ここにきて「ほぼ」毎日更新中。
アタシ頑張っているよ(爆)
さて構法について学んだことの続きです。
※これは個人の感想です・・・って書いておかないと営業妨害とか言われると嫌なので(^_^;
RC造は,現に沢山の歴史的大型建築物が残っていますから,強度も耐久性も高い建築法だと思います。一方で,現場で鉄筋やコンクリート施工をしますから,現場の施工品質が大変重要と思いました。それに重量物になるので地盤改良をしっかりしないとなりませんね。全体の予算が跳ね上がることは容易に想像できましたので,RC造は選択から外しました。
消去法ではないけれども,結局,木造が良いよねと言うのが結論です。あとはパネル構法か軸組構法かってところです。つか,木造は研究しましたが他の構法は大して勉強しませんでした(^_^;
実際のところ構法を選ぶというのは,ハウスメーカーを選ぶということね。ごく一部のハウスメーカーを除いて,単一の構法を採用しているのが一般的でしたから。
というわけで,ここからはハウスメーカーの評価と構法とのバランス勝負になってきました。実は,ハウスメーカーを選ぶ過程で読んだ本が2冊あります。ネコパブのガレージハウス系のムック本は除外ですよ(^_^)
1)
「木組」でつくる日本の家―むかしといまを未来につなぐ家づくり(松井郁夫)
2)
住宅は骨と皮とマシンからできている(野沢正光)
前者は伝統の日本建築についての情報,後者は建築家が何を考えて家造りをするのかという情報でした。後者は鉄骨構法を選択していましたが,なるほど「どういう土地に,どういう人生を作るか」を起点に構法やデザインを起こしていく考え方はとても参考になりました。ただまぁ,理想はどうでアレ,現実は違うって事も分かりましたけどね(^_^)
1)を読みながら私も納得したのですが,何も天地災害は今に始まったことではなく,日本という国そのものであるということです。その中で,祖先は柔構造で災害と折り合ってきたけど,今は剛構造で災害をはねのけようとしている,ということを理解しました。
確かにハウスメーカーに行くと構法によらず
1)耐震構造・設計
2)高気密・高断熱
の2点をセットで訴求してきますね。それは理解できたのですが,先ほどの柔構造という考え方は今の住宅建築ではタブーなのだろうか,と感じてしまったのです。建築基準法らしいのですが詳細は知りません。
構造計算をしてます!と訴求するハウスメーカーもありましたが,so what?という思いは今でも残っています。計算は大事かもしれませんが,それと同じくらい大事なのは施工品質だと私は信じて疑わないんですけど???
つうわけで,木造で検討を進めました。
木造って初めて知ったのですが,現代の木造建築は木の摩擦で強度を確保をしているのではなく,点接触による強度確保で設計するんですね。例えば柱と梁とは面接触ではなくて,点接触。しかも実際は金物が荷重を受け止めていることを知ったときは驚きました。梁に荷重がかかると,梁は中心部がしなるので,柱との接合部では密着ではなく離れる方向に運動するだそうです。だから接合部では面接触による摩擦は生じず,梁の動きを金物で規制して荷重を柱に受け渡すんだそうです。
この点で施工品質を考えると梁,柱,筋交いの寸法精度の誤差を金物が受け止めると理解しました。木造軸組はプレカットが進んでいますし,木質パネルは工場でパネルまで立ち上げて現場に持ち込みますから,いずれの構法でも品質に大差はなさそうだと思いました。
ただまぁ,現実には軸組では現場での金物を正しく設置し締結するかという点が重要ですし,木質パネルでも現場でパネルの適切な締結が品質管理で重要かと思います。パネルと枠を接着するか,あるいは釘打ちするかの違いはありますが,理屈から言えば接着の方が摩擦力を高く発揮するはずなので高強度になると思いました。釘打ちの場合は釘,釘の本数,釘打ちの間隔が肝要かと。剛性だけを気にするなら,箱形にすれば良いわけで,そう考えると窓のない6面体にすれば良いわけですが,それじゃ住宅にならないっしょー。
屋根は野地板が風で吹き飛ばないように金物で抑えているそうですね。昔は瓦の荷重で地面方向に押さえつけてきましたが,今は瓦を使わなかったり,瓦自身が軽量化されているそうで。住宅も車と同じで,軽量の方がよろしいそうですわ。
あと,木は含水率を下げていくと剛体に変化していくそうで,これは建築後の品質維持の重要なキーワードになりました。メンテナンスは住宅メーカーだけではなくて,もともとレスメンテナンスな建築をめざすことにしました。日本建築は,腐るところ,腐らないところを使い分けでいて(建材でもね),そこをメンテナンスすることで長期間にわたり維持できる考え方だそうですね。それと「崩せる構造」だそうで,これは目から鱗が落ちました。崩せる=移設できるという考え方は,台風や地震などで建物が壊れても直しやすいといえますし,建材を何世代にもわたり使う事ができるという事だと思います。ああなるほど,だから古民家再生とか古民家移設とかできるんだーと理解しました。私のガレージハウスが古民家で作るわけではありませんが,ハウスメーカーにお題を振ってみようと思っています。同じヤルならトコトン!!
