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2024年10月09日

これは凄い発明かも…オリジナルボックスのフロントフォークダンパー

これは凄い発明かも…オリジナルボックスのフロントフォークダンパー



最近はチラッと斜め読みが多いMototFan Illustrated誌ですが、今月号は珍しくバイクの新型フロントフォークについての特集があったので、じっくり読むために本当に久しぶりに(爆)購入してみました。





オートバイのフロントフォークはあまり改良がなされていない感じでずっと同じ形式ですが、中のダンパーもカートリッジ式になってからでももう30年近く経っているのですね。


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フロントフォークの中のダンパーの構造を見てみると、右のベーシックなダンパーロッド式のものがオリフィス径は固定で小さめなのに対してカートリッジ式のダンパーはピストンにバルブシムでオリフィスが形成されており、ダンパースピードが変化しても速度に応じた減衰力を発生する仕組みです。

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しかし、このカートリッジ式のダンパーでも縮み側、伸び側のどちらの動作時でもキャビテーションと呼ばれるオイルに溶けた空気の泡が発生する現象により減衰力が大幅に落ちてしまい、期待したような入力にリニアに応答した減衰力を発生させるのは困難なようです。


これを解消するためにはオイルに圧力をかけて負圧によるキャビテーション発生をなくすという方式があり、4輪の単筒式のダンパーは高圧ガスを封入してキャビテーションを防いでいますが、そのためにオイルシールやガスシールの強度が要求されフリクションが強めになってしまうようです。


これに対してショーワの最上級フロントフォークでは「バランスフリー」と呼ばれるメカニズムによってこのキャビテーションの発生を抑えていますが、かなり複雑で高価なようです。

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フロントフォークの下端近くにガス室のチューブがあり、それに隣接した部分に減衰力を発生するバルブがあります。圧縮側も伸び側もフォークから減衰力バルブへの通路は共通ですが方向は逆になり、ガス室とフリーピストンによりオイルには圧がかかってキャビテーションの発生を抑えています。

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そしてこのバルブの中を通るオイルの流入メカニズムも圧縮側と伸び側で通路が違い、かなり複雑なようですね。


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カワサキのZX-10RとスズキのGSX-R1000Rには採用されていますが、他の機種には見当たらないようです。スーパーバイク用のレーシングキットですと(上限設定があるため)約200万円するそうでほぼバイク1台分ですが、MotoGPのようなワークスマシン向けだともっと高価なのでしょうね。


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2190万円するHONDAの真正レーサーレプリカのRC213-VSにもオーリンズの同様の構造と思われるフロントフォークが装備されていますが、これはレース専用部品のようで、ストリートバイク用には市販されていません。MotoGPではHONDAとYAMAHA、ドゥカティのワークスマシンに装着されていますね。


このRC213-VSの試乗インプレでは「フロントフォークとリヤショックが別次元の作動をする。ショックユニットが動き始めるのと同時に減衰力が発生していて乗り心地もすごく良く、いつもの道が舗装をやり直したように感じる」そうです。


このように、キャビテーションを防ぐフロントフォークはあるものの複雑な機構で非常に高価なため一般的ではないところが残念ですが、オリジナルボックスが開発したフロントフォークは全く違う原理で作動しています。

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名称を「Hydraulic pump system fork」と言いますが、高圧ガスを用いずに機械的なポンプで加圧する事でキャビテーションを防ぐ構造です。左右2本のフォークの片方にだけこのメカニズムを用い、もう片方はバネだけで受け持っています。


圧縮時には上側ピストン上側の積層バルブで減衰力を発生させ、伸び側では下側の加圧ピストンと上側ピストン下側の積層バルブで減衰力を発生させていますが、いずれの場合も加圧ピストンがオイルを加圧しながら圧送するためにキャビテーションが発生しない原理になっています。


実際の試乗では「フロントタイヤがなめるように路面を捉え、接地感が尋常でなく高く」、「段差舗装を乗り越える際の、それに追従するサスペンションの動き、収束する様は明らかに異質」だそうです。


ただ、試乗した筆者の方は普段ほとんどバイクに乗らないらしく、どこまで正確なインプレになっているのか不明な点がちょっと残念ですが、ショーワのバランスフリーフォークやオーリンズのTTXのような超高級フロントフォークと同様の乗り味になっている可能性がありますね。


さらにこのシステムの素晴らしい点は既存のダンパーと共通する部分が多く、試作品も既存のダンパーの部品からの流用で作成出来たそうです。さらに試作部品のシリンダー内径も一般的なカートリッジと共通なので様々な機種に適応可能なのも優秀ですね。


片方のフォークはバネだけでもう片方のフォークはダンパーだけという構造はバランスが大丈夫なのかちょっと疑問もありますが、オーリンズのフロントフォークにも左右で圧縮側の減衰と伸び側の減衰を分けたモデルもあるので、きっと作動は問題ないのでしょうね。


ここまで優秀ですぐにでも既存のフォークに適応可能ならすぐにでも実用化して欲しいところですが、読者が限られており(爆)2輪の読者はあまりいない?雑誌よりも、きちんとした2輪の雑誌の取材も受けて本格的なライダーにも評価をしてもらって普及につなげて欲しいですね。
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Posted at 2024/10/09 00:05:01

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この記事へのコメント

2024年10月10日 8:36
おはようございます。
>いつもの道が舗装をやり直したように感じる
 素晴らしいですね、体感してみたいですがRC213-VSの価格が現実味がゼロです(汗)
 足回りは、数値化しにくいし好みもあるし、広告アピールも伝わりにくいので劇的な進化が無い(少ない)ですね。

>ショーワの最上級フロントフォーク
 フリーピストン部分がマスダンパーの機能もありそうな気もしますが、気のせいかもしれません。
今乗っている通勤スクーターにマスダンパーを取り付けたいと思い2年くらい経過して何もしていません。

カットモデルを見るだけでも楽しめましたw、ありがとうございます
コメントへの返答
2024年10月10日 12:53
こんにちは、コメントどうもです。

RC213-VSは本当に凄そうですが、価格が問題外ですし、1年毎にチタンボルトのグリスアップが必要なようで、維持も厳しいですね(爆)。

確かに足回りのフィーリングは数値化しにくいので自分の感触になりますが、一度体験してみたいですね。

スクーターは小径ホイールで路面感覚はあまり良くないので、こうした高級フロントフォークに換装するだけで劇的にフィーリングが向上しそうですね。

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