
余りにも印象的だったティレルP34。
他チームでも、ここぞとばかり開発が進み、
リアタイヤを、
フロントタイヤと同サイズの物に変更し、
装着することで駆動輪の接地面積の増大と、
空気抵抗の減少を狙った方式を採った6輪車が、
複数テストされたんです。
駆動輪は1軸、タイヤを並列配置にしたフェラーリ(312T2を改造)、
駆動輪を2軸にしたマーチ (2-4-0) 、
ウィリアムズ (FW07D, FW08B) が開発を行ってたんですが、
いずれも実戦には登場しませんでした。
ウィリアムズは実戦使用を目指してテストを行っていたんですが、
1982年のジル・ビルニューブの死亡事故による、
コーリンチャップマン開発の※地面効果(グラウンド・エフェクト・カー)の禁止や、
レギュレーションの変更も有り、1983年の車両規定改正で、
「車輪は4輪まで」と明文化され、6輪車は禁止されました。
リア6輪車は本番で日の目を見る事無く、テストするマーチの画像が残ってる位で、
過去の遺物として34年も昔に葬られました。
しかしティレル6輪車は、他に例を見ない設計であることや関連商品も多く発売されたため、
F1マシンとしての6輪車時代に存在した知名度は高く、
僕も忘れられないF1の1台と思います。
ニュルブルックリンクの旧コースを駆けるオンボードも忘れ難いし、
小学生ながら当時プラモデルも作ってました!
確かプラモデルの箱にも「タイレルフォード」と書かれてたと記憶してます。
※地面効果(グラウンド・エフェクト・カー)
チャップマンは航空力学をF1カーのデザインに導入し、
車体の前後に翼(ウイング)を取り付けることで、ダウンフォースの概念を広く普及させました。
最初は「きれいな空気」(車自体によって乱されていないという意味で)を受けられるよう、
車体の3ftほど上にウイングを取り付けました。
しかし細い支柱はしばしば壊れてしまい、国際自動車連盟(FIA)は、
ウイングを車体に直接取り付けるよう義務付けさせました。
チャップマンはラジエータを車の先頭からどかせることで、
車体前面を小さくし空気抵抗を減少させる方法を初めて採用しました。
これらの概念もやはり現代の高性能レーシングカーでは基本仕様と言えます。
そして地面効果(グラウンド・エフェクト・カー)をロータス・78でF1に導入。
最初は低圧部分を隔離するための動く「スカート」を取り付けていました。
チャップマンが次に開発したのは、ウイングを廃して高速時の空気抵抗を減少させ、
全てのダウンフォースを地面効果のみから獲得するマシンでした。
しかし、スカートはコーナリング時に破損することがあり、
その場合にダウンフォースが失われて車体が不安定になることから、
可動式スカートは最終的に禁止されました。
これはジル・ビルニューブの死がきっかけで、危険とみなされた結果です。
技術進歩の裏には、こういった犠牲から得るものも有ります。
かねてからグランドエフェクトは危険と言われてた最中での事故でした。
FIAはフラットボトム(ベンチュリ形状を排除するための平坦な車体下面)を義務付けたり、
車体下面の最低地上高を大きく取るなど、
地面効果を減少させる手段を講じました。
(もちろん、デザイナーたちは、
風洞実験を通じて失われたダウンフォースを回復すべく努力しました)。
リアの6輪車、結局1度も日の目を見る事無く、歴史の彼方に葬られてしまってと書きましたが、
テスト結果として、成果が得られなかったのかもしれません。
空気抵抗を受ける前輪の小径化は何となく理解出来るんですが、
リアを小さくする事は単純にグリップダウンが大きいのでは?と思われます。
踏ん張りが効く大径のタイヤの方が、マシンを支えてる気がしますね。