木質パネル構法は限られた会社しか採用していませんので,あまり書くとばれてしまいそうです(^_^)
木質パネル構法って言いますが,子細に見ると色々な種類がありますね。2×4に近い考え方のメーカーもあれば,軸組とパネルの両構法を組み合わせた会社もあり。人間のアイデアは尽きることのない泉だと,改めて感心しました。ただ,パネルで受けた力をちゃんと基礎に流していくのがパネル構法の極意だと思いますので,パネルを枠,または柱にしっかりと接触させることが肝要だと思いました。
施工品質では安定した品質を確保できると理解しました。「工業化住宅」という言葉が象徴してます。住宅は工業ではないんだ???工業じゃなければ何なんだ,と思いますが?
いずれにしても費用面を含めて検討に残した構法の一つでした。ただ,企業規模が大きいのはネックで,どうも企業側の顔が見えないなと,不安が拭えませんでした。
もう一つは木造軸組です。
これは数多に会社があるので,選び方がもっとシビアになります。特に施工品質に依存するところが最も多いと思いますので,波長が合う営業だけではなく,施工品質をちゃんと管理でき,場合によっては都度,施主が確認できるような仕組みを持っている会社を求めました。自然と大手よりも中堅以下に目が行きます。社員大工が良いとか,そういう考え方は人それぞれなので何とも言えませんが,私は社員か,下請けかには気にしていません。大事なことは信頼関係を構築できるかどうか,だからです。下請けの方が緊張感ある仕事をするとも言えますし,社員大工だから安定した仕事ができるとも言えるわけで,どっちもどっちですな。
かといって,地元の工務店レベルになると企業としての与信が気になります。そこら辺は,支払条件など見ながら判断していきました。
最終的に軸組と木質パネルで家族会議です。グランドデザインはどの会社でも成る程と思わせる内容で,見積もり仕様が同一ではないので比較検討に苦労しました。それでも大体同じ仕様でお願いしましたので,価格面での比較はしやすかったかと思います。
あとは営業との相性。企業の信頼性,将来の負担想定,支払条件・・・などなどの項目を洗い出して評価点を作って評価分析しました。プライオリティは,点数の増減で調整しました。
結果,木造軸組で作ることにしました。正直,木造軸組は他の構法に比較してリスクが高いと感じています。木材そのものの品質(木材種,含水率,集成材品質など),プレカット品質,金物品質,組み上げ品質・・・あらゆる工程で厳しい品質管理をしないとだめよね,と感じています。もっとも,これを信頼できないハウスメーカーだったら,そもそも選択できないわけですから,それらを含めて信頼に値するということです。施主としてチェックできる点は,プレカットや建築時くらいでしょうか?
選んだハウスメーカーは中堅クラスの,いわば地域ハウスメーカーって奴です。全くの偶然で社長さんと面談する時間が得られ,企業姿勢や経営理念,人柄を知る事ができたのは,私にとって非常に大きな加点材料でした。また営業さんとの波長も合いましたし,周辺スタッフもよさそうでした。
BtoCビジネスでは常識でしょうけど,企業にとって顧客は沢山ですが,顧客にとって企業は一つです。企業はカタチが合ってないようなモノですから,営業さんは常に企業を代表して対処しなきゃ,ならないんですよね。そこんとこを,今回は良く知ることができました。
住宅建築というのは,すでに確立された産業ではなくて,今も進化と変化を続けている産業だと理解できました。実家と私が建てるガレージハウスの間には40年近い差があり,その間に住宅建築は大幅に進化したようです。同様に今後40年でやはり進化するのでしょう。だからどの構法,どのハウスメーカーがベスト,ということはありませんでした。どこかにこだわるならば,どこかに妥協する。オールマイティーな車が面白くないのと一緒で,どこかに特徴を持たせることで,住宅にもメリハリと楽しさが出てくるモノだと思います。私の場合はガレージがメリハリになるでしょうね。
長くなりましたが,これで土地とハウスメーカー選びが終了しました。