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2022年12月24日

BMW M440i xDrive グランクーペのレビュー(後編)

BMW M440i xDrive グランクーペのレビュー(後編) M440i xDrive グランクーペのレビュー(前編)からの続きです。

[ハンドリング]
ステアリングホイールにはナッパレザーが使われており、質感が高く、よく手に馴染みます。径が太く、手が小さい人は少し握りづらいかもしれません。
M440iのステアリングは以前試乗した420i M Sportと同様にやや重いです。遊びは小さめでダイレクト感が高く、少し動かすだけで方向を変え始めます。
ステアリングのダイレクト感とステアリングの切り始めからボディが反応するまでのクイックさ(タイムラグの少なさ)は、さすがBMWという印象があります。220クラウンよりも車体が軽く小さいこと、高剛性のシャシー、19インチホールの採用、ハブボルト締結等の総合的な効果の結果なのでしょう。
ステアリングのダイレクト感は両車ともに高いですが、操作感はM440iの方が重いです。
ステアリングの重さを以前に試乗したIS300と比べると、IS300 << 220クラウン < M440iという感じに重くなっていきます。IS300は極端に軽かったですが、M440iは220クラウンよりは明確に重さを感じる程度には重いです。
ステアリングの重さは、高速域向けのセッティングなのかと思っていましたが、バリアブルスポーツステアリングが付いているので、BMWの個性(味付け)なんでしょうね。


[xDrive]
M440iは、通常はリア駆動で動きますが、後輪のトラクションが不足したときなどに前輪にもトルクを配分する駆動システムを備えています。このAWDのシステムをxDriveと言います。
慣らし中でおとなしく走っているので、残念ながら、まだxDriveの効果を感じるようなシチュエーションには遭遇していません。


[エンジン・変速機]
エンジンについては、1900rpmで500Nmのトルクを出す非常にパワフルかつスムーズな直列6気筒エンジンが搭載されています。
高速道路でも流れに乗って巡航するだけなら、2000回転以上回すことはあまりないと思います。
低回転ではエンジン振動はほとんど感じません。シルキーシックスと呼ばれるだけのことはあるたいへん上質なエンジンだと思いました。
パワーに関しては、220クラウンのV6 3.5Lはマルチステージハイブリッドの制御に制約があるようで、高速道路で巡航状態からアクセルを踏み込むと、シフトダウンするまでに1~2秒のタイムラグが生じる問題がありました。このため、フル加速したいときはパドルシフトで2速ほど落としてから、アクセルを踏み込んでいました。このやり方でもあっという間に150km/hを超えるので、フルアクセルで走ることは滅多になかったです。
M440iの8速ATは巡航状態からでももっと素直にタイムラグなくシフトダウンしてくれます。フル加速のパワー感については、慣らし中なので別の機会にレビューしたいと思います。
変速フィールに関しては、M440iの方がストレスがなく気持ちがよいです。
トヨタのハイブリッドシステムの優秀さは世界が認めるところですが、ことスポーツ性に関してはたいへん大きな足枷になっているのではないかとあらためて感じました。


[ブレーキ]
ブレーキは、420i M Sportに試乗したときはカックンブレーキ気味になるのが少し気になったのですが、M440iではMスポーツブレーキという対向4ピストンキャリパー(フロント)&大型ローターにアップグレードされていました。
Mスポーツブレーキのキャリパーは青(または赤)に塗装されてるので外観から区別できます。
420iでは止まる間際あたりでの制動力のコントロールがシビアでカックンになりがちだったのが、いくぶんコントロールしやすくなっているように感じました。ただし、ハイブリッド車の感覚で無造作にブレーキを踏むと、強力なストッピングパワーに慌てることになります。
ハイブリッド車では軽くブレーキを踏むと、エネルギー回生システムのジェネレータを回すので、エンジンブレーキのように緩やかにブレーキが効き始めますが、M440iのブレーキはソリッド感が高く、急峻にブレーキが効き始めます。
長らくハイブリッド車に乗っていたので、ソリッド感のあるブレーキフィールを持った車に乗るのは、本当にひさしぶりです。
硬質なブレーキフィールなので、同乗者がいるときは丁寧な操作が必要ですね。


