BG型ファミリアセダン1500INTERPLAY 5MT(ブレイズレッド)です。
バブル景気の1989年に発売された「新ファミリア系列」は、コンパクトでプジョー的な3ドアハッチバック、骨太でCピラーがメルセデス似の4ドアセダン、低いシルエットがシトロエンに通じるアスティナと、異次元の3ボディで構成されていました。
当時はハッチバックは3ドアが主流であり、5ドアでも荷室が小さいので、「長く乗るなら実用的なセダンだろう」と思っていました。初めは中古で探すつもりでいたのですが、「赤いマニュアルセダンを見つけるのは難しい」と言われたので、やむを得ず(?)新車を買うことにしました。
セダンINTERPLAYは、塊感のあるボディに少しいかついフロントバンパーと黒いプロテクションモールがついていて、ブレイズレッドがよく似合っていました。そのベーシックグレードは16バルブSOHCエンジン、ギヤ比の低い5MT、やや堅めのサス、手回しサイドウィンドウなど、質実剛健な内容でしたが、パワーステアリングとオートチョークは標準装備でした。1500ccDOHC車もありましたが、初期モデルでは4000rpm以下のトルクはSOHCが勝っていたので、私にはこちらの方が向いています。同じ1500ccSOHCエンジンでも、INTERPLAYだけ最終減速比が大きく、さらに4速の変速比を少しだけ大きな値とするなど、他グレードとは性格を変えていました。新車当時は独特の上下動を感じるやや堅めのサスと、無彩色系の内装により、スポーティーな雰囲気が演出されていました。
前車と比べると、2割以上の出力向上と若干のトルクアップがありましたが、車重が2割近く増したので、低めのギヤ比でカバーしても、軽快感はやや控えめでした。100km/hで3000rpmを超えてもエンジン音は軽く、「普段使いのMT車」として乗りやすいものでした。ペダルやシフトに違和感なく、ロングドライブも楽にこなしました。
気になったのは、ワックスがけするたびに拭き取ったカスが赤く染まっていたことで、塗装が弱いと思いました。運転中に遠くの窓を開閉できなかったので、パワーウィンドウはあった方が便利でした。家族が増えてから、荷室はもう少し大きい方がいいと思いました。不自由を感じたのはこれくらいでした。
1989年の暮れに購入。まもなくデートカー(当時の流行語)として使い、その後は新婚ドライブの足となり、やがてファミリーカーとなりました。90年代はずっとこの車で過ごしましたが、1999年夏の渡米時に手放しました。