先日もお知らせしましたが、本日発売に延期になった「RACERS」のNR500特集後編、ゲットしてきました。本屋さんに行ったら既に2冊しか無かった(元々?)のでラッキーでした。
後編は技術解説なので、デビュー時からのエンジンの変遷など、かなりマニアックです。今まで門外不出だった図や写真もあるようです。初めて見る図が多かったです。

それにしても、吸気バルブと排気バルブがそれぞれ4本ずつ並んだシリンダーヘッドは壮観ですね。

1個のピストン当たりコンロッドも点火プラグも2本ずつなので、4気筒の状態だとほとんどV8です。長円ピストンなのでバルブが本当に目一杯入っていますね。

市販のNRではさすがにここまで詰めた設計は出来なかったので、ピストンは楕円形状になり、バルブもやや小さめですが、よく市販したと思います。
普通は参戦初年は手堅い設計にするのが定石な気もしますがそこはHONDA、長円ピストンにアルミモノコックフレーム(他社のマシンは鉄のパイプフレームでした)、ピボット一体型のスイングアームに倒立フロントフォーク、と時代を先取りした装備でしたが、さすがにこれではまともに走れるまでに3年かかってしまったようです。
でも、デビュー当時はバンク角100度で108psだったエンジンが、
3年で137ps/19500rpmまで行ったのは凄いと思います。F1の3000ccに換算すれば822psですから。バンク角は90度になって、エンジン本体もかなりコンパクトになっていますね。
その後も開発は続けられてカーボンフレームやブレーキのモデルも東京モーターショーに参考出品されていましたが、実際にこれが世界GPを走ったらどんな成績を残したのでしょうか。
しかし、相当苦労したであろう当時の担当者にインタビューすると、みなさん本当に楽しげに話をされているようです。元々のアイデアを考えた入交昭一郎さんでさえ「あの時エアバルブを作れていたらもっとエンジンを回せてNRは勝てた」と言っているくらいで熱いですね。
「
いつか勝てる―ホンダが二輪の世界チャンピオンに復帰した日」という、富樫ヨーコさんの著書でもこの辺りの悪戦苦闘の日々は書かれていますが、今の時代にはなかなか出来ない事かもしれません。
しかし、入交氏のインタビューで「ホンダってのはね、恥をかいても許される会社なんだ。もちろん反対意見はいっぱいあると思うし、NRで僕がやったことは悪い例かもしれないけど、恥をかいてでも新しいことにチャレンジする意味と大事さはきっとあると思う」という発言は印象的ですね。
これだけ色々綿密な取材で1000円というのは十分お得だと思います。興味のある方には貴重な資料でしょう。このシリーズ、是非デジタル化して欲しいのですが…。
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バイク | 日記
Posted at
2019/12/26 17:22:20