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2023年10月23日

【永久保存版】追憶の997.2GT3RS

【永久保存版】追憶の997.2GT3RS さらば997GT3RSよ。
次のオーナーの下へ旅立った。恐らく同じ個体にはもう出会うことはないだろう。



初めてオーナー様と出会った日に、数時間のドライブを許される機会を得た。
そんなことなど、世界広しと言えどなかなか居ないだろう。

初めて触れたレーシングと名前の付くポルシェ。
市販車を改造したレーシングではなく、ファクトリーから出てくるレーシング。

元々ポルシェ911は、スポーツカーでありながら実用性にも長けたクルマであった。
それがいつしか、クルマに大金を投じることが出来るオーナーには限りない速さと快適性を提供しながらも、世界のスーパースポーツの世界に割って入れる、正真正銘の磨き抜かれた一戦級の戦闘機になった。

その997GT3RSとは、どんな印象だったのか。再びかつ、最後の振り返りをしてみたい。
コレをずっと描きたかった。
しかし、どうまとめたらいいかずっと考えていた。
ささっと10分考えて書けるものではなかった。仕事や普段の生活をしながらとは言え、書き進めるのに1ヶ月以上かかった。こんなことは初めて。
表現が正しいかは作家ではないので自信がない。それでも、精一杯の表現で表したい。

大きなウイングや目立つカラーとフェンダーに貼られたGT3RSの文字。ロールケージが張り巡らされた車内。車高の低さと派手な姿に圧倒されるが、乗り込んでみるとエンジンの鼓動は996GT3(初代)から比較すると、時代が違うぶん洗練されている。
ガチャガチャしたメガノイズは少し息をひそめ、常識的なアイドリングだ。
空冷エンジンの騒々しいノイズからはかなり大人しくなった。ピストン一つ一つが爆発している鼓動感が薄い。
基本的には空冷エンジンから同じブロックを使っているので、初代GT3も997GT3RSも似たような音が聴こえてくる。ただ一種の野生味のような荒々しさが薄まっている。
単純な表現ではキャブからインジェクターに換装したような。
同じ包丁でも、鉄から手作りしたものと一枚の鉄からプレスして打ち抜いたもののような違いか。

『出来上がった物は同じでありながら、何かが違う』

そういう印象だ。
しかし、パワーやドライバーに伝わる印象は走り出すとさらに違う。
この997GT3RSは、レッドゾーンに向かうまでのドラマチックな点が少ない。
996GT3のレビューを見ていただくと分かるが、初代GT3はエンジンの味わいが段階的に変化すると書いた。
世代が進んだ997後期GT3RSでは、回していく過程では連続変化に富んだ味わいが薄い。




そう言うと、そんなわけはないだろう。
初代GT3で感じた、回転域毎のドラマチック性はどうしたんだと思うことだろう。
しかし、本当にそうなのだ。
空冷エンジンのブロック最後の世代。997.2GT3RSでは、本当の味わいはレッドゾーン手前の千回転ほどだけ。
その代わり最後のトップエンドの切れ味は抜群だった。空冷エンジンブロックが奏でる滑らかで艶のある音を聴かせながら、レッドゾーンに入ろうとするとんでもないエンジンだった。
元々がサーキットを主戦場としているので、基本的にはドライバーに味わいというものを提供はしない。
そこにあるのは圧倒的な動力性能と少しの味わいと速さ。
それはつまり、好きな趣味のスポーツを職業とすると楽しくなくなるような。



速さとの引き換えに手に入れたものと失ったもの。
RSと名前が付くので、基本的にはサーキットで運用することが向いていると思う。なぜならば、公道を走る限りいつでもどこでも気持ちよく走れる状況にはなりにくいからだ。
公道で速いというものは何の役にも立たないし、クルマの魅力を測る物差しとしても使えない。

このGT3RSはあくまでもNAでの速さと引き換えに、気持ちいいと感じられる速度域がかなり高くなった。かつ、その範囲も狭くなった。とは言え、クラッチの重さも常識的になった。ステアリングも重くない。買い物に使おうと思えば使える。
ロールケージがあるとはいえ、カーペット類も装備されている。故に遮音性もそれなりに残っている。



速いということはクルマの魅力の要素の一つでしかない。
そう書くと、GT3RSの意味は?
と思うかもしれないが、このクルマが持つ味わい。
それは、普通の911カレラをチューニングしても同じようにはならないというお買い得さがある(現在はプレミア価格なので、お買得とは言えないが)
そして、ポルシェの911GT3を更にサーキット用に磨きあげた特別な911を所有するという男のロマン。
そしてポルシェのレンシュポルトを公道でも乗れるという特別感。



