Djangology / Django Reinhaldt (1961)
ジプシージャズを創始したギタリストのジャンゴラインハルトが、1949年にイタリアで行ったツアーを記録したライブ盤。彼の最後の録音となりました。
ジャンゴラインハルトのことを初めて知ったのは、1970年代半ばにFM東京で放送されていた番組ででした。番組は、毎回ひとりのミュージシャンを取り上げて、その人の音楽と生涯をドラマ仕立てで紹介する作りでした。その晩の主人公はジャンゴラインハルトでした。
物語は、ヨーロッパ中を旅するジプシーの旅芸人一座のおばあさんをストーリーテラーにして進みます。ジャンゴの両親もジプシーの旅芸人で、一座と共に旅から旅の暮らしをしていました。
「ジプシー」の語源は「エジプトから来た人たち / エジプシャン」で、15世紀にはすでにヨーロッパ各地で漂流生活をしていたそうです。ただ、民族的な起源はエジプトとは関係ないようで、近年では、彼らの自称「ロマ」で呼称するのことが推奨されているとのことです。
さて、ジャンゴですが、彼は旅一座の巡業先ベルギーで、1910年に生まれています。生まれた時に授かった名前はフランス語の「ジャン」だったそうですが、後に、ジプシーの言葉で「私は目覚める」という意味がある「ジャンゴ」を名乗るようになったとのことです。
ジャンゴは、幼い頃からギターやバイオリンの腕を磨いていたのですが、18歳の時、旅一座の馬車で起こった火事を消そうとして、深刻な火傷を負ってしまいます。
番組ではたしか、この火事がジャンゴが所属していた一座で起こったもので、そこにいた少女を救おうとした結果の負傷として描かれていたと記憶していたのですが、ネット上の情報によれば、ジャンゴはその頃すでにパリに定住していたみたいなので、その火事は、別の旅一座で発生した出来事だったのかも知れません。
いずれにしても、この火事でジャンゴがハンディキャップを負ってしまったのは事実で、それは、ギタリストとしては致命的なものでした。ネットに、彼の左手の写真がありました。薬指と小指が癒着してしまっているように見えます。
それでもジャンゴは、独自の奏法を編み出し、ギタリストとしての道を歩みます。そして、アメリカ生まれのジャズに傾倒するようになって行きます。
1931年、ジャンゴは、ステファングラッペリと出会います。時にジャンゴは21歳、ステファンは23歳でした。ステファンは無声映画の楽士でした。当時の映画フィルムには音声を記録するサウンドトラックがなく、スクリーンに映し出される映像に合わせるように、物語を説明する人や楽器を演奏する人が必要でした。ステファンは、映画館でバイオリンを弾いていたとのことです。
意気投合した二人は、パリで、「フランスホットクラブ五重奏楽団」を結成します。
1935年にコールマンホーキンズと共演したりしたことから、アメリカのラジオ局CBSで紹介されるなどして、ジャズの故郷でも知る人ぞ知る存在になっていったようです。
1939年、楽団がロンドンでツアーを行なっていた時、第二次世界大戦が勃発するのですが、ここでひとつわからないことがあります。フランス人であるステファンが帰国を拒んだのに対し、ジャンゴが危険を冒してフランスに戻ったことです。時のフランス政府は、ほぼ無抵抗のままナチの侵略を受け入れましたし、ヒトラーはユダヤ人のみならず、ジプシーも軒並み強制収容所送りにしていたからです。
このアルバムには収録されていませんが、1940年にジャンゴがリリースした「
雲 / Nuages」は、ナチ占領下のフランスで国歌並みに愛されたそうです。かのFM東京の番組でも流れていました。素敵に美しい曲ですよ。
ジャンゴは生き延びました。戦後、ジャンゴはイギリスに渡り、ステファンと再会します。また、デュークエリントンに招かれてアメリカツアーもしたようです。しかしジャンゴはその後、購入したキャデラックで荷車を引くキャラバン生活に戻ってしまいます。そして1953年、脳溢血により、43歳の生涯を閉じました。
ジャンゴが創始したジプシージャズは、沢山のミュージシャンに多大な影響を与え、また、世界各地に「ホットクラブ」の名前を冠したジャズクラブやバンドがあるようです。手元に、米国ナッシュビルのホットクラブのライブ音源がありますが、聴くたびに、一度でいいから生で味わってみたいなと思ってしまいます。
ジャンゴの音は、ドライブにもよく合います。ずいぶん前に二足三文で買った、こんなボックスセットは、今でもヘビーローテーションの一角にとどまっていますよ^_^
ジャンゴは若くして亡くなってしまいましたが、盟友のステファングラッペリは長生きして、ピンクフロイドの「狂気」や「炎」の録音にも参加しましたようです。ボクには分かりませんでしたが、貴方の耳には聞こえますでしょうか?
あ、そうそう、モダンジャズカルテット(MJQ)の「
ジャンゴ」を忘れていました。
ジャンゴに捧げられためちゃくちゃ美しいナンバーです。もちろん、Spotifyで聴けますので、よろしければこちらも……
Posted at 2026/07/04 06:53:54 | |
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