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大学3年からスキーを始めた。
別の大学に進学した友達の部屋に遊びに行った時、ボロボロなFischerの板が転がってて。
え、スキーなんかしてんの?
「先輩からもらって、適当にやってる。自分も新しい板を買うから、欲しいならやるで」
タダならなんでも貰っちゃうタチなので、二つ返事でいただくことにした。
それから少しずつ滑りに行くようになり、ようやく足がそろい始めるころ、卒業旅行で北海道にでも行きたいな、と。
旅行パンフレットにはビッグゲレンデが並んでいた。
ニセコ、ルスツ、キロロ 、トマム。
あとは札幌国際とかサホロ、マウントレースイ、テイネハイランドとオリンピア、そんな感じだったかな。
同行者はボクに輪をかけたような初心者だったし、そのレベルでも長いコースを堪能できるようなゲレンデはどこかな?
ということで、キロロを選んだ。ゴンドラの山頂から緑色のコースがなが〜く続いているのが、とっても安心できた。

キロロのコースマップ。昔と変わらないように見える。
長峰エリアは25度一枚バーンだったか、おっかなびっくりずり落ちてきたよな。
朝里エリアのペアリフト、乗ったなぁ。小さなリフトにフードとフットレストバーが付いてるのは、北海道有数の豪雪地帯だからか!
まわりを囲む黒線で表された上級コース、こんなおっそろしいところ、誰が滑るねん!ってビビったことも思い出した。
さあ、25年を経て、どう感じるんだろうか。

キロロの開発は、ヤマハグループ。
ヤマハは脱落してしまったが、バブル当時の高級スキーリゾートを地で行く華やかさは健在。
手に入れたクラブメッドは、いい買い物をしたと思う。
マウンテンセンターと呼ばれるセンターハウスも立派。

高鷲エリア的なヤンチャな客ばかりなら違和感が大きいだろうが、海外からの連泊客も多いので、余裕のある雰囲気があって悪くない。

マウンテンセンターと繋がるクラブメッドのホテルを望む。
ルームキーがないと自動ドアが開かない。

ここもリフト券が高いなぁ。
特筆は、2日券、3日券の価格。経済原理を無視したタコ焼き方式。(個数比例方式)
ゲレンデに出て周りを見渡すと建物やリフト乗り場が散見されるが、どこがのどのリフト乗り場、ゴンドラ乗り場か分からない。
25年前の記憶はまるで残っていない。
そうだなまずは、おっかなびっくりずり落ちた長峰エリアの25度斜面を確かめてみようか。

N2リフトの両脇に25度の質の良い整地と圧雪の入らない斜面を従えるが、この日はさすがに混雑気味だったので飛ばすことはできない。
とはいえ北の軽い雪質なので、板のエッジで雪面の荒れを切り裂いて滑るのが容易だ。
しつこいが、かつてはこわごわとハの字でずり落ちた斜面だったが、こんなに縦向きに落ちていけるようになった自分の成長を確認できた。
同じように、かつての自分を割としっかり記憶しているコースは他にもあって、志賀高原の熊の湯3Aリフト直下、最上部の滑り出し。
公称32度の急斜面はおそらく数値通りで、エイッと飛び込む勇気はさながらバンジー。
本来なら長峰の25度を何度も滑りたいところだったが、混み具合や全面を確かめたいはやる気持ちに押され、各コースを1度ずつ舐めてゴンドラに向かう。

長峰に向かう途中からは、初心者や子どもたちが安心して滑られる緑色のコースだ。
こんなトンネルって、楽しいよね。

混雑するゴンドラは15分で山頂に到着。
1時間で3周ってとこか。

ゴンドラの山頂駅を出ると

ああ、こんなのあった気がするなぁ。
時々鐘が鳴っている。
そして、その奥には無慈悲な黒い上級者コースの表示だ。
もう、逃げられない。キロロ 随一のハードバーンが並ぶ朝里エリアへ行くぞ。

黒よりも危険度の高い表示は、イエローなようだ。
オレ、もしかしてエキスパート??
行くぜ!

いかがですか?
スキーに馴染みのない方にとっても、かなりの急斜面に見えるのでは?
間違ってもソリなんかでコースインしてはならない。
本州とは段違いな雪質のおかげで、板が引っかかることもなく、柔らかく受け止めてもらえる。
ボクレベルでもなんとかなる、という印象の斜面だ。
でも、とてもじゃないが、一気に滑り降りるなんてことは無理で、数十mずつ降りては息を整え、また少し降りる、といった滑り方になる。
そんなボクの脇を一気に滑降していくエキスパートがたまにいるのが、北海道クオリティーかも知れない。

37度の堂々たる朝里の壁。
このリフト周りの3本の急斜面を撫でるように滑り降りて、他のエリアに移動しよう。

ゴンドラ山頂駅のすぐ隣に降り立って、初中級コースが入り混じるメインストリームを快適に飛ばしていく。
さすがに広いスキー場なので、客は適当に分散していて滑りやすい。

途中、四つ股、いや五つ股に分かれた案内表示。
スマホのGPSマップと見比べながら、まだ滑っていないコースを選ぶ。
探検的な楽しさだ。
コース設定のせいで、全コースを細やかに塗りつぶしていくには何度もゴンドラに乗らなければならないので、案外時間を食われた。
15時に改札終了となるゴンドラ乗り場に滑り込みセーフ!
ゴンドラ最終案内、ボクの後ろには3組だけ。

今日もブリザード のクワトロRSでかっ飛ばしたが、やはり客が多いのでスピードチャレンジは無し。

結果、ごくわずかな連絡コースを取り残したが、基本的には全コース制覇と考えていいよね。
思っていたより広いスキー場だったなぁ。
かつては緩斜面だけのコースバリエーションしか滑られず、限られた印象しか残っていなかった。
比べて、今回のようにどこでも滑られるのなら、かなり滑りごたえのあるスキー場だと感じられたのだった。
本日は10:30からのエントリーだったが、yukiyamaアプリによると300人あまりの中で

滑走距離は2位。
なんだか惜しいことばかりしている。早起きしなきゃいけないということだ。
さて、苫小牧港に向かうぞ。
22時ごろまでに受付けを済ませないといけないところ、日本海の寒気による荒天につき、フェリーの入港が遅れているらしく、とりあえず23:30に間に合えばいい。
混雑する小樽ー札幌経由ではなく、倶知安ー支笏湖南岸経由で向かいましょう。
途中、道の駅あかいがわにてトイレ休憩。
そこにいた石焼き芋屋さんのに「おいしいよ〜、見ていって」の声に立ち止まる。
ご店主はボクの神戸ナンバーを見て、「実は大阪からこっちに移住して農業やってますねん」とのこと。
お互い、関西弁が飛び出してきてホッとする。
焼き芋、美味しかったですよ。それに、安くされていたし。
見かけたら食べてみられたし。