[サスペンション]
乗り心地は、ダンパーの減衰力を電子制御するアダプティブMサスペンションのおかげか、コンフォートモードでは、しなやかで、段差でもさほど突き上げを感じることなく、上手くいなしてくれます。
19インチのランフラットタイヤ(ピレリ P ZERO RUN FLAT、前245/40、後255/40、前後異サイズ)を履いていますが、ランフラットのゴツゴツ感はほとんど感じないです。
ランフラットタイヤにうまく合ったサスのチューニングがされているようで、ランフラットを長く経験してきたBMWならではの足回りだと思いました。
最近のタイヤは滅多にパンクしないとはいえ、ランフラットタイヤなら、パンクしても80km/hで80kmまで走れるので、安心感が大きいです。
ワインディングロードを走ると、ラグジュアリーというには少し硬めですが、しなやかにしっかりと踏ん張ってくれ、安心感があります。
ストラット型式のサスということで、少し懸念していましたが、優秀なサスだと思います。
220クラウンG-exeにはAVS(電子制御サスペンション)が装備されておらず(RS仕様には有り)、ハードな走りをするには少し柔らか過ぎたのですが、M440iのアダプティブMサスペンションはスポーティな走りも安心して楽しめます。
ただ、220クラウンのサスと比べると、ドライバーの目線の動きが大きいように感じました。220クラウンは路面の凹凸による前後動、上下動、左右動に対する「低速から高速まで目線が動かない安定した走りを開発時のテーマのひとつに掲げていたそうです。このため、120km/hで走っても80km/hくらいの速度感しか感じない、素晴らしい安定性がありました。
前後サスにおごられた豪華なマルチリンクサスと高剛性シャシーが大きな役割を果たしていたと思います。目線の動かない安定したコンフォートな走りに関しては、220クラウンの方がM440iよりも、一枚上手だったと思います。

少し余談です。
220クラウンには直4の2.0Lターボモデルが存在しますが、ハイブリッドなしのV6 3.5LのNAもしくはターボモデルがあれば、BMWの牙城に少しは喰い込めていたかもしれないと思います。足回りとシャシーは出色の出来でしたから。
新型クラウンでFRスポーツセダンの系譜が途絶えたのは、個人的には本当に惜しいと思います。


[自動運転支援機能]
M440iに乗って驚いたのが、自動運転支援機能の優秀さです。
アダプティブクルーズコントロール(ACC)をセットしておけば、同一車線内の走行であれば、ステアリングに手を軽く添えている(ハンドレスト)だけで、かなり安心して運転を任せられます。
60km以下の渋滞時はハンズオフも可能ですし、自動で発進&停止してくれるので、とても楽ちんです。
白線の消えかけた道路でもちゃんと車線中央をキープしてくれます。
また、車線を逸脱したときにステアリングが細かく振動して伝える方法はとても自然な感覚で、さらに逸脱がひどくなれば、ステアリング操作にシステムが介入してきます。
使い勝手も直感的にわかりやすかったです。
M440iは220クラウンより3年ほど開発が新しい車なので単純な比較は公平ではありませんが、自動運転支援機能はM440iの方が数段上だと思いました。信頼性(動作の確実性)や使い勝手でレベルが違います。新型のクラウンクロスオーバーの試乗では、自動運転支援機能までさわれなかったので、トヨタの最新の運転支援機能との比較は不明です。
日産のプロパイロット2.0と比較すると、プロパイロット2.0の方が機能的には豊富ですが、制限速度+10km以上出せないという制約はないので、せっかちな人(飛ばす人)の場合、BMW方式がストレスが少ないと思います。


