石を投げればカスタム系にあたる。

「日本人の5割は『銀蠅的なもの』を必要としている」と書いたのはナンシー関さんでしたか。
銀蠅的なもの。「ヤンキー的なもの」とか「DQN的なもの」（ネット上に限られるけれど）と言い換えても良さそうですがともあれこの一言でここ数年私が疑問に感じていた自動車業界におけるひとつの流行の理由を理解することができたのです。

まああれです。いわゆる「カスタム系」の隆盛です。

カスタム系=ヤンキー的なものという認識に間違いはないと思いますが、私はそれらを醜悪なものだと捉えています。
そしてそれはマイノリティなもので好きな人だけが手をかけるものだと考えていましたから、メーカー自身が積極的に自社の製品を醜く変貌させている今の状況は疑問でしたし異様に感じていました。

ところがここでナンシー関さんの一言です。マイノリティなんてとんでもない。
市場の半分が確実にくいついてくれる製品が労せず生み出せるのです。メーカーが放っておくはずがありません。
ナンシー関さんがこのことに言及したのが1996年ですからむしろ遅すぎたぐらいなのです。

先般フルモデルチェンジしたタントにももちろん設定されています。
例に漏れず醜いですしフロントグリルのイルミネーションなんて場所が場所なら「イカ釣り漁船かよ」と嘲笑されるところですがそれも私の狭い見識の中だけで実際は日本人の半分が「イケてるやん」となるカスタム系では必須のアイテムなのでしょう。

そういった点では同日公開された日産と三菱から来年発売予定の「デイズルークス」「eKスペース」のカスタムモデルは少しキレイにまとまっていて醜さが足りないため市場からのくいつきが弱くなる可能性も考えられます。
デザイナーの理性なんて吹っ飛ばすような思い切りが必要なのだ思います。

嫁さんの交友関係も含めて「『銀蠅的なもの』を必要としている」という人たちとの付き合いがありません。
日本人の5割をしめる人たちとの接触がないわけですから私たちの交友関係の狭さをあらためて認識させられた一件でありました。