その他のGT3は分からないが、少なくとも997.2GT3RSに関しては、乗るだけなら比較的ラク。それも初代GT3よりも硬さやクラッチの重さなどと比較してラクに感じる。
RSを楽しもうとすると公道では狭く、サーキットと公道の往復が一番このクルマには向いている使い方だと思う。アルプスやアウトバーンのあるヨーロッパ大陸とは違い、日本は狭いのだ。
そんな特別なクルマを所有して普通に転がすというロマンもあるのだが。
そして、走らせなくとも特別なクルマなので飾って眺めても価値がある。
そこに価値を感じ、大金を投じることが出来る方には所有してみて欲しい。
もし合わなくて売却しても、それなりにお金は戻ってくるはずだ。

短い試乗で感じたのはこのような印象だった。
もしもボクが997GT3RSを所有するという世界線があるとしたら、年1〜2回の鈴鹿フルコースくらいだろうか…。それ以外は調子を維持するための、近所のドライブになる。
しかしそんな乗り方だと楽しさよりも、踏めないことへの不満の方が大きくなりそうな気がしている。
やはりこのクルマの本領発揮のステージは大きなサーキットが向いているかもしれない。




リビングから愛車を眺められることが出来る家をお持ちの方なら、更にその価値は高まるだろう。
そういうクルマだった。
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Posted at 2023/10/23 23:12:12

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トチプーさん

この記事へのコメント

2023年10月24日 1:32
涼たそさん、こんばんは🌙

大丈夫ですよ、ステアリングを握りたくなれば、左右非対称のデカールと空を飛べそうな羽を眺めたくなれば、僕がいます😊

ありがとうございます🙇🏻
このブログを書くのに1ヶ月を要するほど997.2GT3RSに思いを馳せて頂いて。

仰る通り、切れ味の様なものは薄まりました。
幸いな事に僕は996.1GT3クラブスポーツ、997.1GT3RS、997.2GT3RSと乗り継いでいますので、GT1クランクメッガーエンジンの違いを味わう事の出来た人間です。
クラッチミートの幅の無さから来る発進の難しさ、同じシングルマスでもタコメーターの針の落ち方がまるでバイクのそれの様に素早く落ちる996.1GT3のメッガーエンジン。
そもそも3.6で開発されているので、997.1GT3RSは997.2GT3RSに比べよりサーキットマシンとしての色が濃く、2台の違いを僕が説明するのによく3.6はカミソリの様で3.8はセラミック包丁🔪
の様だとお伝えしていました。
RSなのに何だかラグジュアリー感もある3.8RS。普通にクラッチも繋げて、かの松任谷正隆氏がポルシェの乗り方をおぎやはぎにレクチャーした様に、アクセルを踏まずにクラッチを繋げて車が動きだしたらアクセルを踏むといった作法をする必要も無く、マニュアル免許を持っている女性でもある意味普通に発進出来る程普通な車になりました。

そうですね、このポルシェはやはりレンシュポルトの中でも特別でしょうね。それは最後のマニュアルRSと言う事もさる事ながら、やはりエンジンの素晴らしさ。ルマン24を制したコンロッドをTiを使う程の本物のレンシングエンジン。最新が最良と言われるポルシェにあって、それが唯一当てはまらないモデルと言えるでしょう。

こんな話を僕の997.2GT3RSを囲んで涼たそさんと話に花を咲かせたいものです😊
近いうちに是非🤲

コメントへの返答
2023年10月24日 22:58
ややこし屋オヤジさん、こんばんは。
丁寧なコメントいただき、ありがとうございます😊
ありがとうございます♪
このグレーのボディカラーと赤ホイール、リアスポイラー。そして前後フェンダーに左右非対称に入った『GT3RS』。
そこにあるだけで、空気を変えるこのクルマが好きでした。
オーナーさんのガレージにお邪魔すると、いつもカバーを被せて大事に保管されていました。

初代GT3があまりにも鮮烈すぎましたね。ドライバーに優しくない操作感でありながら、深い味わいとエンジンの鼓動がドライバーを包み込むような不思議なフィールです。
そこからすると、速いのにどこか味気ないフィールに変わってしまった997.2でしたが、代わりに圧倒的な安定感と速さをもたらしてくれましたね。
このオーナーさんは同時所有されていた997.2GT3RSを手放し、996GT3だけは残されました。996.1GT3だけは一生手放さないと仰っています。

ややこし屋オヤジさんとGT3を囲んでお話ししたら、リアルカーグラTVになってしまいそうです(笑)こちらこそ宜しくお願いします🙇‍♂️

プロフィール

「@係長レーシング さん
仕事紹介してください!(笑)
神戸行きますので(   ◜ω◝ )」
何シテル?   04/13 18:21
僕が産まれる前に、父親がナローポルシェに乗っていたらしい。子どもの頃、ポルシェの模型を見ながら育ちました。4歳くらいの頃、父親がスカイラインに乗っていました...

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