久しぶりに震災関係のニュースを見ています。
原発事故についての見解・見通しについては、やはり大前研一さんのライブがわかりやすいですね。
断片的な情報を統合して、全体像を概観しながら今後の対策にまで言及されています。
また、計画停電に対する代替案の提示も明快です。
「ピークカット」という言葉は、結構なじみがある方も多いはず。
自粛ムードに伴う闇雲な節約が、実はあまり役に立たないことを説明されています。
長時間に及ぶ動画ですが、一度ご覧になることをお勧めします。
大前研一ライブ「福島第一原発「現状と今後とるべき対応策」2011.03.27
大前研一ライブ「地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後 修正版」2011.03.19
ライブの日付順に並べていませんが、時間のない方は3月27日分だけでも十分役に立つと思います。現地からのつらいニュースに心を痛めるのは自然なことですが、敢えて全体像に目を配る氏の観点は私も学びたいところです。
さて、上記ライブで提言されている「計画停電に対する代替案」の一部を、オールジャパンで実施し始めている業界があるようです。
それは日本の自動車メーカー業界。
少し長文になりますが、こちらは記事を引用したいと思います。
以下、引用です。
日ごろのライバルが手を組む 自動車業界「オールジャパン」で復旧
東北関東大震災により、自動車業界の生産停滞が続いている。しかし、一歩一歩、復旧に向けた動きも着実に進んでいるのも確か。日ごろのライバル同士が「オールジャパン」の旗のもと、結束して危機を乗り越えようとしている。
多くのメーカーがひしめくように見える日本の自動車業界だが、乗用車の完成車メーカー8社の提携関係をつぶさに見ればトヨタ自動車、日産自動車、ホンダの3社グループに集約できる。
3社のトップが「ホットライン」で結ばれる
トヨタグループには資本関係のあるダイハツ工業、富士重工業。日産グループは資本関係こそないが、最近の矢継ぎ早のOEM(相手先ブランドによる生産)提携を見れば三菱自動車、マツダ、スズキが緩やかながら一体感がある。そして、ホンダだけは独立独歩を続けている。
つまりトヨタ、日産、ホンダの「日本版ビッグ3」が手を組めば「オールジャパン」になるのだが、震災発生直後から、この3社のトップが「ホットライン」(日産の志賀俊之最高執行責任者)で結ばれ、頻繁に電話で連絡をとりあっているというのだ。
最大の課題は被災した部品メーカーの支援。3社は、直接取引する「1次」と呼ばれるメーカーを中心に、場合によっては1次の下請けにあたる2次、3次メーカーについても、復旧状況について情報を共有することを確認している。
3社の間で確認されていることの一つには、「再開を急がない」こともある。これは「トヨタが」と付け加えてもいいようだ。というのも実際、被災状況から見てトヨタより東日本の「生産拠点密度」の高いホンダや日産、とりわけホンダが大変なのは明らかだ。トヨタが「うちは安全」と言って再開を急げば、取引先部品メーカーに圧力をかけることにつながりかねない。まずは日本全体の1~3次、あるいはその先まですそ野の広い部品メーカーの復旧を最優先させることにしたのだ。
夏の計画停電への対応にも協力して取り組む予定
トヨタの国内主力工場と部品メーカーは愛知県に多く集結しているから、少なくとも一部再開は震災発生後早期に可能だったと見られるが、トヨタが2011年3月26日まで一貫して全面停止し続けたのには、このような背景があった。
その後、トヨタは世界的に需要の高いハイブリッド車のプリウスと、レクサスにしぼって、3月28日から愛知県堤工場(プリウス)とトヨタ自動車九州・宮田工場(レクサス)の稼働を開始したが、部品の調達状況に応じて再休止する可能性もあるとしている。
「再開を急がなかった」事実をあるトヨタ幹部は認めた上で、「トヨタが生産を止めているから、安心して部品メーカーを含め各社が止められた」と振り返った。
自動車業界は次に、夏に向けた計画停電への対応にも協力して取り組もうとしている。各社の工場を曜日ごとに輪番で動かすことで、計画停電を回避しようとの構想が浮上している。自動車業界では工場によっては3時間の停電でも、前後の準備や保全に時間がかかり、計9時間の生産停止を招く可能性がある。関東各地で連日「9時間停止」の事態が起きれば、減産などの影響は計り知れない。
今は高額消費の自粛ムードで新車販売が落ち込むのは避けられないが、時を経て「復興需要」も出てくはずで、これに向けて生産停滞を避けるためにも、自動車業界が結束して取り組む姿勢をアピールし、計画停電の長期化・拡大を回避したい考えだ。
引用終わり。
私は計画停電の混乱をニュースで聞いたときから、メーカーの海外移転が加速すると想像しましたが、すぐに海外移転を実行できない自動車メーカーは、「ピークカット」に対する効果的な手段を実施に移すようです。
また今回のトヨタの判断は、広大な裾野を持つ広い意味での自動車業界の保全を図ったものであろうと想像します。それが純粋に経営的な判断であったとしても、現時点では高く評価されるものだと思います。
同様の対策を日本全体で出来ないものでしょうか。
多少不便にはなるかも知れませんが、日本全体で輪番営業が出来れば、すべての地域でピークカットが実現できます。新規の原発設置も延期もしくは不要に出来ますし、CO2排出削減にも役に立つ。
戦後最悪の災害の教訓は、速やかに対策として実行に移してほしいと切に思います。
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Posted at
2011/04/03 12:57:02