
The Economistに、中国の40歳以下の自力型ビリオネアが今年30人になったという記事が出ていた。
DeepSeekの梁文鋒氏を筆頭に、ゲーム、ミルクティー、そしてあのLabubu人形のPop Martまで。ちなみに日本の40歳以下の自力型ビリオネアは、ほぼゼロである。
面白かったのは働き方の話だ。中国にはかつて「996」——朝9時から夜9時まで週6日働く——という文化があり、アリババのジャック・マーが旗を振っていた。ところが新世代の創業者たちはこれを捨てつつあるらしい。DeepSeekの梁氏いわく「人間の脳は1日6〜8時間しか集中できない。働きすぎはミスのもと」。
……どこかで聞いた話である。そう、我々の国だ。モーレツ社員、企業戦士、「24時間戦えますか」。日本は996の大先輩であり、そして「長時間労働のわりに成長しない国」の大先輩でもある。90年代以降、日本人は働き続けたが経済は止まった。長く働くことと良いものを作ることは別物だと、身をもって世界に示したのが我が国である。
さて、クルマの話をしよう。
こういう記事を読むと「日本はトヨタという過去の遺物にしがみついている」という論調になりがちだ。私も半分はそう思う。時価総額上位が全部昭和の会社というのは、さすがにどうかしている。
だが、トヨタを「遺物」と呼ぶのは早い。営業利益4〜5兆円。EV一辺倒に流されず、ハイブリッドで実を取り続けた判断は、結果的に世界の脱炭素の現実解になっている。あれは遺物ではなく、古い産業で勝ち続ける「異物」だ。問題はトヨタが強いことではない。トヨタ以外に語ることがないことだ。
一方のBYD。もとは電池屋だった会社が、いまや世界のEV市場でトヨタの尻に火をつけている。創業者の王伝福は2000年代の製造業世代——つまり中国では、彼ですら「一世代前の人」なのだ。あちらは20年ごとに主役が入れ替わる。こちらは50年間主役が同じ。クルマ好きとしてはトヨタの粘り腰に拍手を送りつつ、次の主役候補が国内に見当たらないことには、静かに寒気を覚える。
中国の若い創業者たちは、政府にいつ潰されるか怯えながら沈黙しているという。日本の起業家は誰にも潰されないのに、そもそも潰される規模まで育たない。安全すぎるガレージからは、名車は生まれないのかもしれない。
Posted at 2026/07/21 08:04:39 | |
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