
私が小学生の頃、実家では猫を飼っていた。白いオス猫だ。
その前には母猫も飼っていたのだが、車にひかれて亡くなってしまい、この子は我が家にとって二代目の猫だった。
今からもう50年も前の、田舎での話である。猫は完全に放し飼いだった。裏口には猫が出入りできる小さな隙間があり、戸が閉まっていても、そこから自由に出入りしていたものだ。庭の横には畑があり、どうやらそこで用を足していたらしい。
初代の猫はメスだったこともあってか、家にいる時間が長かった。近所でも可愛がられていたようで、あるとき近くのおばさんから「よく遊びに来てるよ」と聞かされたことがある。
一方、二代目の白いオス猫はというと、ほとんど家にいなかった。帰ってくるのは、食べるか寝るかのときくらいで、あとはどこへいるのか全くわからなかった。
ある日、田んぼの真ん中にその猫がいるのを見つけたことがある。家から直線距離で500メートルほど離れた場所だった。子ども心に、「こんな遠くまで来ているんだなあ」と妙に感心したのを覚えている。
――そんな昔のことを、最近ふと思い出すようになった。
先日、いつもの医者との定期面談で、体重が増えていることを厳しく指摘された。
「もっと真面目にメタボ対策に取り組んでください」と、あきれ顔で言われてしまった。
それ以来、「1日8000歩以上歩く」という目標を決め、ウォーキングに励んでいる。私の場合、Googleのアプリの記録を信じると、8000歩で約6.4km程度(1歩で約80cm)になるようだ。
そのせいで、「家から歩いてどこそこまで行って折り返している」といった話を会社ですると、「え、そんな遠くまで徒歩で行くんですか?」と驚かれることがある。
けれど、そんな反応を聞くたびに思い出すのだ。あの白いオス猫のことを。
あの頃のあいつに比べれば、まだまだ大した距離を歩いてないのではないかと。。。
Posted at 2026/06/29 15:36:23 | |
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