なかった94年のサッカー米国ワールドカップにコロンビアは出場しました。一次リーグ2試合目の対アメリカ戦、キャプテンを努めていたセンターバックのエスコバル選手のオウンゴールもあってコロンビアは1-2で敗れ、一次リーグ敗退が決まりました。
そして帰国後、なんとそのエスコバル選手が襲撃されて射殺されてしまうという事件が発生しました。

事件の背後関係については明らかにされていませんが、ワールドカップの賭博に関与していた麻薬マフィアの恨みによる犯行とも囁かれました。
そんなお国柄ですので、政府とマフィアとの仁義なき戦いが長年続いてきたようです。コカの栽培地に航空機で除草剤を撒くなんていう、現代の「枯れ葉作戦」ともいうべき、ちょっと日本では考えられないような対策も行なわれたりしたようです。
コロンビアでは最近大統領選挙が行なわれ、グスタボ・ペトロ新大統領(冒頭写真)が就任したばかりです。
このグスタボ・ペトロ氏、元左翼ゲリラです。
6/1の記事で少し触れましたが、中南米では現在次々と左派政権が誕生しています。
そして右派政権として日本でも有名なブラジルのボルソナロ大統領も今年予定されている大統領選挙では苦戦が伝えられ、左派のルラ元大統領が返り咲きそうな情勢です。

(写真は下記記事から拝借)
ブラジル大統領選、12人が立候補 10月2日投票: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN160FM0W2A810C2000000/
私個人の思想信条により左派、リベラル政治家にはどうしても批判的になってしまいますが、西側諸国を含め左派リベラル政権にはロクな政権がありません。ましてや前世紀の悪しき遺物ともいうべき共産主義、社会主義を今でも崇拝、信仰しているなんてちょっと自分の理解を超えています。共産主義者、社会主義者によってもたらされた人類の不幸は、今話題になっている某宗教団体の比ではありません。そしてこの地球上の一部の地域ではその不幸が現在進行系で続いてるという現実を直視すべきでしょう。
グスタボ・ペトロ新大統領の評価をその経歴と今回の件だけで決めつけてしまうのは早計ですが、ちょっとコロンビアはこれからヤバそうです。
前回の記事に書いたベネズエラもそうですが、中南米に左派政権が続々と誕生していることが今後の世界秩序にとって好ましくない影響を与えそうで心配です。
Posted at 2022/08/23 21:33:25 | |
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