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2022年03月13日

クラウンのインテリアデザインと本杢調

220クラウンの前期型と後期型のデザインを見比べながら思ったことを書いてみました。
デザインについての個人の感性に基づいた文章ですので、異論があった場合は流し読みされるのを推奨します。

220クラウンのG-Exectiveは、前後のドアパネルやダッシュボードの一部に本杢調パネルが奢られています。
車のカタログによく本杢調と記載されていますが、本杢調と木目調の違いや「杢(もく)」という言葉の意味は意外と知られていないと思います。

木目調というのはプラスチック等のパネルに木目がプリントされたシートを貼り付けたもの(あるいはパネル自体に直接木目をプリントしたもの)とされています。
本杢調というのは実際の木材を薄くスライスした板(突き板)をプラスチック等のパネルに貼り付け、その上からウレタン塗装などを行ったものとされているようです。
本杢調が高級とされているのは、木という自然の材料を手作業で貼り付けるため、微妙な味わいが出たり、工業製品でありながらまったく同一のテクスチャ―のものが存在しない唯一無二のユニークさにあるのだろうと思います。
(薄い突き板を使用するため、厳密にはよく似たものが作られる可能性はありますが‥)

「杢」については、Wikipediaを調べると、次のような説明がありました。
『杢(もく)、杢目(もくめ)またはフィギュア(英語:figure)とは木材の木目・木理のうち、柾目とも板目とも異なって稀に現れる複雑な模様のものを指す。その希少価値・審美的価値から珍重される。原木の中で生ずる局部的なねじれや湾曲のある箇所、または瘤の部分などを切り出した際に現れ、これは木の切り出し方によっても大きく影響を受ける』

本来の「杢」という言葉は、上記にあるように「柾目とも板目とも異なって稀に現れる複雑な模様のものを指」します。
しかし車で使われる本杢調の「杢」の場合、本来的な「杢目」の意味で使われることもあれば、「柾目」や「板目」を含めていることもあり、使われ方はかなり曖昧なようです。

車の本杢調パネルには、マホガニー、ウォールナット(クルミ)、メープル、ケヤキ、ローズウッド、タモなどいろいろな種類の木が使われますが、歴代のクラウンにはゴージャスなブラウンのマホガニーやウォールナットが使われることが多かったように思います。
220の前期型G-Exectiveには少し毛色の変わった黒に近いダークグレイの本杢調パネルが使われています。木の種類は、私の調べたところではたぶんブラックマホガニー、あるいは本黒檀だと思われます。(正確な木の種類がわからないため、便宜上、黒木本杢調と呼びます)
ブラウンのマホガニーなら木(Wood)ということがすぐに分かるのですが、G-Exectiveのパネルは、黒に近いダークグレイで一見石(黒系の御影石)のようであり、どのような素材か簡単に見分けがつきません。薄暗い場所では、ただの黒いプラスチックパネルのようにも見えることさえあります。
私自身、このパネルを最初に見たときは渋いけど、どのような意図を持って採用されたのか疑問を感じたことを覚えています。


前期型の黒木本杢調(クラウンカタログより転載)

ある雑誌で220クラウンのデザイナーがインテリアについて、シンプル&エモーションというコンセプトと『豪華で煌びやかなものではなく、シンプルで上質な現代のラグジュアリー性を求めた』という内容を語っていました。
以前のクラウンに比べて、220クラウンでは豪華さ(ブラウンの本杢調のパネル等)や煌びやかさ(光り物)が極端に少ないと感じられるのは、このコンセプトによるものだと思います。
黒木の本杢調パネルは、シンプル&エモーションというインテリアコンセプトと最上級グレードの高級さを両立するためにデザイナーがたどり着いた、ひとつの解だったのでしょう。ある意味で相反するコンセプトをひとつにまとめるという難しいテーマだったと思われます。

前期型の黒木本杢調パネルを含め、220クラウンのインテリアデザインは世間一般にはあまり理解されず、安っぽいと受けとめられることが多かったようです。デザイナーの先進的な感性と世間一般の高級さに対する価値観とのズレが如実に現れた評価だったように思います。(実際に細かいところでチープな部品が使われていたという事実も大きいですけど)

2020年末に発売された後期型G-Exectiveでは、黒木からブラウンのマホガニー(推測)へ、杢目から柾目へとより木らしいテクスチャ―に変更されました。前期型のデザインが受け入れられなかったため、豪華さを分かりやすくアピールする方向に変更したのだろうと思います。
オーソドックスなブラウンの色調と柾目になったことで、前期型G-Exectiveのシンプル&エモーションというコンセプトからはやや遠ざかり、かつてクラウンのラグジュアリー志向(つまり『豪華で煌びやかなもの』)へ回帰したように感じました。


後期型の本杢調(クラウンカタログより転載)

個人的には前期型の硬質でシャープな方向性が好みですが、前期型のデザインは中途半端なところがありました。前期型では本杢調を徹底できず、ピアノブラックのパネル(ドアスイッチパネルやダッシュボード)がいくつか残っていることや、レザーとのマッチングなど、やや消化不良の感があったからです。
黒木本杢調パネルを使いこなす上での経験があまりなかったのかもしれませんし、コストや調達できる数量に制約があったのかもしれません。
後期型では各パーツへの本杢調の展開がより増えており、手慣れたデザインに戻ったこともあってか、ラグジュアリー性を高める方向でそつなくまとめられていると思います。

なお、前期型がシンプル&エモーションというコンセプトの中で、黒木の杢(もく)という比較的珍しい素材を選んだのは、おそらく工業製品でありながら、工業製品にはない特別な何かを表現したかったのだろうと思います。
例えば、ダマスカス鋼のナイフに現れる模様とブラックウォールナットの杢はイメージ的に似通ったところがあります。ダマスカス鋼の模様が持つ、硬質なシャープさ、深み、力強さなどに近いイメージを、黒木の杢に託して、新イメージとしてクラウンに取り込みたかったのかもしれません。

2017年のレクサスRC350の特別仕様車で採用された墨本杢調、2020年のレクサスRCの特別仕様車エモーショナルアッシュで採用された銀墨本杢調は、前期型G-Exective(2018年)の黒木本杢調のイメージをより先鋭化した表現形なのだろうと感じています。
墨本杢調、銀墨本杢調は古くからある本杢調に新しい息吹を吹き込んだ斬新なデザインだと思います。
いつかクラウンにも使われる日が来るのでしょうか。
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Posted at 2022/03/13 11:47:33

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