[ウィークポイント]
おもに長所を多く書いたので、M440iの短所についてもふれておきます。

一つ目は、最小回転半径の大きさです。
最小回転半径が5.7mと220クラウンの5.5mよりも大きく、小回りがあまり利きません。
普通の駐車場でも切り返しをすることがあり、全長の長い220クラウンの方が楽でした。
わが家の駐車場の場合、右180度ターンで出ることが多いのですが、220クラウンは余裕がありましたが、M440iはほとんどギリギリという感じです。スペック上の差は20cmですが、体感的には30~40cmほど差があるように感じます。最小回転半径 5.7mというのは、18インチタイヤ使用時の値ではないでしょうか。実際はもっと大きいと思います。

二つ目は、ルームミラーの後方視界の悪さです。
スタイリッシュなリアデザインのため、後方視界が犠牲になっています。雨がふれば、ほとんど見えません。
ちなみに220クラウンでは雨の日は、デジタルインナーミラー(オプション)に切り替えて使っていました。

三つ目は純正パーツが激高なことです。
なぜこんなに高いの?と思うほど高いです。感覚的にはトヨタ車の1.5~3倍くらい高いです。
グレードの高いパーツであるのはわかりますが・・

四つ目はiDriveの使い勝手の悪さです。
iDriveは元々左ハンドル用に開発されたデバイスだと思います。
右手が利き手の人は人口の約90%いるそうです。
左ハンドルの場合、iDriveを右手で使えるのですが、右ハンドルの場合、左手で使うことになります。
左手での操作はちょっと面倒です。特にiDrive中央のタッチパッドで文字入力する場合など、ほとんど使いものになりません。
ただ他メーカーの入力デバイスも似たり寄ったりなので、BMWだけの問題ではないですが。

五つ目は燃費の悪さです。
純ガソリン車のスポーツセダンに乗るということは、燃費の悪さを考慮の上購入したと思いますので、欠点というより個性とみなした方が良いのかもしれませんね。


[余談1.ランフラットタイヤの種類]
M440iのクーペモデルのwebCGのレビュー記事では、乗り心地が硬いと評されていました。
レビュー車のタイヤはブリジストン トランザT005 RFTだったそうです。
タイヤメーカーによってサイドウォールの硬さに違いがあるのかもしれません。
なお、スマホの中古車アプリでM440iグランクーペのタイヤ写真を何台かチェックしたところ。19インチタイヤにはピレリとハンコックを履いていましたが、ブリジストンを履いている車は見つからなかったです。(オプションの20インチホイールを履いている車でブリジストンのものが1台ありました)


[余談2.欧州仕様と日本仕様の違い]
欧州仕様と日本仕様の違いについて少し調べてみました。
M440iの欧州仕様は48Vのマイルドハイブリッドシステムが搭載されています。
スタータージェネレータがハイブリッド用モーターと兼用になっており、374PSのエンジンの出力に加えて11PSのパワーを持つ駆動用モーターとして利用できるそうです(システム出力で385PSとなる)。
一方、日本仕様ではスタータージェネレータ周りが変更されており、駆動用のモーターとしては利用できませんが、排ガス規制が緩やかな分エンジン出力が387PSにアップしています。
このため、システム出力は差し引き2PS分ヨーロッパ仕様から高くなっています。
マイルドハイブリッドという技術自体、省燃費というより、欧州の厳しい環境規制(特に排気ガス)に対するものであったのかもしれません。
中途半端なマイルドハイブリッドを搭載するよりも、純エンジン車とした判断は潔いと思います。


[最後に]
いろいろ欠点もありますが、その欠点を許せるだけの大きな魅力のある車だと思います。
大型キドニーグリルに抵抗のある方は、実車をよく見たら考えが変わるかもしれません。
押し出しの強さとエレガントさを絶妙に両立させた、素晴らしいデザインだと思います。
慣らしが終わったら、もう一度レビューを書いてみたいです。
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Posted at 2022/12/24 11:44:02

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